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ブラックホールの写真

 

著者田 敞

2019年4月10日、ブラックホールの写真が公開された。ブラックホールの初めての写真だという。ドーナツ状の赤い円板と、真ん中の円形の黒い部分が写っている。

 その解説に、黒い部分がブラックホールで、そこからは光が出ていないということです。相対性理論の、ブラックホールからは光も出てこれないということの証拠ということです。

そうかなあ?この写真で十分な証拠になるのかを検討してみます。

 

問題1 中心の黒い部分には光が出ていないといえるか?

考察

1 電波望遠鏡の限界

 これは電波望遠鏡の映像です。したがって、この映像はブラックホールとその周辺の円盤から出ている電波を写したものです。赤外線や、可視光線や、紫外線や、エックス線や、ガンマー線は写っていません。光のごく一部、電波しか写っていません。

したがって、ブラックホールが電波以外の光を出していても何も写らないから、黒く写ります。この写真と同じ映像になります。ブラックホールが、電波以外の光を出している可能性を否定できたことにはなりません。

2 電波望遠鏡で観測した理由

 銀河中心部分はガスが多く、ほとんどの周波数の光が吸収されて外まで出てきません。そのガスを通りぬけて出てくる光はかろうじて電波だけです。そのために電波望遠鏡で観測したわけです。

 もし、ブラックホールが電波以外の光を出していたら銀河中心にあるガスを通り抜けてくることはできないので、光学望遠鏡でも写りません。銀河中心の濃いガスしか写りません。電波望遠鏡でしか銀河中心は観測できないのです。電波望遠鏡ができるまで銀河系の中心が観測できなかったのはそのためです。

3 ブラックホールが光るとしたら

 ブラックホールが光を出しているなら、エネルギーの高いガンマー線を出していると考えられます。

 その光がブラックホールの外へ出たとしても、もちろん電波望遠鏡には写りません。それを写すには、ガンマー線望遠鏡が必要です。ところが、ガンマー線は、周りにある、ガスにさえぎられて、その外には出てこないので、地球からはガンマー線望遠鏡では見えません。また、ガンマー線は地球大気によってもさえぎられて地上には届きません。だから、地上の望遠鏡では見えません。それを見るには、宇宙に出て、ガンマー線望遠鏡で見るしかないのです。銀河中心のブラックホールがガンマー線で光っているかどうかは、今のところ確かめようがないのです。

3 結論

 以上のことから、写真の真ん中が暗く写っていたからといって、それが、ブラックホールから光が出ないという証拠にはなりません。ガンマー線や、エックス線や、可視光で光っていても、電波望遠鏡では何も映らないからです。相対性理論の、ブラックホールからは光は出ない、という理論の証明には不十分です。

 

問題2 光が出てこれないという相対性理論の言い分

 時空が極端に曲がることで、物質ばかりではなく、光も外に出てこれない。これが相対性理論の言い分です。中には、強い重力で、脱出速度が光速を超えるから、光も外に出られないという説明もありますが、これは説明不足です。光は万有引力とは相互作用をしません。だから、ロケットの脱出速度とは関係ない仕組みでなくてはなりません。それが初めに書いた、相対性理論の云う時空の曲がりです。

考察

1 時空が曲がる

時空が曲がるということですが、この仕組みは何一つ分かっていません。重力は空間を曲げ、時間を遅らせるということを相対性理論は云っていますが、重力がどのようにして空間を曲げるのかとか、重力がどのようにして時間を遅らせるのとかの仕組みは述べていません。実際は、空間とか時間は何なのかが一切分かっていないので、仕組みが分かるわけがないのです。空間も時間も直接観測されたことはありません。実態のないものです。なにもない、です。いえば「空」、あるいは「無」です。

2 時空

 時間と空間をいっしょくたにして時空と名付けたようですが、空間と時間がなぜ一緒になるのかは述べていません。同じなのは、どちらも実質的に「無」であることだけです。無と無を混ぜても無しかありません。言葉の遊びです。

3 空間が曲がると仮定すると

空間はブラックホールの中でどのように曲がっているのでしょう。空間のなにが曲がっているのでしょう。空間そのものにはなにも存在しません。なにも存在しないものがどのようにして曲がるのでしょう。

4 時間が止まると仮定すると

 巨大な重力によってブラックホールの中では時間が止まるということです。

 すると、宇宙最速の光であってももちろん飛ぶことはできません。秒速30万キロメートルの光でも、0秒間には0mしか飛べません。

 ブラックホ−ルは回転するか、ということも言われていますが、回転できません。時間が止まっているのですから、どんな速度でも、光速でも、光速の100倍の速度でも、0秒間には0mしか進めません。止まるしかありません。

 では重力はどうでしょう。重力はブラックホールの外まで普通に出てきて、周りのガスや恒星を引きつけているようです。重力だけは別格のようです。

重力は光速で伝わるといわれています。しかし、光でも、0秒では0mしか進めません。光速で伝わる重力も、やはり、0秒では0mしか伝わらないのではないでしょうか。相対論では、重力は空間の曲がりということですから、引力とは違うようです。それにしても曲がりが伝わる必要があります。やはり0秒では曲がりも伝わりません。

5 今回写されたM87銀河とブラックホールの関係

 M87銀河の中心に今回写されたブラックホールがあります。M87は銀河だから回転しながら、全体で移動しているはずです。M87銀河では、ブラックホールを除いた部分は時間が流れていますから、時間とともに移動できます。しかし、中心のブラックホールでは時間が止まっています。「移動距離=速度×時間」です。時間が止まると、時間=0になりますから、式から、移動距離も0m(=速度×0)になります。

 このことから、M87銀河はブラックホールを置いて、動いていかなければなりません。ところが、写真のブラックホールは、この銀河ができてから、何10億年間も、ひょっとして、100億年を超えて移動しているにもかかわらず、いまだにM87銀河の中心にあります。これはブラックホールも、銀河と同じ速度で同じ方向に移動してきたということを表しています。

 これは、ブラックホールの時空では少なくとも時間は止まっていないということを表しています。机上の相対性理論では、ブラックホール内の時空では、時間が止まっていると主張しても、現実の宇宙ではブラックホールの時間は止まっていません。

 

結論

 いつの日か、宇宙空間にガンマー線望遠鏡が複数打ち上げられたとき、ブラックホールからガンマー線が放出されているのが観測されるかもしれません。銀河中心のブラックホールはガスに覆われていて、ガンマー線は出てこないから、銀河系内か、マゼラン銀河の中かの、比較的近い単独のブラックホールならガスにさえぎられることも少ないから見える可能性があります。それはそんなに遠くはないでしょう。期待しています。

 

2019年4月11日

記 田 敞