ジャスミンの風

                                         
                                           
マラウイ便り 2-8



Mwaswera bwanji !! (= Good afternoon)

あれほど咲き誇ったジャカランダの花もほとんど散ってしまい、代わって火炎樹(デイゴ)の深紅の花が目立つようになってきました。当地は今、
過ごし易かった乾季が終わり、32〜33℃ほどの蒸し暑い日が4,5日続いたかと思うと、突風が吹いて一転涼しくなったりという状態が続いてい
ます。時々雨も降るようになりました。12月の半ば頃までは暑い日が続くそうです。



ジャカランダの並木

散ったジャカランダ




帰国まで2週間余りとなり、業務の方もラストスパート(JICAへの業務報告書および配属先へのFinal Report作成)に入っています。


8月から9月にかけて訪れた北部地方では良品質のベリル(エメラルド・アクアマリン)やローズクウォーツ・アマゾナイト・フローライト(ほたる石)
他の採掘場も視察して来ました。
またこの時、たまたま現地で開かれた宝石採掘等に従事する零細業者と鉱山局本部の担当部局長たちとの会合に出席する機会があり、原石
の売買方法を改善して欲しい、不法な密輸を取り締まるべきだ、等の業者側からの切実な訴えを目の当たりにしたりしました。また地質の知識
も身につけたいとも。当国の鉱産物探査や採掘に関する組織形態やライセンス他の法制度も調べる必要があります。

アクアマリンの鉱脈


地質的にみると、周辺の国々の産出状況に照らしてみてもアフリカ大地溝帯の南端部に位置する当国でこのような宝石が出てもなんの不思議
もありません。また宝石の原石だけではなく、装飾石としての大理石やピンク花崗岩それに陶磁器用の粘土さらには農業用肥料に使う燐の鉱
石やセメント材料等に使う石灰岩・TVや携帯電話機の液晶モニター等に使う希土類(Monazite)を産出する鉱床も訪れました。業務開始以来
訪れた現場は20数ケ所で、総走行距離は優に3,000kmを越えています。



ブラックトルマリン他


かなり前のことですが、我がCentreの化学技術者と雑談している時に宝石の賦存状況の話をしたところ、「マラウイの地下はリッチなんだ」と
言っていたのが印象に残っています。そう、マラウイの地下はリッチなんです。ただどの現場も物は有るが資金が無い等で採掘出来なかった
り、出来ても細々と稼動しているという状態で、投資や援助を待っているのが実情です。


配属先には、各地で収集した原石サンプルの標本箱を作って残していくことにしています。



また、当国のJOCV(青年海外協力隊)からは、マラウイ産出の鉱物図鑑の作成方を依頼され、先日原稿を手渡したところです。
これには任国外旅行で訪れた際に、タンザニアのアルーシャで入手した今人気のタンザナイトと、ザンビアのビクトリアの滝でかけらを拾って来
た基礎地盤を構成するカルー玄武岩(火山岩)も付録として載せてあります。宝石類を中心に計32種類選びました。今はJICA内だけの話なの
ですが、簡単な地質等の説明付きでカラー刷りなので(来年1月CDで発行予定)、将来はチチェワ語あるいは英語に訳して当国の鉱産物関連
業者や一般の人たちへの案内書(ガイドブック)、また子供たちの学校での教材にでもなれば……と考えています。


思いもかけずアフリカで宝石に関連する業務に携わることになり(日本では知識も興味もありませんでした)、多くの人たちの協力もあって、自分
自身楽しみながら今日まで過ごすことが出来ました。当初はブラックアフリカの真っ只中でしかも食事には苦労しどうなることなのだろうかと、ま
た昼寝から目覚めた時などは、自分は今何故ここに居るのだろうか?と不思議な思いにかられたものでしたが……。





                                         
                                           


http://www5f.biglobe.ne.jp/~jasumin/