ジャスミンの風

                                         
                                           
マラウイ便り 6-2



テーブルマウンテンに登る予定をしていた日はあいにくの曇り空で、頂上は灰色の雲を被った状態でした(地元ではテーブルクロスがかかって
いる、と言うそうです)。

テーブルクロス



仕方なく日曜日でガランとしている通りを歩いて街中の観光案内所を訪ね、駄目もとで「今日のテーブルマウンテンはどうだろう?」と訊いてみた
ところ、以外にも「問題ない」という答えが返ってきました。
早速リッキーと呼ばれる乗り合い自動車を手配してもらい(途中から若い韓国人とルーマニア人女性とのグループ数人と一緒になる)、5kmほど
離れた山の麓にあるロープウエー乗り場に向かいました。
このロープウエーは標高差1,000mのかなりの急勾配を高速で登って行くのであるが、なんと登るにつれて床がゆっくりと回転するようになって
いて、誰もが公平に外の景色が見られるようになっています。着いた頂上は風が強くて曇ってはいたが、流れる雲間からウォーターフロントを含
むケープタウンの町並みがはるか下方に眺められ、港に面した街だなということがよく分かります。

海上遠くには先日訪ねたロベン島が見え隠れしています。下からは真っ平らに見えるテーブルマウンテンの表面は、短い草が生えている間に
ゴツゴツした岩がむき出しになっていて、ちょうど山口県の秋吉台のような感じです。遊歩道が整備されていて遠くまで続いているが、先端まで
行ってみてもあいにく雲がかかっていて喜望峰は見えませんでした。家族連れやカップル等の観光客の間を一時間ほどゆっくりと散策して、再
びロープウエーで急斜面を降りて行きます。砂岩と頁岩で出来ていると言う切り立った岩肌は黒灰色で、近くでみると凹凸が多くロマンチックな
イメージとはほど遠い感じです。ロープウエー降り場からはずっと下り坂になるので、テーブルマウンテンを背景に周辺の住宅地の風景等を眺
めながら、ゆっくりと1時間ほどかけて歩いて宿舎まで帰りました。ラッキーな日でした。


途中3日間は100kmほど東に行った所にあるHermanusという街を訪れて、うち2日間は浜辺でちょうど出産・子育てに来ている鯨を飽きもせず
眺めて過ごしました。
次々と陸地近くまで寄って来る鯨はプオーという大きな音を出して潮を吹き上げたり、独特の尻尾を見せてもぐったり、時にはバシャッと豪快に
ジャンプのパフォーマンスを見せてくれたりします。時間を忘れるぐらいに次から次へと現われ、子連れの鯨も沢山居ます。悠々と遊泳する鯨を
見るのが今回の旅の大きな目的のひとつでしたが、お陰で手や顔がまた真っ黒に日焼けしてしまいました。










湾の背面には小高い丘が広がり、見渡すと海沿いにも丘沿いにも瀟洒な別荘が建ち並んでいます。年間を通じて気候も温暖で、ケープ人の憧
れの隠居地とのことです。ちなみに通りかかった不動産屋で張り紙を見てみると、一億円以上もする一軒家が目白押し !!



ところで、アフリカ大陸の最南端は何処か知っていましたか? 喜望峰(=最南西端)ではありません。
中の1日はさらに150kmほど東南方にあるアグラス岬まで行って来ました。
他に誰も居なかったので、バックパッカー宿のオーナーの奥さん(カナダ人)が車で案内してくれたのですが、道中の道路は完全に舗装されてい
て制限速度は120km/h。北海道の富良野の景色を数倍大きくしたようなブドウ畑や収穫前の麦畑の色とりどりにうねる雄大な景色を左右に眺
めながら、また途中にある街の教会のいわれ話を聞きながら1時間半ほど快適に進むと、やがて潮の香りがしてきて前方に赤い屋根と真っ白な
壁を持つ灯台が見えて来ました。

アグラス岬



アグラス岬灯台です。狭い階段を登って一歩外に出ると強い風が吹きつけ、手摺りを持っても怖いぐらいです。ここがアフリカ大陸最南端です。
ずっと先は南極であろうが、左にインド洋、右に大西洋と180度以上に広がる湾曲した水平線を眺めていると、地球は丸いなあということが実感
できます。底が浅すぎてここには鯨は寄って来ないとのこと。

昼食に入った近くのレストランでは、たらのフライや野菜のいっぱいついたシーフード料理を注文しました。白い砂浜のある海を眺めながらの食
事は爽快でした。再び雄大な景色を眺めながらの帰途、あちこちの草地では牛や羊の群れに混じって南アの国鳥である優雅なBlue Craneの
姿も見られました。



宿舎へ帰って無粋にも、鯨を食べられる所が無いか尋ねたところ、そんなもの日本人かノルウェー人しか食べないでしょ、と一蹴されてしまいま
した。スーパー等ではベーコンは見られたのですが……。そこでお薦めのシーフードレストランを聞いて予約しておいて、夕食に出掛けました。
バー兼用のレストランで、車海老のフライやムール貝や野菜がいっぱいついていて、もちろんワインも注文しました。常連らしき夫婦や家族連れ
が訪れており、元気のよいウエイトレスが居たりして、気楽に飲食できる店のようでした。海岸近くのこの店をほろ酔い機嫌で20:30頃出たので
すが、歩いて15分ほどの宿舎間は治安上の問題のあるような感じはまったくありませんでした。満足した一日でした。



また南アは知る人ぞ知るワインの大産地で、ワインランド半日ツアーにも参加して来ました。安くておいしいワインが何種類もおいてあり、醸造
所では年代の異なるチーズをさかなに赤白合わせて試飲しすぎたので、少し酔っ払って帰って来ました。






                                         
                                           


http://www5f.biglobe.ne.jp/~jasumin/