ジャスミンの風

                                         
                                           
マラウイ便り 5-1




Mwaswela bwanji ? (= Good afternoon,and you ?)


ここZombaはかなり暖かくなりましたが、それでも高原にあるため朝夕はまだまだ涼しく感じられます。ホテルのレストランで何かの会合がある
時には、中庭に大きなテントを設えてそこで朝食や夕食を摂ることがありますが、風があると半袖では寒いぐらいです。


待望のジャカランダが街中やホテルの中庭・隣接する植物園などで目にすることの多い季節になり、日増しに数が増えて紫色が濃くなっていく
感じです。右を見ても左を見ても振り返ってもジャカランダに囲まれているようで、なぜか心が癒されます。これからが見頃で楽しみです。





再度マラウイに来て6ケ月経ち、ようやくダイヤモンド探査の現場作業に携わることになりました。今回はその様子をお伝えします。

8月のはじめに150kmほど北にあるマラウイ湖南端部に位置するMangochiという街に向けて出発しました。人員は若い精鋭のGeologist2名・
Geologistの補助2名・エチオピアの大学留学から帰ってきたばかりのGeophysicist1名・賄いのおばさん1名・運転手1名それに当方の計8名。
Geologistたちは「自分たちが新しいマラウイの歴史を作るんだ」と張り切って、道中大音響でゴスペル音楽のテープをかけながら出掛けました。
マラウイ湖周辺はマラウイでも暑い所として知られており、近づくにつれバナナや種々の椰子の木が目についてきます。途中のおいしい米を安
く売っている米市場やMangochiの市場やスーパーで冷凍の鶏肉や各種野菜・砂糖・食パン・スパゲティそれにクッキングオイル他を買い込み、
街の西側に広がる山中に入って行きます。

南国特有の赤茶けたLaterite(紅土)から成る細い山道を砂埃をモウモウとたてながら走ること約1時間で小さな集落に着きました。照り輝く
種々の色のブーゲンビリヤの花に囲まれたそばに教会にある小学校の庭の端を借りて宿泊所にすることにしました。事務長の話によると、こ
の小学校は8年教育で全部で1300人ほどの生徒が就学しているとのこと(中には20才を越える生徒も居るとか)。午前中は授業をしている先生
や生徒たちの元気なやり取りの声が聞こえてきます。

別途トラックで運んで来たテントを早速設営。一人一張りづつで、彼らは慣れた手つきでドンドン作り上げてていきます。さらに村人たちに頼ん
でキッチンや食堂・トイレ・バスルーム等を作ってもらいます。近くにある木の枝や葦のような枯れ茎等を使ってツタで結び付けて器用に作ってく
れます。なんと鶏小屋まで作ってくれました。8人が充分入れる食堂兼事務所には持ってきた机や椅子をセットしました。キッチンの中には粘土
や割れレンガ・石片等を使ってかまどを2ケ作ってくれました。全体を囲む塀や門も木の枝等の同じ素材で作ってもらい、一つの小さなコミュニ
ティが出来た感じです。



テント生活


キッチン



一歩表に出ると休憩中の男女の生徒たちがもの珍しげに近寄って来て話しかけてきます。さらに食事作り等の補助や村の共用井戸からの水
汲み係りとして男女各1名と夜中のWatch man1名を雇い入れました。皆気さくで、チチェワ語の日常会話を教えてもらったりしています。


衣食住のうち現場で一番難儀するのがやはり食事です。彼らはキリスト教徒なので食前には誰かが音頭をとってお祈りをします。アーメンの後
には「いただきます」という日本語を教えました。
朝は紅茶に食パンや卵でまあまあなのですが、昼食や夕食は彼らの主食であるシマ(メイズと呼ばれるとうもろこしの粉を練って豚まん風に蒸し
たもの)にチキンや野菜をつけて手で食べます。が、毎食だとさすがに飽きてくるのでライスもつけてもらうようにしました。
キャッサバ(芋の一種)の葉を細かく刻んでピーナツ和えしたものは香ばしくておいしく食べられました。おかずが無い時には彼らは何の味もな
いシマやライスに砂糖をかけたりして食べています。
たまに作ってくれる油っこいスパゲティがおいしく感じられます。ホテルでの朝食時にもそうなのですが、マラウイでは玉子焼き等はクッキングオ
イルを満たしたフライパンで揚げて作ります。まさにFried eggです。

特に夕食は電気が来てないのでランプの灯りのみで食べます。薄暗いのではっきり見えず、食べている味があまりしません。食事時の飲み物
は水というのにも閉口しました。
ティータイムに紅茶と手製のクッキーとかが出てくるとホッとします。おやつのキャッサバはじゃがいもの味がしておいしいです。
行き来する村人が沢山頭の上に載せて運んでいる砂糖きびは、昔懐かしい味がしました。こういう状態だったので下痢や便秘を心配していた
のですが、慣れたせいか滞在中皆無でした。



住の方は、テント内のマットレスの上にホテルから借りてきた2枚の毛布にシーツ・枕を使い、さらにJICAから貸与された蚊帳を吊り下げていま
す(行く前にはMangochiは暑いので、マラリアを介在するハマダラ蚊がいっぱい居ると脅かされていたのですが、今は乾季なので蚊もほとんど見
かけませんでした)。

朝夕はそれほどでもないのですが、昼間はやはりZombaよりは大分暑くすぐ汗をかきます。洗濯物は干しておいても風が強いので、すぐ砂埃だ
らけになります。
作ってもらったバスルームでは、貴重なバケツ一杯の湯で身体を拭いたり洗ったりするのが精一杯です。衣類の洗濯も朝の洗顔も出来るだけ
水を節約して使うことを余儀なくされます。

夕食が終わってひとしきり談笑(と言っても彼ら同志はチチェワ語で話すのでほとんど解りません)すると、あとは真っ暗なので寝るしかありませ
ん。
夜になると辺りは静かで真っ暗なので、見上げると南十字星をはじめとする沢山の星が夜空一面にくっきりと見渡せます。時には流星も見掛け
ます。電気明かりの無い贅沢な特権です。また時々夜にすぐ近くの畑で突然野焼きをして明るくなるので、火事かとビックリすることがあります。
現場の丘から昇る朝陽と反対側の山に沈む夕陽は壮観です。

現場の丘に昇る朝陽



携帯電話は少し離れた場所まで行かないと繋がりません。それも途中で切れたりするのであてには出来ません。この携帯電話やデジカメ等の
充電は当初は時々Mangochiの街まで買出しがてら出掛けてしていたのですが、途中から現場でも発電機を導入して充電出来るようになりまし
た。
何事もよい経験と思って過ごすしかありません。








                                         
                                           


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