ジャスミンの風

                                         
                                           
マラウイ便り 11-2





 予定していたBlantyreの近くの大学でのスピーチが、学生の都合で来年2月に延期になったので、ホテルの従業員(レ
セプションやレストランの)相手にレストランで空き時間を利用して行いました。タイトルは「日本文化と京都の四季」という
ことで、日本の位置・地勢等一般的な内容から始めて、天皇制・宗教(仏教,神道)・工業立国(新幹線,高速道路網,超高層
建築等)・頻発する地震・衣食住・スポーツ・音楽他を映像で説明。次いで京都について、「以前は日本の首都であって、
Zombaと同じ状況」だったこと、花や雪景色・田圃・竹林等我が家周辺の四季の移り変わりを写真で、さらに嵐山の三船
祭や舞妓の踊り等をビデオで披露しました。京都市観光協会からもらってきた壁張り用の金閣寺や清水寺や舞妓の大
きなポスターを進呈しました。彼らは興味深々で、「舞妓はどういう時に踊るのか?」等色んな質問がありました。また今
まで教えていた日本語の挨拶等もおさらいしました。一時間弱のスピーチでした。




あり塚からの蟻
 業務の方では、ボツワナ旅行のあと12月の中旬に10日間余り、ダイヤモンド探査の現場に出向きま
した。現場では先発隊がボーリング機械設置場所周辺やアクセス道を整備したりしていて、今回はボ
ーリング予定位置周辺の磁気探査による確認調査を実施しました。測定値に余り変化が無いので
(No change)、「これじゃーMr.Obamaも失望してしまうだろうな」と冗談を言いながら……。雨季という
こともあって山の天気は変わり易く、断続的にふる雨でテント内に水が入って来る等悩まされ通しでし
た。総勢8人で、食事は例によってほとんどがシマ(粉にしたトウモロコシの一種に水を加えて茹で、団子
状にした彼らの主食)で、おかゆの時もあります。彼らはおかゆにバターを入れてかき混ぜ、さらに砂
糖を振りかけて食べます。おかずはヤギ肉やチキン・なすび等野菜を煮たものです。また淡水魚や
時によってはあり塚から取ってきた大きな蟻を佃煮風にしたものが出てくるのですが、これらはパスし
ました(淡水魚は元々ダメなので、魚はマラウイでは一切口にしたことがありません。同僚たちに「海
の魚はO.K.で、大概の日本人は生-Sashimi-で食べるのが好きなのだよ」と言ったら、驚いていまし
た)。恒例のホロホロ鳥を買って調理してもらいましたが、さすがにコクがあって美味でした。一羽560
円ほどで、去年より6割方値上がりしていました(山中の村にも経済の圧迫が押し寄せて来ていま
す)。周辺の畑にはこの時期、メイズ(シマの原料)やタバコ・キャッサバ(いもの一種)・ペリペリ(香辛料
の一種)等が植えられており、当国が農業国であることを実感させられます。おやつ代わりに彼らに倣
って生のキャッサバをかじってみたところ、味はじゃがいもに似ているのですがなにしろ固いので食べ
にくかったです。蒸かしたら軟らかくなりおいしくなります。飲料水は近所の井戸から汲み上げて運ん
で来た天然水で、水道水みたいに癖が無くおいしく感じました。ちょうどマンゴー(チチェワ語では英語
と同じくMangoなのですが、この付近で使われているヤオ語でChembeと呼ばれています。ヤオ語は
我々の同僚には全く通じません)の時期で、現場付近で取って来てしょっちゅう食べていました。甘くて
瑞々しく、渇いた喉には最適です。



ある夕食時に、ふと薄暗い食台の下を見ると何と体長7〜8cmほどのサソリが一匹鋏を振り
上げてもぞもぞと這い回っていました。すぐにたたき殺したのですが、以降夕食時には足を
上げて食べるようにしました(30年近く前にリビアの砂漠で黒サソリを見たことはあるのです
が、それ以来でした)。翌朝聞いたところでは隣のテントで寝ていた一人が頭のてっぺんをサ
ソリに刺されたとのことでした。幸い後遺症は無く、事なきを得たようだったのですが……。
去年の毒蛇と言い、雨季には特別の注意が必要です。
テントの中ではしょっちゅう殺虫剤を撒いているので、蚊帳を吊らなくても蚊に悩まされるこ
とはありませんでした。今回は誰もマラリアには罹らなかったようです(昨年は賄いのおばさ
んが罹って帰って来ました)。一方夕食後談笑していると、何処からともなくホタルがチカチカ
と一匹,二匹,三匹と飛んで来ます。これを見るのも雨季の現場の特権です。外へ出ると何に
出くわすか分からないので見送るだけでしたが……。
現場からの帰途、道端で村人が売っているマンゴーを買ったのですが、一盛り25ケほど入っ
て35円ほどでした(一個1〜2円)。部屋で食べきるのにかなりの日数が掛かりました。賄い
のおばさんは途中の青空市場で生きた鶏を三羽買っていました。


テントの周りを歩き回るホロホロ鳥




雨雲
 4時間ばかりかけて現場からZombaに帰って来た翌日には、ホテルのレセプションの女性の
結婚披露パーティが首都Lilongweであるというので、マネージャー(支配人)の車に便乗して行
って来ました。先発隊は午前の結婚式にも出席するとのことで、別の車で午前3時頃出発した
ようです。雨の中を時速80〜100kmほどのスピードで飛ばして往復10時間ばかりの旅程で、
運転は往復とも50才代の女性マネージャー本人だったのですが、一ヶ月ほど前に手術をして
糖尿病の治療中とは思えないほどのタフさでした。肝っ玉母さんみたいな感じの女性で、運転
するのが好きらしいです。教会のホールで催されたパーティ会場に居たのは一時間半ほど
で、新婦へのプレゼントとして「お土産用に日本から持って来ていた竹製の人形と丹後ちりめ
んで織られたカード入れ」に、現場からの帰りに途中の街で探して買った音楽の入ったカード
を添えて手渡して来ました。ホテルに帰り着いたのは夜10時前で、道中は今や見慣れた景色
ばかりだったので退屈で、助手席に座っているだけでもかなり疲れました。





                                         
                                           


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