ジャスミンの風

                                         
 プノンペン便り 2 -3-へ                                
3 -1- 仲間、学校の状況


チュムリアップ・スオ(こんにちは) !!
はや3ケ月余りが過ぎ 当地の大体の様子が分かってきて落ち着き、プノンペン生活を楽しんでいます。雨期に入って 時には風雷を伴ったすごいスコール
に見舞われることもあり、一時に比べると涼しく感じるようになりましたが、それでも最低気温が30℃を下回ることは稀です。
今回は先ず一緒に来た仲間(シニアボランティア;S/V)を紹介し、それから私が赴任している学校の状況をお話しましょう。


土木の執務室の外観(奥が試験室,
手前にあるのが借り上げている車=カロ
ーラ)

(1)
一緒に来た仲間は12人で 年令は48才〜66才(平均59才)。内3人はプノンペンから北西方向に290kmほど離れた第2の都市バッタンバンの職業訓練校
で グループコーディネーター(調整役)・自動車整備・グラフィックデザイン(女性)を担当。あとの9人はプノンペン赴任で 内3人は職業訓練校で工作機械・
空調機器・自動車整備を、 我々3人は総合技術専門学院でそれぞれグループコーディネーター(調整役)・システムエンジニア・土木工学を担当。残る3人
は小学校の音楽教師、電話局で電話伝送技術、病院で臨床検査技師(血液)を担当。さらにこの6月から新しい仲間が2名増えて、1人は上述のバッタンバ
ンで電気機器を 他の1人はプノンペンの電話局で電話交換機担当ということで、同期(第5期)の仲間は現在計14人になっています。残念なことに我が校
のグループコーディネーター(66才)がつい最近 前立腺の病気でバンコクの病院に緊急移送され、その後日本に帰国した とのことで、復帰はむずかしい
状況のようです(親しくしていたが、前々から足が冷えると痛くなる と言っていた)。結局同期の内 プノンペンで一軒家に住むのは、私ともう一人だけという
ことになりました。
なおカンボディアのS/Vについては 2001年に初めて着任して以来、現在38名が滞在し 種々の分野に亘り各地で活躍しています。


(2)
我々が赴任している「プレア・コソマ総合技術専門学院」(Preah Kossomak Polytechnic Institute;PPI)は当国の教育・青年・スポーツ省(MEYS)に所属する
国立の専門学校で 日本の高専に相当する教育機関(1965年フランスの援助により職業訓練校として発足)。ちなみに プレアとは「聖なる」という意味で コ
ソマはシハヌーク国王妃の名前とのこと。場所はプノンペン市の西側で中心街と空港を結ぶ目抜き通りの空港寄りにあり、自宅からは車で20分程度。敷
地面積はおよそ61,000m2で 土木工学科・電気工学科・電子工学科の3学科を備え、共通科目として英語教育とコンピュータ教育を行なっている。各学科
は高卒者対象のDiplomaコース(2年制)と中卒者対象のCertificateコース(3年制)とからなり、午前中は奨学金クラス、午後および夜間は有料プライベート
クラスの授業となっており、それぞれ選抜試験があって入学してくる(総生徒数は現在740名弱、教職員は65名)。土木工学科の場合 奨学金クラスは
Diplomaコース70名(うち女子3名)、Certificateコース73名(うち女子4名)で、有料プライベートクラスはDiplomaコースのみで120名が在籍中。過去にはフラン
ス・旧ソ連・ADB(アジア開発銀行)等の援助に頼っていたが、現在予算はMEYSから直接下りている。とは言っても絶対金額が極端に少ないためADBは現
在も援助を継続しており、時々視察担当者が来校する。現在当校では先日帰国したコーディネーターを除いて4名のシニアボランティアが活動中(電子工
学・英語教育・コンピュータ教育・土木工学)。ちなみに 当国の教育制度は基本的に日本と同じ6・3・3制で、総合大学(数校しかない)は学部4年、修士課程
2年・博士課程3年となっている。一方工業大学や芸術大学は学部5年で1年多く、修士課程2年・博士課程3年は同じ。当校を卒業した生徒は大学を受験
したり、Certificate3年生はDiplomaコースを受験したりということになる。学期は11月から翌年の9月までで 10月は1ケ月間休み。2年前にMEYSから赴任
してきた校長(Director)に 指導の参考にということで 質問状を出して確認したところ、将来は大学と同格の規模(学士・修士・博士課程を備えた)を持ち、か
つ技術供与・職業訓練という2本立ての内容とすることを目指している とのこと。毎週月曜日の朝7時から生徒代表による国旗掲揚に始まる朝礼があり、
校長や事務長のクメール語のなが〜い訓示を聞かされる(数字や簡単な単語以外の意味は全く不明)。一方 同じ敷地内の別の施設を利用して(学校側
が貸与) フランスのNGOが独自に土木の職業訓練コースを運営しており、昨年当校の主要教員が引き抜かれるという事件があった。



PPIでの朝礼前の国旗掲揚(男女2名
づつの生徒による)

(3)
土木工学科の施設としては他学科と共通の講義棟(2階建てで近々拡張計画あり)以外に、我々の執務室に隣接して土質や水理の試験室(Labo.)および
レンガ積み等の実習場(Workshop)が3ケ所ある。直接の指導対象は7:00〜12:00の奨学金クラスであって(月曜日〜土曜日)、平日の午後は教材整備、試
験室および実習場の資機材の点検・整備、教員とのミーティング等を行なうこととしている。なお教員の一部は午後および夜間の有料プライベートクラス
でも教えており(正規の給料だけでは生活できないため)、結構ハードな毎日である。中には学校にはたまにしか出て来ず、民間企業で働く教員も居る(学
校当局は黙認?)。土木工学科の教員は現在7名で、年令は22〜50才(平均33才)。カンボディア工大(ITC)や王立芸大(RAU)や工業教員養成校(NTTI)な
どを出ており、鋼構造学・鉄筋コンクリート学・基礎工学・材料学・測量学・建設積算学・土質試験・レンガ積みやタイル張り実習・建築学他を分担して教え
ている。当方の直接の窓口であるC/P(カウンターパート)のVuthyはITC出身のエリートで32才。日本のゼネコン系列の合弁会社にしばらく勤めていたこ
ともあったが(生活費を稼ぐため)、2000年に当校に赴任。専任の主任教員である。何事にもまじめに取り組み ひとあたりもよく、やる気がある。英語がし
ゃべれる(生徒と一緒に我がS/Vの英語の授業を受講中)。大学での授業はフランス語だったらしい。時々分かりにくい英語の単語がでてくるのもそのせ
い(?)。もっと勉強していつかは修士の資格を取りたいと言っている(この国では学歴で給料が決まる)。執務室内には前任者が用意していった日本語仕
様のパソコン1台と教員達用のクメール語仕様のパソコン2台、それにプリンター・スキャナーが各1台ある。電気・エアコンはついているが、水道は隣接す
る試験室内にのみある。エアコンは日本製であるがリモコンの調子が悪く、使えない時は 旧ソ連製の古いものをつけてみるけれども、大きな音がする割
には効きがもうひとつ。しばらく我慢することになる。


土木執務室内の自席にて(いつもこ
のような格好で執務)

(4)
初めて当校の執務室(4m×10mぐらいの広さ)を訪れた時には、室内には雑然とものが置かれており 壁にはスキャナーからとった写真がベタベタと貼ら
れ、掃除もほとんどされていないような状態だった(電源のところにヤモリが居てギョッとしたこともあった)。そこで最初に取り掛かったのは作業環境を確
保するための執務室内の整備だった。先ず机やらコンピューターの配置換えをして当方の作業場所を確保し、かつ教員たちの使い勝手のよい配置を考
えた。次に定期的にJICAから我々への予算の割当てがあるので、一回目として 執務室周辺の環境を整えるということを掲げて 教員達とのコミュニケー
ションを充分にするための大小の白板各1基、机の上を整理するための整理箱や共通の文房具類、測量実習用の三角関数付き電卓とメジャー、室内を
常に清潔に保つためのホウキ・チリトリ・マット等の清掃用具それに当方が指導を目論んでいる地盤関係教材用のカンボディアの地形図や地質図他の
資料(公共事業運輸省=MPWT=より)等の購入を申請して入手した。別途 校長には、試験室内に手足を洗いやすくするための洗面台の設置(現在は垂れ
流し状態)と試験室側の破損している窓ガラスの取替えおよび執務室出入口のドアに「土木工学科執務室」という意味の表示板の設置方を申し入れた。
以降 必要に応じてC/Pたちと協議しながら 教材や備品(キャビネット等)・試験器具他を順次整備(当国に無いものは日本他からの取寄せになる)していく
予定。



                                         
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