香港旅行記(2)〜香港ディズニーランドの悲劇


香港旅行記(1)はこちらからどうぞ。


 2日目は早起きしてホテルで朝食。僕の場合、朝ごはんというものを食べる頻度そのものが少ないのだが、ツアー料金に組み込まれているということもあり、頑張って食べた。内容は、一般的な西洋風のパンやオムレツもあればお粥や点心もあり、という感じ。

 9時にホテルから香港観光へ。しかしながら、この香港という街、あまり観光地らしい観光地はないらしく、「黄大仙(Wong Tai Sin)」という道教の寺院(と言ってもいいのかどうか?)に連れて行かれる。ここは占いで有名らしく、本殿の前で筮竹が入った筒をシャカシャカと振って、それに書いてある番号で占ってもらいうのだという。僕たちもせっかくなので何か占ってもらおうかと思ったのだが(将来は開業したほうがいいですか?とか)、ガイドさんによると「まだ日本語が通じる占い師の店が開いていない」ということで、結局占いはできず。このガイドさん、とにかく段取りが悪いというか、何か質問してもあまりまともな答えが返ってこないことが多かった。しかし、y嬢との相性などを占ってみて不幸な結果だと恐ろしいことになったかもしれないので、これはこれで天命なのかもしれない。



黄大仙。とにかくすごい賑わいでした。

 それから、「翡翠市場」という、翡翠専門店ばかりが集まったテントで囲われた市場に連れて行かれたのだが、うーん、確かに1個10香港ドル(140円)とかでやたらと安いが、どこの店も同じような品揃えだし、とくに心惹かれる美しいものもなく、10分ほど見て、もう飽き飽きしてしまった。ニセモノばかりとのことだしねえ。その後、時計塔(実物は思ったよりはるかに小さくて、まるで札幌時計台のよう!)やペニンシュラのアーケードなどを散策させられたものの、正直、僕たちはブランドショップが好きなわけでもないし、ブランドショップ群なんて、最近は地方都市のちょっと大きなデパートなら全然珍しくもないし、香港というのは日本と比べると開店も閉店も遅いのでまだ閉まっている店ばかりという、いかんともしがたい「観光」になってしまった。唯一惹かれたのが、「吉野家」。そういえば日本では牛丼復活祭やってるんだなあ、などと思いつつオレンジの看板を見ていたのだが、香港ではアメリカ牛肉が輸入禁止になっているわけではないから、ここなら普通に牛丼が食べられるわけだ。残念ながら、お腹一杯なのとy嬢の静止で香港の吉野家潜入は果たせなかったのだが。


香港の「下町」?綺麗な超高層マンションの谷間に、古いアパートがひしめいていました。

 お昼は、「糖朝」というマンゴープリンで有名な店でお粥と麺と点心をいくつか。そしてデザートにマンゴープリン。お粥はなかなか美味しかったのだが、麺がすごく細くて固く、生煮えのチキンラーメンのよう。スープも薄い感じでわれわれの口には合わず。以前ラスベガスのカジノ内のレストランの「ヌードル」の店で同じようなものが出てきて「なんじゃこの店は!」と愕然としたのだが、香港の名店がこれだとすると、本場の「麺基準」がこういうものだということなのだろう。先日「香港では『出前一丁』が生活の一部に!」という記事を読んだばかりだったのだが、うーん、これならみんな出前一丁を選ぶのもわかるかな……などと名店で無礼なことを考えてみたり。ちなみに有名なマンゴープリンは、甘さ控えめ、という感じで、不味くはないのだが、日本のコンビニには、もうちょっと美味しいのが売っているかも……という味だった。マンゴープリンの値段は30香港ドルくらいと、全体的に非常にリーズナブルな価格設定のお店ではあったのですけど。

 それから部屋で2時間程度休憩後、インターコンチネンタルのロビーのカフェで、y嬢希望の「アフタヌーン・ティー」を。英国スタイルのティータイムをなぞったもので、我々の前には、お茶と一緒に、3段に分かれて、小さなケーキ、サンドイッチ、焼き菓子などが乗っているデザート棚が置かれた。この中で好きなものを選べってことかな?と思っていたら、なんと、この3段重ねが全部一人分とのこと。さきほどお粥+点心+マンゴープリンというハードな昼食を摂った直後で、かなり厳しい腹具合だったものの、ゆっくりと時間をかけてなんとか完食。しかし、これだけで十分昼食分くらいはありそうだった。

 それにしても、インターコンチネンタルのハーバービューは素晴らしく、ハーバーを行き交う船は絶えることがなくて見飽きない。いやー、セレブだねえ、とチップを多めに払ったのだが、y嬢が「あんたのチップは非常識だ。店のお姉ちゃんがビックリしてた。バッカじゃないの!」と罵倒されて、プチセレブ気分終了。楽しかったんだからいいんじゃないかと思うのだけれど、チップの出し方というのは本当に難しく、いつも会計が近づくとドキドキしてしまう。

 ティーブレイク後、まだ重いお腹を引きずりつつ、香港ディズニーランドに出発。旅行日程上、ディズニーランドに行くとした今日しかなかったため、僕が無理を言ってここに入れてもらったのだ。しかし、エレクトリカルパレード久々に観たいなあ、とか思っていたら、香港には無いことが判明。さらに、僕の中では「香港ディズニーランドは空いているらしいから、短時間でも乗り物乗り放題!」というようなイメージがあったのだが、到着してみるとその甘い考えは見事に覆された。土曜日の午後とはいえ、とにかく人が多い!

 確かに、東京ディズニーランドの「2時間半待ち」とか「3時間待ち」というような極限状態はみられないものの、人気のアトラクションは軒並み1時間以上の待ち時間。規模は東京ディズニーランドより小さく、たぶん、混み具合も週末の東京ほどではないのだろうけど、2時間半は、半分にしても1時間以上だからなあ。先にスペースマウンテンのファストパスを取り、まず、ミッキーズ・フィルハーマジック」へ。30分待ち。3D映像で繰り広げられるドナルドの大冒険。どこにでもあるような3D映像なのだろうけれど、そこに流れているのがディズニー映画の名場面というだけで、かなりの満足感。やっぱり、「定番」を持っているところは強い。

 それから、「フェスティバル・オブ・ライオンキング」へ。1時間待ち。ミュージカル「ライオンキング」の縮小版、という雰囲気なのだけれども、かなり凝った作りになっていて、残念ながら言葉は全然わからなかったものの十分満足。これをタダで(とはいっても、入場料は払っているのだけれど)見せてくれるなんて!という感じ。

 閉園まであと1時間半、というところで、運命の選択が訪れた。あとひとつくらいは乗れそうだったのだが、「スペースマウンテン」のファストパスの時間まではあと30分ある。そこで、今まで行ったことがない、「バズ・ライトイヤー・アストロ・ブラスターズ」というアトラクションに並ぶことに。80分待ちの表示が出ていたのだが、うまくいけば、これに乗ったあとにダッシュでスペースマウンテンにも乗れるはず!

 ……だったのだが、行列は遅々として進まず、結局、乗り物に辿り着いたのは20時近く。ああ、もうスペースマウンテンには乗れないけど、せめてこの「バズ・ライトイヤー」を楽しもう!と思っていたのだが、このアトラクションが、とにかく激烈につまんない!ゆっくりと進むコースターに乗りつつ、光線銃でターゲットを狙って点数を稼いでいくのだけれど、なんというか、遊園地の屋上の的当てゲームが長ったらしくなって、ターゲットにディズニーキャラの絵が描かれているだけなのだ。あまりのつまらなさに、y嬢などは途中で光線銃を下ろして、溜息を連発。1時間半待って、スペースマウンテンをなげうってたどりついたのが、このダメアトラクションだったとは……

 こんなの乗るくらいなら、家のプレステで「タイムクライシス」でもやってたほうがはるかにマシだった……

 その後、閉園の花火を観て、すごい人ごみに紛れつつお土産を買う。しかし、香港の人は、土産物屋がオイルショックのときのスーパーみたいになっているにもかかわらず、両手に売り物のぬいぐるみを抱えて記念撮影をしたりしているのだ。邪魔だから勘弁してほしいし、空いているときならともかく……と思うのだが、基本的に大陸の人々は、「人の迷惑になるから……」というような発想はあまりないらしい。というか、自分から主張しなければ他人に埋もれてしまう、という感覚のほうが強いみたい。


香港ディズニーランドと恨めしい「バズ・ライトイヤー」。うーん、幼稚園くらいの子供なら楽しめるのかも……

 遅くなった夕食は、香宮(Shang Palace:シャンパレス)という、今回の旅行のなかでも最高級のレストラン。フィンガーボールがスッと差し出されたり、なんか硬い貝だなあ、と思っていたら、「ゴチバトル」でしか見たことがないアワビだったりと戦慄の饗宴。最後のあんかけチャーハンも絶品で、なんとあんにはフカヒレが!「世界ホテルレストランベスト10」に入ったこともある店ということで、さすがに美味しい料理の数々で満足したのだが、今日すでに朝食・昼食・アフタヌーンティーと3食を食べまくっている我々の率直な感想は、「お腹が空いているときに食べたら、もっと美味しかっただろうねえ……」だった。ほんと、勿体ない勿体ない。

 23時過ぎにホテルに戻ったとたんに猛烈な眠気に襲われ、そのまま就寝。明日はマカオへ。


『香港旅行記(3)〜マカオ弾丸ツアー』に続きます。