ボストン旅行記<11月4〜5日 麻省からの帰還>


11月3日(後編)の続きです>

 今日は、ついに日本への帰国の日。
 5時に起きて、荷物の整理をしたのだけれど、お土産が多すぎて、トランクが閉まらない。
 ほとんどお土産買わなかったはずなのになあ。

 旅行鞄は、大きければ大きいほうがいいっていうのは本当だと実感。
 6時前に迎えのバスに乗り、ローガン空港へ。やっぱり早朝は寒い。

 治安が悪くて、暗いうちは人が出歩くことなんて無いと思っていたアメリカなのに、
意外と真っ暗な中で散歩やジョギングをしている人がいるものだ。

 空港は、まだ人もまばら。7時前だから当たり前なのだけれど。
 9時前の飛行機で、行きのときと逆にシカゴにフライト。

 しかしながら、荷物検査で、また虐待のかぎりを尽くされた。
 ただでさえ一度開けたら閉まらない状況の旅行鞄を開けられ、
 荷物をグシャグシャにされたために閉まらなくなったのだが、もうこれが力づくとしか言いようが無い閉め方。ひどい。

 さらに、機内に乗り込むときにも、嘘八百の「ランダム・チェック」。
 われわれ一行をはじめとして、日本人ばっかりがひっかかってるのに、ランダム・チェックかよ。
 差別が無い国というお題目は、こういうときに却って嫌な感じだ。

 ベルトの金属にまで反応する金属探知機で全身を調べられ、文字通り靴の底まで調べられた。
 ああ、日本人は、アメリカの友人じゃなかったのかい?

 やっとのことでシカゴ空港に。そして、シカゴ空港からJALで成田へ。

 シカゴ空港でのJALのセキュリティーチェックは、今までと比べものにならないほど緩やかだ。
 日本人だからなのかと思ってみていたが、そうでもなさそう。

 今までセキュリティーチェックで虐待の限りを尽くされていたので、同胞の温かさが身に染みる。

 そして、現地時間の13時過ぎに、いよいよ帰国便が離陸。
 JALだと、言葉も通じるし、スチュワーデスさんチェックもできる。至福だ。
 しかし、至福のときは、そう長くは続かなかったのだ。

 まず、これは行きもそうだったのだけれど、席が狭い。
 隣の人とぶつからないようにするには、かなりの気配りが必要だ。

 僕の席は、エコノミーの3席横並びの真ん中で、通路側は同行のK先生。
 窓側は、たぶん中国系の人のようだ。食事も特注のベジタリアン用のものを食べていたみたいだったし

 成田までの飛行時間は、約14時間。
 しかし、この最後の長旅の最大の敵は、意外なところに潜んでいた!!

 僕は、座席に据付のテレビで映画を観ていたのだが、まだ当時は日本で未公開だった
「マイノリティ・レポート」を観ようとして3回途中で寝てしまったため、
 世界名作劇場「フランダースの犬」を赤ワインを呑みながら観ていた。

 物語は佳境に入り、大雪の中、アロアのお父さんの家に金貨が沢山入った財布を届け、
よろよろと教会に向かうネロ。付き従うパトラッシュ。

 そして、ネロとパトラッシュは、ルーベンスの絵が飾ってある教会へ…

 まさに、「フランダースの犬」最高の泣けるシーン。

 もう、ウルウルしまくっていたそのときのこと…

「先生〜なにみてんの〜」

 かなり酔っ払ったK先生が、話しかけてきた。というか、からんできた。
「ね〜ね〜何みてんの〜」
 御機嫌だ…

備え付けのテレビの画面には、今まさに天に昇ろうとしているネロとパトラッシュ。台無しだ…

 しばらく絡まれたのち、K先生はようやく就寝。
 目の前に、新人さんらしいスチュワーデスさんが座っていたのだが、
知らない女の人と向かい合わせというのは、けっこう緊張する。しかも半日だし。

 結局、持っていた小説「王妃の離婚」を読んだり、
備え付けのテレビで「MIB2」や「マイノリティ・レポート」
(4回目にして、ようやく全部観られた)を観たりしながら、大部分は寝て過ごした。
 パソコンがあったら、退屈しないんだけどなあ。

 そして、14時間のフライトの末、11月5日の夕方に、成田空港着。

 普段だったら、ココまで来るのだって福岡からは遠いのに、今回は「帰って来た!」という実感。
 飛行機の車輪が滑走路についたときは、本当に嬉しかった。
 日本の空港は、当たり前だが看板も日本語表示だし、行きかう人々も日本人が多い。
 心のシートベルトが外れた感じだ。

 空港のレストランで、またビールを飲みつつカツカレーを食べた。
 まったくもってごく普通のカレーなのだが、とても美味しくて、懐かしい。

 それにしても、成田の税関のチェックって、優しいというか、甘いというか…
 「何もないですね?」「はい」でフリーパス。

 麻薬でも持ってたら、犬が飛び出してきて噛みついたりするんだろうか?

 さらに飛行機を乗り継いで、福岡空港着。
 そこから高速バスに乗り、家へ。

 たった5日間だったけど、ほんとに充実した旅行だったと思う。
 感じたことは、人間のやることは、地球の裏側でも、そんなに変わらない。
 でも、言葉と人種の壁というのは、けっして生易しいものではないな、ということ。

 たぶん、僕に海外留学は、できそうにない。

 家に辿りついて、湯舟に久々にゆっくりつかり、24時半に就寝。

 でも、明日から普通に仕事なんだよなあ。


  <ボストン旅行記・完>


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