九龍北側の竹園邨は獅子山（Lion Rock）の麓にギリギリまで迫った団地地区。そのバスターミナルから、獅子山の麓沿いに西に向かう路線で終点は長沙湾。樂富、九龍塘、白田、石�z尾、深水[土歩]と、観光客には余り御用のなさそうな、そして香港セレブも関係なさそうな地域を貫いて進む。そのためか、いまだマヨネーズ色と赤の非冷房ＫＭＢバスが多く使われている。

かつての「難民アパート」　石�z尾

　バスターミナルを出ると、傾斜地の団地群の中を竹園道、聯合道と一気に駆け下り、九龍塘の広がりのある伸びやかな風景の中に入る。左の車窓は、聯合道公園、バプティスト大学、人民解放軍基地と続く香港らしからぬ景色。歌和老道で九広鉄路を下に眺めながら越える。

　急カーブで南昌街に入ると、後は石�z尾の古いアパート地区に突入。私はここの中心「石�z尾商場」バス停で下車。石�z尾はいまやほとんどここだけになってしまった香港難民アパートが現存する。既に一部の街区では取り壊しが始まっているが、いまなお戦後の臭いのする古くて環境の悪いアパートに多くの人が住んでいる。1950年代に発生した九龍暴動の舞台でもある。建物が劣悪な割には地域全体が軽やかに明るい感じがするのが不思議だった。

　今でも人が住んでいるこの古〜いアパートの17、18号棟１階にはここの劣悪な住環境の歴史を展示する博物館がある。すぐ上や両側は普通に住民がいるのにである。2006年3月までは毎週土曜の午後に見学ができる。

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