過剰なインターネットの使用と思春期のうつ病との関係

最新疫学研究情報No.78

オーストラリアのノートルダム大学医学部のLawrence T.Lam博士と、中国の中山大学公衆衛生学部のZi-Wen Peng氏の共同研究により、「過剰なインターネットの使用は、うつ病の発症リスクに影響を及ぼす」との発表がなされました。

研究チームは、広州に住む13~18歳の中高生1,041人を対象に、インターネットの使用状況についてのアンケート(*過剰な使用による中毒症状の有無についての質問を含む)と、うつ病や不安神経症を診断するためのテスト(※1)を実施しました。9カ月後に再び同様の調査を行い、「インターネットの過剰使用と精神障害」との関係を比較調査しました。

その結果、インターネットを過剰に使用していた人たちは、インターネットを適切に使用していた人たちに比べ、うつ病の発症リスクが約2.5倍になることが確認されました。一方、過剰なインターネット使用と不安神経症との関連性は見られませんでした。

Lam博士は、「今回の研究により、精神障害などの問題がない若者であっても、過剰なインターネットの使用により、うつ病の発症リスクが高まることが示された。これらの結果は、特に途上国における若者の精神疾患を予防するうえで重要な意味を持っている」と述べています。

※1このテストは、アメリカのデューク医科大学精神科のツング教授が作成した"抑うつ性自己評価尺度"を用いて行われました。うつ病の傾向を簡単に知ることができる自己診断テストとして、臨床においてもよく利用されています。

出典

  • 『Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine online版 2010年8月2日号』
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