膝関節炎に対するウコンの効果
最新疫学研究情報No.70
タイのマヒドン大学の研究チームによって、「ウコンはイブプロフェン(*西洋医学で一般的に使われている鎮痛剤)と比較して、膝関節炎の痛みの軽減と機能の改善に効果がある」との報告がなされました。これまで肝機能に対するウコンの効果(胆汁の分泌促進など)は知られていましたが、膝関節炎に対する効果は確認されていませんでした。
この研究は、膝関節炎の鎮痛作用と膝の機能改善についてのウコンの影響を確認するために、イブプロフェンとの比較においてその効果を明らかにしたものです。
研究チームは、大学病院の膝関節炎患者107人を対象に、ウコン(2g/日)を摂取するグループ(52人)と、イブプロフェン(800mg/日)を摂取するグループ(55人)に分け(無作為抽出)、被験者に対し2つの方法を用いて調査しました。1つは平地での歩行と階段の昇降による痛みの程度の測定、もう1つは100m歩行と階段の昇降に要する時間の測定(*膝の機能の改善を調べるため)で、6週間にわたって比較調査が行われました。
その結果、ウコンを摂取したグループはイブプロフェンを摂取したグループと同様に、週を追うごとに歩行の痛みは低減し、膝の機能も改善したことが明らかになりました。ただし、今回は階段の昇降時の痛みについてのウコンの効果は明確にされませんでした。この研究では、ウコンの摂取による副作用はないことが確認されました。
研究チームは、「今回の研究によりウコンは膝関節炎に効果があり、安全性にも問題がないことが示された」と結論づけています。
出典
- 『PubMed 2009年9月7日』
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