手術後のチューインガムは、腸の回復を早める
最新疫学研究情報No.50
米国のノースカロライナ大学の研究チームによって「手術後にチューインガムを噛むことは、腸の蠕動運動を刺激し、腸機能の回復によい影響を与える」との報告がなされました。
研究チームは、膀胱ガンで手術が必要な患者102人を対象に、チューインガムを手術後に与えるグループと与えないグループに分けて、術後の腸機能の回復状態を比較分析しました(※1)。手術後初めてガスや便が出た時点で腸機能が回復したと判断され、ガスや便が出るまでの時間が短いほど腸の回復が早いとみなされます。
調査の結果、チューインガムを与えられたグループは、与えられなかったグループに比べて、ガスが出るまでの時間が早くなることが明らかになりました。また排便に要した時間も、チューインガムを与えられたグループの方が短くなることが確認されました。一方、入院期間については、2つのグループの間に差は見られませんでした。
研究チームは、「今回の調査結果は、直腸手術における他の研究データとも一致している。チューインガムを使用することは、手術後の腸の回復機能を高めるための簡単で安価な方法として効果的であることを示している」と結論づけています。
※1膀胱ガンなどの手術では、医療処置を施して腸の機能を一時的に停止させます。この実験は、手術後患者にチューインガムを噛ませることによって、腸の蠕動運動が促進され、腸の機能が早く元に戻ることを確認しようとするものです。
出典
- 『Urology Vol.70 2007年12月号』