肉を多く食べると、さまざまなガンになりやすい
最新疫学研究情報No.42
米国の国立ガン研究所の研究チームによって、「赤肉(※1)や加工肉(※2)を多く食べると、さまざまなガンになりやすい」との報告がなされました。
研究チームは、米国に住む50~71歳の男女50万人以上の健康データを分析し、肉の摂取量とガン発症について8年間の追跡調査をしました。期間中にガンを発症した53396人の食物頻度調査票(124品目)のデータをもとに、徹底した分析が行われました。
その結果、赤肉と加工肉の多量摂取によって、前立腺ガンや結腸直腸ガン・肺ガンの罹患率が上がることが明らかになりました。特に、赤肉の多量摂取は咽頭ガンのリスクを上げ、加工肉の多量摂取は膀胱ガン・骨髄腫発症への影響が大きいことが確認されました。また男女別にみると、赤肉と加工肉を多く摂取する男性は、すい臓ガンの発症リスクが高まり、赤肉を多く摂取する女性は、子宮体ガンのリスクが高まることも明らかになりました。
この研究を指揮したAmanda J.Cross氏は、「これまでの研究では、肉に含まれる飽和脂肪酸や鉄が、ガン発症に関与していることは確認されているが、今回の大規模な研究によって、肉の摂取量の増加がさまざまなガン発症のリスクを高めることが確かめられた」と述べています。
※1赤肉(Red meat)――牛肉・豚肉・羊肉
※2加工肉(Processed meat)――ベーコン・ハム・ハンバーガー・ホットドック・ソーセージなど
出典
- 『PLoS Medicine 2007年 12月号』