統合医療からホリスティック医学へ

統合医療が目指す目標

統合医療が次に目指す目標は、「ホリスティック医学」です。統合医療は、ホリスティック医学という最終目標に至る前段階の医学です。

医学は、それぞれの時代のさまざまな知性的要素(科学・学問・文化・宗教・思想など)を反映するものです。統合医療は、これまで主流を占めていた現代西洋医学と比べたときには一歩進化した医学と言えますが、本来のホリスティック医学とは大きく隔たった未熟な段階にあります。統合医療は今後、「真のホリスティック医学」に向かって少しずつ歩みを進めていくことになります。

統合医療からホリスティック医学へ

統合医療が真のホリスティック医学にまで進化するためには、現代西洋医学の思想のベースとなっている「唯物的人間観」を根本から変えなければなりません。地球上の医学を向上させるためには、主流である現代西洋医学の“唯物主義”を打破することが必要です。それが、統合医療が真のホリスティック医学に移行していくための必須条件なのです。

現代西洋医学の“唯物主義”を打破するためには、これまでになかった新しい総合的な医学思想が必要となります。統合医療を「真のホリスティック医学」に引き上げるためには、従来の医学の枠を越えたトータル的・包括的な医学思想が不可欠です。しかし、これまで地球上には、そうした医学思想は存在しませんでした。そのため統合医療は同じ段階にとどまり続け、それ以上、進化することができなかったのです。

新しいホリスティック医学思想と、その理論モデル

ホリスティック医学とは、その言葉が示しているように人間を“ホリスティック”に理解し、それに基づいて“ホリスティック”な治療をすることを目指す医学です。人間をホリスティック(全体的)に理解するためには、ホリスティックな「人間観・身体観」「健康観」「治療観」を含むトータル的・総合的な医学思想が必要とされます。それが、新しいホリスティック医学思想です。その新しいホリスティック医学思想を体系化することによって、真のホリスティック医学の「理論モデル」が成立することになります。

統合医療が真のホリスティック医学にレベルアップするためには、これまで地球上に存在しなかったホリスティック医学思想と、その理論モデルが不可欠です。まさにそれこそが、「真のホリスティック医学」が成立するための絶対的条件となるのです。

ホリスティック医学における人間観・身体観の最重要ポイントは、「霊」についての認識

新しいホリスティック医学思想の登場によって初めて、統合医療は「真のホリスティック医学」に進化していくことができます。そのホリスティック医学思想の土台・出発点となるのが、ホリスティックな「人間観・身体観」です。それがあってこそホリスティック医学思想が成立し、真のホリスティック医学が実現することになります。

ホリスティックな人間観・身体観というと、真っ先に問題となるのが「霊」「霊魂」「霊性」といった存在です。唯物的医学思想に立脚した西洋医学は「霊」や「霊魂」といったものを敬遠し、否定します。宗教が説いてきた迷信・人(ひと)騙(だま)しの教えと決めつけます。「霊」や「霊魂」といった言葉は、医学関係者から激しい反発を招くことになります。

とは言え、この「霊」や「霊魂」こそが、ホリスティック医学思想の人間観・身体観の最も重要なポイントです。ホリスティックな人間観・身体観を確立するためには、不可欠な要素なのです。しかし、それは科学と正面衝突するという厄介な問題を引き起こすことになります。そのため「霊」や「霊魂」という言葉は、統合医療やホリスティック医学関係者を悩ませてきました。そうした言葉を持ち出すことによって、現代西洋医学と敵対関係に陥ることになるからです。

統合医療は、「霊」「霊魂」「霊性」といった純粋な宗教的テーマと関わりを持つべきなのか? それとも科学的医学の一員として「霊」や「霊魂」の存在を否定し、無視すべきなのか?――今の統合医療には、その選択が迫られています。

困ったことに、現在の統合医療やホリスティック医学関係者の中には「霊」や「死後の世界」について肯定的な人と、それらをすべて“迷信”と決めつける否定的な人がいます。同じ統合医療やホリスティック医学を目指す人間の間に正反対の見解があって、対立しています。実はそれが、現在の統合医療がホリスティック医学に至ることができない最大の障害なのです。統合医療の“最大の敵”は、統合医療の内部に存在しているのです。

宗教と科学を統合する試み

「霊」や「霊性」といった問題は、人間にとって最も重要なテーマであるにもかかわらず、いまだ未解決の難問の1つとして残されています。「霊」や「霊性」といえば誰もが宗教を思い浮かべ、それは科学とは相容れないものであると思っています。科学からすれば、霊魂や死後の生命といったものは、すべて宗教がつくり出した“迷信・空想”ということになります。

そうした状況下で、「霊」や「霊性」の概念を医学の中に取り入れるということは、犬猿の関係にある科学と宗教を1つに合体させるのと同じことです。「真のホリスティック医学」の理論モデルを確立するためには、霊や霊性の問題を真っ先に解決することが必要です。しかし、そのためにはこれまで体験したことのない“宗教と科学の合体”という大きな壁を乗り越えなければならないのです。

宗教上のテーマを医学の中に取り入れる難しさを考えると、ホリスティック医学の未来に対して絶望的な気持ちになります。しかし今、その最大の難問が“スピリチュアリズム”の登場によって解決されようとしています。スピリチュアリズム運動によってもたらされた「霊的知識・霊的情報」によって、ホリスティック医学の「理論モデル」の確立が実現可能になってきたのです。

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