immortal beloved 07




生まれは仙台に近い街だと聞いていた。
降り立つと濛濛と煙る小雨の世界だった。まるで閉じられているような。身震いを一つすると外套の衿を頸根に寄せた。嘗て江戸期には伊達六十三万石の城下町はいまや東北最大の都市である。待ち人は来るだろうか。増岡はタクシーの並ぶロータリーを眼前にじっと立ち尽くした。事務所から連絡を入れた。当人は留守にしていて「伝えておきます」といった電話口の女性を信じるほかに無かった。彼とはもう長くあっていない。東京を後にしていたことなども今回初めて知ったようなものだった。増岡の名前を聞いて驚いただろうか。それとも…。取りとめも無い思考が泡沫のように浮かんでは消えた。
「ちょっとあんた、」
黒色の外套に帽子を被って、「如何にも」な国鉄職員だった。
「あんた、増岡さんかい?」
見知らぬ男だった。東京に国鉄職員の知り合いはいるが、流石にこちらにはいない筈だと、依頼人の顔を思い浮かべていた。
「慥かに増岡ですが、あの…申し訳ありませんが…」
「ああ、良かった。昨夜、刑事さんに増岡と云う男が待ちぼうけを喰らっていたら、掲示板を見るようにと託を頼まれてね」
「刑事?」
「ああ、県警の、ね。じゃあ伝えたから」
手を上げて、自分の業務に戻ろうとする、駅員を呼び止めた。
「すみませんが、掲示板て言うのは何処に、」
駅員は改札近くの黒板を指差した。頭を下げると忙しそうに駅員は小走りに詰所へ戻っていった。程なくして大量の人間が駅内から吐き出されてくる。それを眺め遣りつつ、増岡は人の流れに逆らうように掲示板とペンキで書かれた小さな黒板に近付いた。まるで川を上る鮭の気分だった。其処には様々な伝言が乱雑に記されていた。書き殴りだ。駅の黒板にある。
例えば待ち合わせをしていて、相手は来ない。然し列車の時刻は刻々を迫る。発車間際に慌てて伝言を記す。そんな人々の情景を鮮明に写し取っていた。その一つ一つに眼を通しながら、増岡は左端に小さく、『海へ』と記された文字をに行き着いた。署名もされていた。 ………望んだ姓名だった。
タクシーに乗り込み、
「海へ行ってください」と伝えると、少し厭な顔をされた。
「海って言っても…ねえ。仙台港とかかい?」
「…あ、いえ、」
掲示板には「海」としか記されていなかった。少し戸惑った。
「じゃあ…此処から一番近い、海辺にお願いします」
バックミラー越しに怪訝な目線を送られたが、増岡はそれを無視した。駅から東に向うタクシーの中で増岡はただ雨音だけを聞いていた。逸る心を抑えられず、増岡の脳裏は様々な由無しごとが行きては去って往く。その中で雨音だけが鮮明だった。タクシーが停まると眼前には堤防と灰色の海と空が広がっていた。料金を支払い、車を降りる。
「此の辺り、タクシー掴んないよ。待ってようか?」
と訊く運転手に増岡は断りを入れる。
「これからどれほど時間が掛るかわからないんです」
そう言うと更に怪訝な顔をされた。灰色の海と空には境界が無かった。
去って往くタクシーの機動音を聞きつつ、堤防の階段を増岡はゆっくりと下りていった。砂に跫が沈み、一歩踏み出すと革靴の中へ砂が競り込んで来た。少し水分を吸っているがそれでも砂は滑らかだった。
漣が見えた。
灰色の海は、能く見れば白い飛沫で推しては返し波の音をさせている。
冬の海辺は寂しかった。沖を一船汽笛を上げて右から左へ進んで往く。人の姿は無かった。
少し風があって、小雨は眼鏡に当たった。
影が増岡を襲う。
黒い傘を差し出されたのだ。
心臓が競り上がるかと思った。肩が上がって、ゆっくりと振り返ると、其処には『彼』が居た。
「お久し振りです」
穏やかに彼は言った。
黒い傘の柄を差し出され、それを受け取り握ると、彼は左手に下げていたもう一つの傘を開いた。
紅い傘である。
「それは、」
「うちの女性のを借りてきたんです。生憎と忙しいもので、傘を買いに往く閑がなかったんです」
その幼顔は緩むことさえしない。
「君はいまも刑事なんだね」
「諾。それ以外にするものが見つからなかったから。此方に戻ろうと決めたとき転出届を出しまして」
此の穏やかな幼顔の男を特攻上りだと思う者はそうは居ないだろう。
彼は、黄土色のトレンチコートの前を確りと締めて、紅い傘を差している。
増岡から目線は海へ反らされ、
「少し歩きましょうか、」
と言い増岡に背を向けた。
その背を追うように増岡も歩を進める。
「三年くらい前に国から新産業都市「仙台湾地区」とか言うものの指定を受けましてね、今航路や防波堤、土地造成の工事が大童に進められているんです。此の砂丘も向うの干潟も僕が幼い頃は広かったし、七北田川も水の量がもっとあった。此処は僕の郷里ではありませんが、親戚が此の辺りにありましてね、能く来たんですよ。あの頃とはまるで違う。そして、此の風景も一時の借り物で、すぐに滅び去り、数年後にはまるで違う顔になるのでしょうね」
鈍色をした波頭が視界の端で揺らいでいる。歩みを進める毎に革靴の中に砂が少しづつ競り込んできた。
「ああ。成程。諸行無常と云うのかな、」
波と共に風は冷たく歩む二人を打ち付ける。傘の柄を短く握りながら、増岡は肩を窄ませていた。海と殆ど変わらない色をして低く垂れ込めた曇天からは今にも雪が降るのではないかと思わせた。凍て付くように寒い。
砂の上は酷く歩き難い。彼は歩き馴れているのかどんどん離されていった。まるで此方を賃借しない歩き振りに、増岡のことなぞ忘れ去ったかのようだった。

その姿は、惨い――――――

増岡は咽喉を鳴らした。
彼の利己的な、如何にも利己的なその行いは、共に居る者を孤独にしかさせない。
その距離が五十メートルも開いた頃、漸うと増岡は声を上げた。
「待て!待って!待ってくれっ」
紅い傘が止まった。
増岡は彼へ駆け出した。
二人の間は、たった五十メートル程だ。
しかし、それはされど五十メートルだった。
途轍もなく長く、永い距離に感じた。
不図、擬視感が襲う。
然し、それは己ではない。
違う人物だ。
関口は此処を駆けたことがあるのではないか、と。
否、あれは中禅寺の見せた幻視ではなかったか―――――
「おいっ」
たった五十メートルの全力疾走に咽喉が灼けるように、血を吐くように感じられた。声を上げた。
「君に、」
あと十メートルだ。
「君にっ」
もうすぐ彼の許に辿り着く。
増岡は腕を伸ばした。彼から借りた黒い傘が、風を孕んで、増岡から後退する。増岡の髪は潮風に曝され、頬は冬の寒気に赤味を増した。伸ばした腕は彼の袖を掴んだ。
「君に、君に、渡さなくてはならないものがあるんだ」
左腕に大事そうに鞄を抱えた増岡を、彼は静かに凝乎っとみつめた。
呼吸が辛かった。血反吐が競り上がるかもしれない。そう思わせた。軽く躰を曲げて肩で息をし、彼の名を読んだ。
「君たちは、何故、道を別った…?」
関口は何もかも棄てて此処へ来たのではなかったのか。
「君は、自分を万歳三唱の許、死地へ送り出した故郷に帰る心算はなかったんだろう?だから東京で刑事になって…。だ、だのに此処へ戻ったのは…彼と共に生きる為じゃなかったのかい!?」
躰が酷く熱かった。その熱に任せて、増岡は言葉を吐き出した。そして大きく一つ吐息して彼の袖から手を離し、ゆっくりと躰を伸ばした。
「関口くんにしたって……君と生きる為に、何もかも棄てたのに。だのに…」
何故、離れてしまったのか。今此処に共に居ないのか。
叫ぶように声を上げる増岡に自身の差す紅い傘を傾けつつ、彼の表情はただ無感動に硬質に、静かだった。
「増岡さん。僕に、渡すものってなんですか?」
案の定、そして彼の口から出たものは答えではなかった。
咳をして、外套からハンケチを取り出し額に浮いた汗を拭った。呼吸をどうにか整えると、増岡は鞄を開けた。
今まで幾人を廻っただろうか。人の間を渡り歩こうと、此の鞄は開けられることはなかった。
それがこんな海辺の今にも雪がもよいそうな穹の下―――――
「もう、十年以上前になるだろうか。私の憶測では……東京に戻った直後の筈だ。私の事務所へ彼はやってきた。余りに唐突で、少しだけ面喰らったよ。況して内容は、遺言書だと言う。弁護士の私の処に来るのなら法的な遺言書の手続きだと思うだろう?財産分与だとか、著作権のこととか。けれど、そうではなく、実際は彼が望んでいたものは死後のそうした小説家としての著作及び財産の扱いではなかった。否、彼の中では同じ扱いだったんだろうな。遺言書は死後にまで及ぶ、屍者の意思を物化するものだから。でも関口くんの場合、彼の遺言とは本当に死後に残したい、その、それ自体だった」
「それ自体、」
復唱した。
「彼は雪絵さんには妻と云う社会的な場所とその財産を残した。たぶんそれに迷いは無かっただろう。迷いが無いからこそ関口くんは彼女と婚姻を結んだのだし。関口巽の死に寄る悲しみの中心にいると言う妻と云う立場も、著作と云う財産も彼女に残すことで、彼は自分の情愛を示したんだ。然し、此処には、それ以外のものがある」
増岡は自分の口調が次第次第に速まっていることに気付いて、言葉を区切り、呼吸を継いだ。
「これは、彼の死の一年前に、私の許へ送られてきた、君への意思だ。青木文蔵くん、」
波の音と風の音が聞こえた。
酷く厳しく身を打ちつける風に躰は汗を掻いたことで急激に冷え出した。洟をすすった。
増岡が鞄から取り出したそれは、黄土色をしたまるで素っ気の無い事務にでも使われるような封筒だった。まるでその辺の有り合わせのもののようにみえる。
草臥れた、薄い封筒。
青木は長い間それ凝視していたが手に取ろうとはせず、また海に眼をやった。静かな透徹とした横顔だった。夏の陽に曝された日焼けは未だ褪せず、幼顔は何処か浅黒い。それがまた彼に青年と云うよりも少年じみた印象を与える。
あの頃から、まるで変わっていないような。
時間が止まってしまったような。
「あの人は、」
差し出した増岡の手が悴み始めた頃、漸く青木は口を開いた。


「―――――関口さんは、死んだのですね、」


眦が裂かれた。
脳天を霹靂に撃たれでもしたかのような―――――
「あ…、」
声が自然と震えた。それは寒気の為ではない。
「青木くん?」
増岡は鼻を啜って、ゆっくりと眼を閉じ、また押し開いた。
相変わらず、青木の表情は静かで、封筒に眼を落としていた。
青木は、彼は知らなかったのだ。榎木津は来なかったと言っていた。だからこそ、関口宅にいって弔問の帳面を見て、また木場の許へ行き、青木の名前を確認した。
その一連の作業の中で、増岡は、青木は来なかったのだと思っていた。
それは能動的に、自らの意思で、関口の死に対峙しなかったのだと。
此の寒空の中を鴎がいた。
「では…君たちはもうずっと………君が東京を出てからずっと…………」
「逢っていません」
波音というよりも―――――潮騒が耳の中で、木霊する。
「これを読んだんですね、増岡さん」
初めて彼の顔が笑みを刻む。否、笑みと思えたのは、増岡だけで、青木当人は顔が強張っただけかもしれない。
「それには宛名が無かった。まるで謎掛けのように、関口くんは私にそれを託したんだ」
「……あの頃の僕と関口さんのことを知っているのはたぶん、榎木津さんだけだったから」
それはつまり、誰にも知られていなかった、知られてはいけなかったと言うことだろう。
「人前で、少しでも親しいような素振りを見せたことはありませんでした。それが酷くもどかしかったのも事実です。僕たちの会話は殆どが嘘で塗り固められたようなもので、まるで相手に誠実ではなかった。度々お互いの郷里を旅しようと、」
それは本当に戯言でしかなかったのだ。
「現実にしようなど、思ってもみなかった。だのに、その頃既に片親だけになっていた僕の肉親が亡くなり、僕は、夢を見たんです。無謀な、適うことの無い―――――」
関口は人々の隙を見て、着の身着のまま、金だけを持ち、列車に乗り込んだ。そして一夜掛けて此処へ来る筈だったのだ。
「彼を恨んだ?」
口端が微量に持ち上がるのを増岡は見逃さなかった。
「恨んだのは本の短い間だけです。そしてそれがどうにもならない現実だったと言うことだけが、解った」
長距離を往く列車は踏切内に侵入していた車と接触し、それに伴う脱線で、関口は長い時間を無為に過ごすこととなった。そしてその無為の時間に、関口は文字を綴った。
「折りしも、僕も身動きが取れなかった。誘拐事件が起こっていて、県下の警察官を総動員しての捜査だった。二人の生活の基盤を作りたかった僕にそれを拒否することはできなかったんです」
関口は長い時間を掛けて漸うと此処へ辿り着いた。けれど、待てども青木は現れない。互いの連絡先など知らなかった。二人のことが漏れることが怖くて、互いに関することは何一つ記すことが無かったからだ。
「あの向うに、」
傘から腕を伸ばして、青木は街の方向を指差した。
その指には白い物体が付着した。
雨は霙に成ったようだ。
「宿屋があったんです。今はもう廃業してしまいましたが」
其処が二人の落ち合う場所だったのだ。霙を振り払って、青木は腕を戻す。
「僕はお互い示し合わせた日に宿へ行ったが、あの人は来なかった。何故なのか、色色考えましたが、事件に借り出された。そしてあの人は遅れて到着した。中々現れない僕を、あの人は怒ったのか、諦めたのか、金が無かったのか。時間が漸く取れた頃、宿に行って見れば既にあの人は出た後だった」
今度こそ本当に青木は声を上げて笑った。
「あの時、僕は酷く彼を恨みましたよ。でも後に列車事故のことを知って、恨むことはできなくなってしまった。諦めることしか、無いんだ」
それは関口も同じだったのだろう。だからこそ、此の手紙は此処に関口の死後も残り、今も在るのだから。
「これは君のものだろう?」
増岡は手にしたその封筒を青木の胸に押し当てた。
暫し、それをみつめて、青木は「ええ、」と眼を閉じた。
「増岡さん―――――笑ってください。今も僕は彼が好きで、諦め切れなくて、此処の浜辺をこうして幾度も幾度も歩くんです」
砂の上を歩くことに馴れてしまうほどに。そしてもう関口は何処にも居ないのだ。
「此れ使ってください、」
青木が外套下の背広から綺麗なハンケチを差し出した。
「顔、襤褸襤褸ですよ」
増岡は青木の穏やかな笑顔を見て、眼を瞑る。
涙が、頬を零れ落ちる感触がした。
増岡則之は民事の弁護士である。嘗ては柴田財団弁護士団の一翼を担ったほどの腕利きである。訴訟案件の一件一件に感情を移入していては身が持たない。だからこそ訴訟案件にはそれなりに距離を置いて、冷静を保って今まで来た筈だった。
それが、自分の本質であると己自身思っていた。だのに、今やそれが擬態した姿でしかないことを増岡は漸うと思い出す。
自分が弁護士を志した、その一歩を。
弱い者を援けるよう、強い者を挫くよう、せめて微々たるものながら人を幸いを与えるよう。
それが、本当の願いだったのだ。
世の中が不条理であるからこそ、生まれ出てきてしまう、様々な不幸。嘗てそれを知覚してしまう、余りに鋭い感受性が自分には備わっていたのだ。
長い道のりを時間を掛けて、関口巽と云う男の秘密を探り歩いて、増岡は『はじめ』の自分と出会うこととなった。
「増岡さんは犯罪者には向きませんね、」
最早青年ではない刑事は言った。
表情が出過ぎ、「本当に弁護士ですか?」とは今回の人を廻る道のりの中で、鳥口に言われた言葉だった。
いい歳をした男の醜態を苦笑ですませてくれる青木に関口は惚れたのだろうか、増岡は死んだ作家の胸中を推し量る。


長い間泣いていた。


辺りが薄らと白く、そして完全に躰が冷え切るまで泣いていた。
その間青木は隣に立って、じっと封筒と対峙していた。中を覗くことさえしなかった。
「す…すまない、私が泣くことじゃないのにな、」
「本当に…全くです。でも……有難うございました」
何に礼を言ったのか、解らなかったが、それに増岡は酷く安堵した。
「じゃあ、もう私は失礼しよう。明日からまた日常業務なものでね、」
今は羞恥ばかりがあった。
「堤防を上がって真直ぐ行くと、店がありますから其処で電話を借りて、タクシーを呼ぶと好いですよ。此処から駅まではだいぶあるから」
そして飛ばされてしまった、増岡が使っていた傘に代わり青木は紅い傘までを増岡に貸し与えた。
「君は?」
「もう少し…此処にいます」
霙は酷く冷たいのに。
否、青木は悼んでいるのだ―――――
恋人の死を。
立ち去るべきは増岡だった。もう何処にも増岡の役割は残っていない。
増岡は堤防の階段を足早の上り、家並みの中に消えようとした。その時、増岡の背を青木の声が追った。
「増岡さんっっ」
砂浜を覗き込む形になった。眼下に躰に霙を受ける青木がいる。
「すみません。重要なことを訊き忘れていたので、」
「なんだい?」
厭な予感がした―――――


「誰が、関口さんを殺したのですか?」


本当に穏やかに、今日の天気を話題にするのと同じくらいの気安さで、青木は訊いた。
「………青木くん、」
「誰も為し得なかったことだから。決して他言はしません、」
仕返しもしません、とも笑って言った。
噫―――――矢張り、気付いていたのだ。
関口の死は頓死―――――突然死、だと言うことだった。初秋の朝に既に事切れていたと。
然し、或る人物は言った。
「最期に酷く感謝していました。私に。ありがとう…とそれだけ」―――――と。
それはつまり―――――
増岡は名前を告げた。
「諾。やっぱり。あの人が選んだ人だ。僕も榎木津さんも中禅寺さんも鳥口くんも、皆な皆な、不自然だったんです。あの人に裏切られたのならば、声を荒げて、非難すれば良かったんだ。でも誰もそれをしなかった…。だから僕は僕でこんなことになっている」
青木は憧憬のようにそう言って、自嘲しそして今度は本当に深々と頭を下げて礼を言った。

増岡は再び身を翻して、紅い傘を差し、街の方向へ歩を進める。
霙は次第に雪へ変わり、辺りは夕闇に仄蒼く染まり、増岡は道の真ん中で立ち止まり、空を振り仰いだ。


28/11/05






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