bisous_10


 小さな火影が揺れた。
「ん…」
脣を離すと互いの舌が糸を引いた。瞼が重そうで、吐息は熱い。関口の口端には唾液の流れた形跡がある。
榎木津の顔に先日あった髭が無い。剃ったのだろうか、ぼんやりと関口は思った。
「凄い顔だ」
そう云うと関口は少し目を瞠り、萎れるように俯いた。耳が赤い。
頬を両手で包むように触れて持ち上げる。両手指の甲で関口は目を覆った。
「………見ないで」
息と共にささやかに声を吐く。
榎木津は関口の脣の横に、口吻をした。
 光源は僅かに二人が座る長椅子の後ろの寝台脇にある燭台と暖炉の最早細い火ばかりであった。
「かわいいのに」
肩がぴくりと微かに持ち上がって一瞬動きを止める。触る頬が迚も熱い。耳も首筋も酷く紅い。 手首を取った。
迚も細い。青い静脈が薄らと皮膚に浮き出ていて、榎木津は親指で其処を撫ぜた。
されるが儘に、手は退かされ現れた眼は潤んでその縁は紅い。
眼の際に口付ける。熱い。関口は顔を背けようとするがそれを追ってもう一度脣を啄んだ。項を掴むと其処も熱い。けれどこんな寒い冬の夜には心地よくて項から指を這わせて髪の頭皮を指の腹で掻く。もぞりと関口の躰が動いた。
上脣と下脣を啄む。薄らと脣が開き、榎木津は向かい入れた関口の舌を絡めとって吸い上げた。
舌も唾液も送り込む。そして溢れんばかりになった頃、関口はそれを嚥下した。
 眉間に僅かに皺が寄り、長い鬱蒼りとした睫毛が震えている。榎木津は薄目でそれを確認すると、両手を関口の腰に降ろした。
あからしまに関口の躰が跳ねた。
上衣と襯衣を手繰る。そして襯衣の内側へ手を侵入させた。
判っていたことだが、柔らか味はない。
背中の薄い皮膚の下に肉もなく張る筋が白地だった。その中央は窪んでいて指を這わせて、頚椎の凹凸を撫ぜてみる。
勢い良く肩を押されて、脣が離れた。吐息が零れる。互いの脣で密閉されていたそれは酷く熱い。一瞬に糸が張ってそれが垂れ下がるようにして、消えた。
「え…えの、木津さん!」
口付けだけで凄い顔をしている。
それが見る者に、何を与えるのかきっと関口は判っていない。
「嫌?」
関口の膝は折れてその薄い臀部は、関口の膝の間に入っていた榎木津の大腿部に降ろされていた。関口の脣にもう一度口吻しようとすると、顔を反らされた。
「だって…」
眼が潤んでいる。凝乎っと見詰めると、眼を反らされた。



 暖炉には火が焚べられている。装飾過多の美麗な部屋に備えられた暖炉は、偏に暖を取るもので、少なくとも鍋を置いたりするものではないだろう。然し、榎木津は何処からか金網を持ってきて火の上に設置して関口に温かなヴィノを振舞った。
小さな鍋に砂糖を飴状にしてヴィノを注ぎ錫蘭肉桂シナモンと檸檬を利かせたそれを磁器の器で差し出した。
 此の冬の夜に湖を渡ったのだ。
遊覧船や個人で湖を楽しむ為の個室の着いた周遊船でもなく、舵と座る処のみが設置された機能的な船では風に身を曝され、この嶋に着いた時には迚も冷え切っていた。
手も悴み、頬は氷のようだった。
榎木津は桟橋で無い所に船を寄せた。近付くと嶋全体が石で覆われていることが判った。護岸されているのか、煉瓦のように積み上げられて上空から枝が垂れ下がっていた。
崩れかけた階段を榎木津は上った。
関口の手を取って。
「此処は?」
と問えば少し間を置いて「秘密の花園」と答えが返ってきた。人が一人漸うと通れる階段幅なので先導する榎木津の顔は関口には見えない。
夜の空には雲があって、星や月も見えない。酷く暗いのだが、榎木津は躊躇うことも無く進む。
彼の良く知った場所なのだろう。
階段を上りきると、視界は少しだけ開けた。ぽっかりと上空だけ円く開いていた。
「……花園?」
木や低木があるのはわかる。地面の一部もぽっかりと空いている。まるでこれから耕す畑のように見えた。 「此方、」
石畳を火もなく榎木津は進んでいった。
そして眼前に突如と硝子の窓が現れた。背の高い窓で、内側には薄い紗の窓罹がある。
榎木津が窓を手前に引くと、少しだけ埃の臭いがした。
 


 関口を抱え上げると、天井から下がる濃藍の天鵞絨の帳が降りる大きな寝台に移動した。二人の影が壁に大写しになって、消えた。
弾ませるように降ろされると、榎木津は関口の顔を撫でて頬に脣を落とした。
脣が触れたのは本の僅かで小さな可愛らしい音が上がる。
その間に手は関口の襯衣をたくし上げて、その薄い腹を触っていた。
もぞりと動く。
「や…榎木津、さん」
榎木津は少し上体をずらして、関口の心窩の辺りをざらりと嘗め上げた。
「あ、」息を吸い込むようにして、僅かに声が上がった。
「花の匂いがする」
ざらり、と。
「ラヴェンダー?」
「ん、ぁ」
ふ、と甘い声が聞こえたのは、其処を吸い上げたからだろう。
上衣ジャケットの釦を外した。中着ベストの釦も。ネクタイは此処に入ったばかりの時に外させている。苦しそうだったからだ。
襯衣の釦は幾つか外したが面倒になったので其儘たくし上げることにした。
胸乳が現れた。
暗い中で酷く濃紅色に見えるの其処を舌の先から中頃を使ってゆっくりと舐めると、関口の躰があからさまに震えた。
「えのきづさん、ま…待って…!」
腕が伸びて、榎木津の額を押した。舌の先が彼の突起に触れていた。
「往生際が悪いような気がするよ、関くん」
関口の膚はあの寒空の中を着たというのに、しっとりとしていて触り心地が良かった。思った以上に心地よい。
「だって」
榎木津は関口の膝から腿をそっと触った。酷く細い。張りも何もあったものではない。
そして革腰帯ベルトの金具を外そうとすると膝がする合わされた。
「まって…待ってよ」
上肢が起こされて、榎木津の手ごと金具を握りこむ。
 榎木津は手の動きを止めた。酷く不本意だったが。
そして関口に覆いかぶさるようにしていたのだが、その脇へ腰を下ろした。榎木津の衣服は此処に来て該当を脱いだばかりで乱れていない。
「あの…あの…」
関口はたくし上げられた襯衣を直す。
そして両手で腹を抱えこむようにすると、一斉に顔が更に紅くなった。
眉をハの字にして泣きそうな顔をしている。
何故そんな顔になるのか解らず、榎木津は関口の蟀谷に脣を寄せた。だが触れるか否かで関口は躰を仰け反らせた。
「待って…ください!」
声が震えていた。
「先刻から待ってばかりで話が進んでいないよ、何か云いたいことがあるのなら早く言うっ」
岡に上げられた魚のように関口は幾度か口を開閉させて、眼を彷徨わせた。
「関くん、」
その様子に少し苛苛するのが声色に滲んだのか、関口は上目遣いに窺うように榎木津を見た。
「本気ですか?」
「先刻まで気持ち良さそうにキスしていたじゃないか」
「だ…」
だってあれは、と関口は頸を振った。
榎木津の淹れてくれた温かいヴィノが気持ちを少し浮上させたのだ。ぐっと腹の方から温かくなって、熱くなって、気が付いたら榎木津の脣があって、心地よかったのだ。
三度目の口吻だ、とぼんやりと思ったのを覚えている。
一度目は霧の中で、だ。二度目は遊覧船の発着港で。榎木津の脣は柔らかくて、心地良い。甘い温かなヴィノに騙されたのだ。口吻に夢中になっているとき、そんな言い訳を考えていた。けれど、此処までは聞いてない。
それに。
「榎木津さん、」
呼びかけたものの、如何切り出していいものか解らない。
「颯々と言ってくれないかい?それとも続きをしてもいいの?」
襯衣を掴もうとすると、関口は身を捩った。
「僕、男ですよ?」
怪訝な顔をするのは榎木津の番だった。
「だって、だって榎木津さん、違うでしょう、」
言葉の終り際は迚も掠れていて、関口は顔を俯けた。
「違う?」
聞き返され、何故伝わらないのだ、と関口は頭を抱えた、その隙に榎木津の手が関口の腹に伸びた。
「待って下さい!」
榎木津の手を止めるため、頭を抱えた手をもう一度腹に遣ると、目尻に脣が降ってきた。
「そんなこと気にしなくてもいいよ」
耳許で低く囁かれる。声が関口の蟀谷に触れてその僅かな刺激に関口は思わず眼を瞑った。
「ちゃんと君で発奮出来たからね」
「は、ぷん?」
関口の脣が榎木津の言葉をなぞった。
「そう、君のことを思い浮かべて、」
ちゃんと勃った。

ぞわり、とした。榎木津の声が、色を変えたから。

閉じた瞼に脣をよせた。
「ん」
眉間に皺を寄せて吐息が漏れた。両方の頬にも脣にも額にも。その間に襯衣の釦は丁寧に外され、関口の革腰帯ベルトも抜き取られ、下衣ズボンの前が開かれた。
首筋を舐められながら、下着の上から触られた。
「あ」
膝の間で榎木津は寝台に乗り上げていたのだが、両腿に手を掛けると寝台から身を降ろして下着の上から脣を寄せた。
「え、のきづさんっ」
口淫オーラルは基本だろう、」
腿の間で榎木津が笑い、取り出した関口のそれの先端に小さな音を発てて接吻した。
「や、待って下さい」
未だ何も解決していない。否、何処にも糸口が無い。
「待つ必要が、」
あるのかい?
伸び上がって、榎木津は関口の耳にささやいた。
手が柔りと、睾丸を握った。そして指先を睾丸に残したまま、掌を雄芯へ這わせた。
関口の背筋が震えた。
しだくように雄芯を上がって先端を鉛筆を握るように抓んで離し、握りこんで鈴口を指の腹で押した。
「い…ぁ」
接吻で少しだけ硬くなっていたが、一時冷静になってしまったようだ。舌の上に唾液を溜めると雄芯の裏側を包み込むように這わせて、先端の窪みまで舐めた。
「ふ、ぁ、」
唾液が照って、もう一度舐め上げた。指の腹で緩急を着けて先端を撫ぜる。
睾丸と雄芯の狭間を丹念に舐めていると、如実に手の中で質量を増し、先端からは透明な液体が滲み出てきた。
大きく口を開けて先端を含んでみると関口が暴れるようにした。
「やめ止めて、ちょっ、榎木津さんっ」
咽喉の奥の方に含み、舌を添わせた儘脣を窄ませて先端を吸いまた口に含んだ。
「や…駄目」
声が焦っている。脣が笑いそうになった。もうすっかり硬くて先走りが止め処ない。
「やだ、駄目、」
切羽詰ったような声で関口は榎木津の顔を押し返そうとしたが、与えられる刺激に一瞬身を硬直させた。
「あ、あ、ぁ……んっ…っ」
榎木津が関口の足元から躰を起こして身を捩って顔を伏せているその近くに顔を寄せて、「凄い味だね」と笑って云った。
益々身を縮み込ませる関口の肩を撫でる。
「いい?」
榎木津は弛緩したような関口の脚を持って跫先辺りに掛ったままだった下衣ズボンと下着を抜き取った。
そして関口の横に向かい合うように寝転がる。
顔を近づけた。
脣を重ねると、関口は凝乎っと榎木津を見てやがて目を閉じた。結ばれていた脣が開かれる。
深く重ね合わせた。
榎木津は関口の敷布と接する腰の辺りに左手を入れて、右腕を関口の背中で重ね合わせる。
「ん、」
関口が身動いだ。
榎木津が腰を大腿部に宛がったからだ。
骨が浮いた腰を撫ぜる。関口の皮膚は不健康に白く僅かに冷たい。その躰が熱を帯びるとしっとりと手に吸い付くようだった。腰の辺りを撫ぜていると身じろぐばかりだったが、その手が次第に下りると白地にびくびくと跳ねた。
合わさった脣が離れると、大きく息を吸う。
「えのきづ、さんっ」
臀朶を榎木津は覆うように手指を動かした。
「そんな、ちょ…えのっ」
「薄い御臀だ、」
関口の顔が尚も紅くなり俯こうとするのを下から口付けた。
指の関節をばらばら気味に動かしながら臀朶を揉見上げる。腿の裏側を撫でて骨と皮と僅かな肉置きを指で舐めた。
撫でて揉み上げるのに関口は身を捩じらせている。榎木津は自分を関口に尚も当てた。
眼の下に口吻して、腿の狭間を両の手指で掴んだ。
「え、えの、さんっ」
ぐっとそのまま臀部を割ろうとすると、暴れた。
「離して、離してください」
「…何をそんなに心配しているんだい?」
もう一度抱き締め直して、榎木津は関口に訊くことにした。その眼から涙が滴ったからだ。
「あの男に悪いと思ってる?」
関口は俯いて顔をそらしていたので、榎木津はその頭の天辺に声を掛けている状態だった。頭皮の汗の匂いがして鼻を寄せる。
それにも関口は身じろいだ。
如何見ても、関口は榎木津の与える僅かな刺激にも感じているのに、何を拒もうというのか。
少しだけ身を固まらせて、関口は緩く頸を振った。
「中禅寺のことは、もう」
眼の前のことにいっぱいいっぱいで思い出すこともしていなかった。それに気付いて関口は少し愕然とする。けれど、それが問題なのではない。
「………死にそうに、」恥ずかしい、と関口は搾り出す様に云った。
躰が震えている。
「だって、僕、男なんですよ。榎木津さん、今まで………無いでしょう?」
経験の無さを関口は心配しているのかと思うと、榎木津は少し怒りが沸くのを自覚した。それは侮辱と取っても良い事柄ではないだろうか。
「関くん」
声が冷える。
それを察して、関口は声を上げた。
「だって、たぶん、女性と根本的に違うから。もし変なことになって、し、失敗したら…」
ああ、と榎木津は声を上げた。
関口は榎木津を拒んでいない。
何なのかははっきり無いが、好意らしきものは持っている。そして、仄に得たそれを台無しにすることを恐れているのだ。
フィジカルな接触によるそれらは、対極のものしか齎さないだろう。殊に同性では。況して榎木津は男は関口が初めてなのだ。
「だから此処で、あの、止めておこう…?榎木津さんのそれは口でするし、」
しゃくり上げる声でぼそぼそと関口は言葉を紡いだ。
榎木津はわざと大きな溜息を吐いてみせる。
「…そんな先刻僕が口でしてやったからそれの返礼かい?そんなのなんか、嬉しくないよ」
「だって、」
「大丈夫、ちゃんと知識はあるし、君の御臀を女性の膣代わりにする心算もない」
自分のやることは似たようなものだが、ちゃんと手順は心得ているのだ。
だから泣き止み給え。
榎木津は囁粧ささめいて、関口の髪に口付けた。
関口を仰向かせると、榎木津は覆いかぶさるようにしてその首筋に顔を埋めた。
鼻で匂いを吸い込み舌で舐めて少し噛むと吸い上げた。
微かに花の匂いがする。
「ん、」
関口の膝裏からぐっと両脚を持ち上げて付け根のその奥、小さな窄まりを曝した。膝を開かせて左手で腿に手を掛けて親指で会陰を圧し、も片方の手指で窄まりを引っ掛けた。
「ぁ」
小さく声が上がる。
指の唾液を絡めてもう一度窄まりに接触する。ぐっと押せば指を入れることも出来そうだが、矢張り基本的に侵入を拒んでいる。
関口を見ると、困ったような顔で榎木津を見ていた。
少し笑って、会陰を押す力を強くしてその雄芯の先に軽く接吻した。
堪らなかったのか関口は眼を両腕で覆った。
「待ってて、」
榎木津は暗い中を少し移動して、棚と思しき処から何かを持って戻った。
小さな壜で、関口は先の榎木津の「ちゃんと知識はあるし、」と言う言葉を思い出し少し安堵した。そしてその表情の変化を榎木津は見て取り、笑った。
「少し匂いがするけど、」
「え、」
「関くんの、そのラヴェンダーの匂いも消したいし」
「匂い、」
関口は自分の二の腕に鼻を寄せた。
「解らないならいいよ、」
枕を取り腰の下に宛がった。
壜を開ける。本当だったら専用のジェルやローションを用意するのだが、生憎こうした予定は無かったのだ。僅かに薔薇が香った。
掌で少し温め、窄まりへ指を入れた。
「ぁはぁ」
声が聞こえた。
「あ、」
指を引き抜いて、オイルをたっぷりと指に絡め二本差し入れた。
「ん」
少しだけ脣を噛む様子が判った。
指を抜いてもう一度オイルを絡めゆっくりと腹側の腸壁を指の腹でなぞる。ぬちゅりと、音が上がる。オイルが関口の体温に水のように蕩けているのだ。
「ふ…ぁ、」
滲むような声が上がった。どくりと榎木津の下腹部が一層熱を持つ声で、ぞわりと気が立つようだった。 指を前後左右に移動させると其処にしこりがあることを確認する。
「これがそう?」
ぐっと押すと、躰が跳ねた。
「ん、」
漏れ出る吐息が酷く淫靡に甘い。
榎木津が指を抜くと関口がまた浅く吐息した。ズボンの前を開きそこで存在を主張するものを自分で一撫ですると避妊具を取り出して装着した。服を脱ぐと関口の先走りの零れる先端を抓んだ。
「ぁ、」
「関くん、」
「えの…さ…」
眸が潤んでいる。 榎木津は自分の先端を関口の窄まりにくっ付けた。ちゅ、とビズのような音が聞こえそうだった。
「ぁ」
もう一度今度は少し深めにくっ付ける。
「んん、」
また離す。
ぢゅ、と音がする。
「えの、さ、ん」
榎木津は関口の骨張った腰を掴む。小さな臀部に小さな窄まり。そこから続く腸も細いに違いない。
ぐ、と榎木津は腰を進めた。
「ぁ、…あああ、あ…」
関口が眼を瞠いて虚空を見る。脣から口の中に溜まっていた唾液が零れた。
「ん、」
「せきくん、」
呼び掛けると、虚空を見ていた眼が僅かに動いて榎木津を見た。
腰を尚も進めると、目がきつく閉じられた。
腹を触って片手で関口の雄芯を摩る。もう片方の手で腿の外側を撫でると躰に力が入った。未だ途中だのに、窄まりがきつくなる。
「せきくん、ちょ…っと力抜いて」
聞いているのかいないのか解らない風情だったが、窄まりが僅かに緩まる。力を抜く方法も心得ているのか。榎木津はその隙に関口の中へ凡て埋めた。
暫く凝乎っとしていると、関口が震えた。
「えの…さ、ん」
空気を噛むように名を呼ばれる。
「キスして」
ゆっくりと瞼を閉ざした関口に榎木津は状態を伸び上がらせた。ぐっと両腿を押し上げるようにして。
漏れる声を脣で塞ぐ。
深く入った雄芯で前立腺のしこりを押し上げるのを想像する。強く。
脣の向うで関口が震えて喘いだ。
絡める舌でそれを奪う。脣全体を口で吸い上げて離すと魚のように喘いだ。
腰を動かす。
挿出入は僅かに。収めているのが、腸の括約筋の締め付けが酷く良い。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、」
関口の雄芯が互いの腹の間で擦り上げられている。
榎木津は関口の腰を一層強く掴んで、自分に捩子込ませた。手の痕が付くほどに強い力で。榎木津の恥骨が関口の薄い尻の骨に当たる。
「あ、」
関口が背を弓なりにする。顎が上がって、浅い呼吸の中で「ん」と口を閉ざして、関口は顔を顰めた。
「ん、…んっ」
腹に白濁としたものが撒き散らされる。
ぎゅと榎木津を包むものが強くなった。
そして、薄い皮膜越しに関口の中で榎木津も吐き出した。
 未だ離したくない。
榎木津は其儘覆い被さるようにして眼を閉じた。
「えの…」
微かな声で呼ばれるのを遮った。
「キスしてくれないかい」
関口は眼を閉じて、榎木津の脣に自身を重ねた。





何故エロくならないんだ…!(さめざめ)
此の後、榎さんは関口を舐め捲くる予定。夜で燈少ないからあれだけど、朝になって痕だらけの躰を見て驚愕するといい。関くん。




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