トスカーナの街たち

フィレンツェ フィエーゾレ プラート ピストイア  
サン・ジミニャーノ アレッツォ コルトーナ 

1/14(土)  ピサからフィレンツェに移動  ちょっとフィエーゾレへ


フィレンツェのドゥオーモもお色直し中

 6:00すぎに起床。
 7:15朝食へ。すいている。黒パンのトーストサンド(ハム・サラミ・チーズ)を制作。シリアル+牛乳、ゆで卵、キウイ。カプチーノを所望する。オーダーを採りに来たのは、従業員の友達みたい。やたら話しかけてくる。こういう人が出入りしているなんて、このホテルは★★★★なのに大丈夫か? カプチーノは味はよいがぬるい。
 今日も青空が見える。

 8:40グランド・ドゥオーモをチェックアウト。
 カートを引いて、ピサ・ロッソーレ駅へ。斜塔にアリベデルチ! ドゥオーモ広場の歩道は敷石の目地も凍っている。一日中こんな感じだ。

 8:55にはロッソーレ駅に着いた。忘れずにバリデート。
 2Lのホームでピサ・チェントラーレ行を待った。
 9:07ほぼ定刻に電車がやってきた。

 ピサ・チェントラーレ9:33発のフィレンツェ行は10分遅れて発車した。けっこう混んでいる。地元の人以外に観光客も多い。

 車窓は雑然としている。
 建物もバラバラだし、廃車場があったり、小さめの畑や休耕地も目立った。冬はこうなのか?
 あいかわらず、ケータイで話す人がけっこういる。メールする姿もたまに見る。
 土曜日だしフィレンツェへ遊びに出てくる人が多いのかも。


 10:45フィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅に到着した。
 カートを引いて出口に向かうが、チケットの自販機が目に付いたので、明日のプラート行を買っておくことにした。1.7ユーロだったので現金で支払う。0.3のお釣りは硬貨6枚で返ってきた。

 駅を出て、ホテル・クラブへ。2002年に宿泊していて、2度目。
 チェックインはしたが、部屋は12時からだというのでカートを預けた。

 さて、午前はジオット様の未見の「サン・ステファノ」を観賞しよう! ホーン美術館へ向かった。
 フィレンツェも冷える。さすがに観光客が多い。
 アルノ川近くにある地味な建物がホーン美術館だった。ここは私以外には家族連れ4人のみだった。
 ここも昔の邸宅で冷え込みが厳しい。係員はストーブを抱え込んでいた。(こんなところに1日中いたら体調がおかしくなりそう)
 12月に岐阜で見たベルナルド・ダッディの小さい祭壇画が2つあった。キリスト磔と聖母子。キリスト磔はなかなかよかった。やはりジオット風の感じ。まあバランス的にはジオットには勝てない。マグダラのマリアの赤いマント、全体的に金色が美しい絵だった。

 そして、目的のジオット様「サン・ステファノ」はちょっとスモーキー。でも繊細な絵だった。さすがにヒビ割れが気になった。襟元や胸の模様、背景の金ぴか凹凸模様など、さすがの作品でした。→→→



 3Fにはシモーネ・マルティーニの小さい絵もあった。たいしたことはない。

 30分ちょっとで、見学終了。

 受付に行ってトイレを貸して、と言うと、途中まで案内してくれた。
 地下にあった。ここがまた、会議室みたいになっていて、その奥にトイレはあるのだが、暖房が効いていてとても現代的な空間だった。


 12時を過ぎ、アルノ川の写真も撮った。
 目星を付けていたレストランが休業だったり、従業員が食事中だったりで3軒ほどフラれた。

 ドゥオーモへ向かって歩き、てきとうなカジュアルレストランに入った。LE COLONNINE 
 ここはけっこう当たりだった。
 Zuppa a Verdure は実だくさんであっさりしたスープ、美味しい!
 Scaloppa con funghi も肉・ポルチーニ共に美味しかった。
 中国人の団体が2組、韓国人が1組。奥にぞろぞろ入っていった。その他の西欧系個人客は私と同じく、前面の空間に座り、いつのまにか満席に近かった。
 場所もいいし味もいい。値段もそう高くない。赤ワイン(小)とエスプレッソも入れて、18.5ユーロ。

 さて、ホテル・クラブに行って荷物を受け取り部屋へ。
 シングルはよいとして、シャワーがひどい。床に段差がなくて水浸しになるタイプ。5泊もするのにこれじゃいや!
 さっそくレセプションに引き返し、部屋を変えてくれ、と交渉した。先方は別に問題はない、というけど納得いかない。ごねる。と、別の部屋をくれた。でも、シャワーの床は同じ構造。多少カーテンが長いみたいだし、ダブルの部屋なので広さはある。2002年4月はツインのバスタブ付をくれた。だが、13000円だったのだ。今回は6800円なので冬とはいえこうなるのね。部屋とバスルームにも窓はあるけど、壁まで2mといったところ。けっこう穴倉的だ。
 かえって静かかも、と妥協した。・・・・・ちょっとメゲたりもする。

 パジャマを洗濯し、気を取り直して、フィエーゾレへ出かけることにした。

 バス停の位置がわからないので、インフォメーションで聞いた。
 7番のバス、SMノヴェッラ教会を回り込んだところが乗り場、とのこと。近くのタバッキでチケットを2枚購入。
 バス停には今日の15:00からのショーペロのスケジュールが貼ってあった。7番は動くみたいなのでよかった。
 15:02のバスは少し遅れてやってきた。フィエーゾレが終点なので安心して乗っていける。
 バスは混んでいる。
 フィレンツェ市内を離れると、坂道を上り、瀟洒な邸宅が目立ち始めた。昔からの別荘地なのか。じっさい住んでいる様子だ。
 30分ほどでフィエーゾレに到着。

 ローマ劇場の入口で6.5ユーロを払い入場。けっこう高いね。
 劇場と浴場跡と神殿跡を見学した。
 浴場跡はわりと自然な感じで残されていて、なかなかよかった。


ローマ浴場跡

 神殿は直しすぎ、の感じだ。
 全体的に工事している部分が多い。シーズンオフだから?
 
 博物館を見学する。エトルリアの壷は見ごたえがあった。質の高いものを展示している。
 見物人は熱心な人が多い。
 バンディーニ美術館は時間が遅いせいか、もう入れなかった。

 ドゥオーモも見る。内部はきらびやかな祭壇。その他は地味だ。

 17:00のバスでフィレンツェにもどった。夕暮れの街がきれいだ。
 フィエーゾレは気候がよい時季なら、ゆっくり散歩などしたいところだ。

 水1ユーロを買ってホテルにもどった。
 少し休憩する。

 19:00夕食のために外出。
 北京飯店へ。ここはほんと日本人村って感じ。90%くらい日本人観光客だ。
 ぎょうざ、海老炒飯、ほうれん草とマッシュルーム(缶詰)の炒め物、ジャスミン茶、ハイネッケンの中ビンで14ユーロちょっと。味はまあまあ。隣りがほめちぎっていたぎょうざは油っぽくて、あまり口に合わなかった。
 後で気づいたが、客席まで油の臭いが漂っている。服にもバックにも染み付いて3日くらい臭いが消えなかった。

 まともにカーテンレールを引くと、カーテンが身体にまとわりつく!
 まったくこのホテルのシャワーは気に入らない。
 床も思ったほどではないが濡れるので、あとでふかなくては洗面台の前に立てない。



1/15(日)  プラート、そしてピストイアへ日帰り


プラートの街角

 6:30起床。
 シャワーのこともあって気分はすぐれない。エアコンは効くしベッドは広いが・・・・。
 7:15朝食へ。2002年と同じで内容はたいしたことない。だが、この朝はまだ一番揃っていた。ハム。チーズ、缶詰フルーツ。パンはそれぞれのテーブルに配られている。
 ハングルの男性グループ5人くらいがやってきた。最近ほんと、進出がめざましいね。

 8:25レセプションで札を細かくして、と頼んだが、断られた。近所のバールでくずせ、と。まったくサービスの悪いホテルだ。

 フィレンツェSMN駅へ。
 8:38発のルッカ行で、Prato Serroglio下車。小さな駅だ。風が強い。
 

 ドゥオーモへ向かう道は日曜なのでほとんどの店が閉まっている。バールのみ数件開いていた。
 ドゥオーモ広場も閑散としている。右かどの説教壇の写真を撮った。→→→→→
 ドゥオーモの中はミサ中だ。
 ぐるっと一周してみた。
 ドゥオーモに入り、末席でミサにしばらく参加。献金もした。

 事前の調査では、日曜日は10:00と11:00に後陣の修復見学ができるらしかった。
 しかし、ドゥオーモ付属美術館がどこにあるのかわからない。
 後陣は完全にシャットアウトされていて、中からは入れそうにないし・・・・。
 10:00になってもミサが終わる気配はない。



 他の見学を先にしようと、皇帝の城へ。
 2.5ユーロを払い、中に入った。なんてことはない。
 屋上の飾りがギベッリーニ狭間というのね。
 皇帝の城も修復の手が入っていて、きれいに直されている。


皇帝の城

 11:00前に再びドゥオーモへ。まだミサ中。


 サン・ドメニコ修道院へ。右横の入口からキオストロへ入り、壁画美術館へ行った。見物人はいない。4ユーロ。

 フィリッポ・リッピの描く女性はほんとうに表情が女っぽい。また透けるヴェールが雰囲気を盛り上げているね。
 突然係員のおじさんが近づいてきて、一枚の絵について熱心に説明をし始めた。イタリア語で。
 それは、フィリッピーノ・リッピのフレスコ画(祭壇画)で、1944年の戦禍で粉々になったのを、寄せ集めて復元したようだ。左の壁に写真で説明のパネル展示があった。


            
 またまた3たび、ドゥオーモをのぞいた。ミサは終わっていたのでぐるりと見学した。
 やはり目的の後陣はぜんぜん見れず。

 プラートはもういいや。

 プラートSerroglio駅へ。
 わかりにくいグレーの自販機でなんとかピストイアまでのチケットを買った。
 そして、ホームへ上がるが、12:05はぜんぜん来ない。
 このホームは高架で待合室も何もない。寒風吹きまくり状態なのだ。
 ホームへ上がる階段で風をよけている人たちもいたが、この階段もまた風の通り道。
 中国人のグループや西欧人の個人客とけっこう待つ人が10人以上いた。
 ホカロンを1個追加。飴をなめて気を紛らわす。
 ようやく、30分以上たって12:35に列車がやってきた。車内は暖かい。

 だが、10分でピストイアに着く。12:46

 ピストイアの街も駅から歩いてほどなく、ドゥオーモ広場がある。
 うれしいことにドゥオーモがまだ開いていたので入った。


ピストイアのドゥーモ入口の上

 聖ヤコブの祭壇飾り、というのはもう時間で入口には鍵がかかっていた。暗い中で見るだけは見たがよくわからない。
 後陣の左下に立派なプレセピオがあった。その右下の部屋に入ったところで、鍵を持ったおじさんが現れ、出るように言われた。とっくに13:00をまわっているものね。
 当然、向かいの洗礼堂も閉まっている。

 バールに入り、カプチーノとパニーニ(生ハムとチーズとレタス)で、2.9ユーロ。 
 椅子に腰掛け、食べる。美味しい。向かいでは地元のおじいさんが新聞を読んでいた。

 日曜の午後、見物するところもなく、かといってこの強風の寒い日に街歩きをする気も失せている。
 プラートの駅で30分冷風にさらされたのが、こたえている。

 ピストイアの駅のホームはちょっと世紀末的デザインだ。待合室のデザイン、階段のてすりは真鍮製、柵のデザインもアールヌーボーか。この駅はホームに待合室があるのでまだ救われた。←ピストイア駅のホームのゴミ箱

 14:12の電車に乗り、フィレンツェにもどった。

 未訪問のボボリ庭園へ行こう。
 人ごみをかきわけて歩く。まったく日曜で店も閉まっているというのに、それにこんなに寒いのに、どうしてこんなにいっぱい人がいるのか?! まあ私もその一人だが。
 ところがなんと、ボボリ庭園はクローズだって! これだからシーズンオフはなー。
 
 しかたなく、ついでなので、パラティーナ美術館をのぞくことにした。6.5ユーロ。
 ここのラファエロは有名な絵、代表作が多い。
 みっけものは、カラヴァッジョのマルタの騎士の肖像画。ただ、暗くてよく見えない。それにそうたいしたこともないように感じた。
 ムリーリョの可愛らしい聖母子2点はなかなかよかった。
 そして、ソドマの「ECCE HOMO」は目つきがなんともいえない。なんか作者の色気を感じる絵だ。

 17:00になり、いいかげん疲れたのでホテルにもどった。

 18:40夕食のために外出。
 レオナルドへ。セルフなのだが、社食という雰囲気だ。
 中とレジのおじさん2人はあいきょうがある。
 クロスティーニ、ペンネアラビアータ、マチェドニア、赤ワイン(小)で8.5ユーロ。現金のみ。エスプレッソが0.7ユーロ。味はまあたしたことはないが、まずくはない。すいているのでゆっくりできる。窓が広くて寒いけど。
 
 今日はプラートの目的の礼拝堂が見学できず、残念だった。

 今夜はシャワーカーテンの工夫をして、まとわりつきをなくし、多少気分良くシャワーを浴びた。



1/16(月)  バスを乗り継ぎ、サン・ジミニャーノへ


サン・ジミニャーノの城塞から

 今朝はちょっとゆっくり。
 7:40朝食へ。なぜか種類が少ない。日本人の母娘がいたので、おしゃべりする。毎年イタリアに来ているとのこと。このクラブは定宿らしい。ツインの部屋はまともなのだ。
 彼女たちには後でバスターミナルでも会ったが、今日はショッピングモールへお出かけらしい。

 8:25隣のバスターミナルへ。
 サン・ジミニャーノまで5.9ユーロ。何人か日本人の姿も見かける。

 運転手にポッシボンシで教えてネ、と頼んでバスに乗り込んだ。
 
 フィレンツェを出て、10分もすると道がずっと渋滞している。? 警官が交通整理をしていた。
 高速に入ってようやくまともに走り出し、ほっとした。途中、雪が舞ったりした。

 20分ほど遅れて、9:50ポッシボンシに到着。向かいのバス停がサン・ジミニャーノ行だと運転手が教えてくれた。
 バス停からCOOPが見えたが、買物する時間はない。
 けっこう雑然とした街中だ。7.8人バスを待つ人がいた。
 ホカロンを振ってパンツのポケットへ。

 10:05ほぼ定刻にサン・ジミニャーノへのバスがやってきた。
 15分くらいで到着した。


バスを下りたあたり

 ほんと、中世の街。趣がある。
 門を入るとタバッキを見かけたので、帰りのバスのチケットを買っておいた。
 インフォメーションはどこにあるのかよくわからない。

 少し歩くと、チステルナ広場。まんかなに井戸がある。
 そしてすぐにドゥオーモ広場。参事会教会がキリッと立っている。
 パラッツォ・ポポロもオープンしているようだ。
 
 裏に回って聖フィーナ礼拝堂のある参事会教会のチケットを3.5ユーロで購入。
 参事会教会の内部は壁にフレスコ画がすばらしい空間だった。
 聖フィーナ礼拝堂は小さいが、ドメニコ・ギルランダイオ作の「聖フィーナの生涯」がある。とてもよくできた堂内で、カーテンの浮き彫り彫刻などよかった。

 外に出ると日本人のツアーがいた。
ポポロ宮と塔
 ポポロ宮のチケット売場をさんざん探した。やっとわかり、5ユーロで塔との共通だった。→→→
 フィリッピーノ・リッピの受胎告知は天使とマリアが別々の絵になっていた。これはなかなかよかった。
 関西弁のおばさんグループが大声で話しながらやってきた。フレスコ画をフラッシュ撮影するのはやめてよね。常識がないったらない。

 塔に上がる。→→
 曇ってはいるが、山やオリーブらしい木のある緑の大地、そして茶色の瓦が美しい家々・・・絵になる風景だ。



 少し歩くと、もう街外れになった。
 しかし、サンタゴスティーナ教会は12時前なのにもう閉まっている。残念。

 しばらく城壁沿いの道を歩いた。
 再び街へ入り、城塞にも上がってみた。このあたりは観光客がほとんどいない。

 12時をまわりおなかがすいた。
 レストランはほとんど休業中だ。窓ガラスに茶紙が貼られている。
 なんとか探そうと、チステルナ広場を抜けると、タベルナ・パラディーソを発見。客はまだいない。あまり広くなく、石造りの落ち着いた内装だった。だが、次々と4組ほど入ってきた。観光客風。

 キャンティ・サン・ジミニャーノの赤(グラス)と豆のスープ、エスカロッペ・レモーネ、エスプレッソで24.2ユーロ。スープは小豆の味でしみじみ。エスカロッペは甘みが強くてちょっとねー、だった。マダムのサービスがかんじのよいレストランだった。


パラディーソというには・・・?

 14:00のバスがありそうなのでバス停へ。
 雪がチラつく。寒いわー。
 このバス停は屋根があるのが助かる。

 ポッシボンシ行のバスは10分くらい遅れてやってきた。乗換えのバスも遅れていたので、なんとか間に合った。やれやれだ。
 帰りはスムースに走った。15:15フィレンツェのSITAターミナルに到着。
 水を1本買い、ホテルにもどった。

 18:15外出。駅構内のセルフレストランへ。
 迷ったあげく、ビール、グラタン、サラダ、パンナコッタで11.4ユーロ。
 いろんな人が出入りするので、ショルダーバックはかけたまま食事する。
 警備員も目を光らせているが油断はできない。



1/17(火)  雨のアレッツォ ヴァザーリ広場は雰囲気ばつぐん!


雨に沈むヴァザーリ広場

 7:10朝食へ。今朝はなんと、ほんとにパンのみだ。日によってどうしてこんななの? シリアルの補充もしていない。係りのおばさんはいつも友だちとおしゃべりしていて、やる気ないかんじだ。今朝は日本人が多かった。
 ロビーから外に出てみると、暗いと思ったら雨だった。(部屋からは天気がよくわからない)
 旅行8日目にして、とうとう雨に遭遇。

 当初はコルトーナに行く予定をしていたが、アレッツォに変更した。

 8:40ホテルを出て駅へ。
 自販機でアレッツォへのチケットを購入。5.1ユーロ。
 9:09発に乗ったはいいが、1つめの駅で20分以上停車した。通勤客らしい人はイライラしていた。
 アレッツォに着いたのは10:40くらいだった。

 アレッツォも雨だ。傘をさして歩き始めた。

 中心街への道沿いは現代的な商店ばかりだ。スーパーを発見。帰りに寄ろう。
 まっすぐ行って右に曲がると、サンフランチェスコ教会の地味なファサードがあった。


聖十字架伝説はこちら

 入ると日本人ツアーの方々がたむろしていた。ガイドさんが説明をしている。「聖十字架伝説」は見た後か? 売店で聞くと、後陣のチケット売場は教会の外の右側にあるようだった。
 そのチケット売場へ行くと、11:00に見学OKのチケットが6ユーロ。
 私一人だが、後陣左手に行くと、すぐに入れてくれた。英語のオーディガイドも渡された。
 ピエロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画「聖十字架伝説」はドラマチックで、なかなかよかった。両サイドや下部分は近くでないとよく見えない。だが、色としては遠くから見たほうが(つまり、入場料のいらない場所から)、きれいだ。特に青は。近くだとライトのせいか、全体がくもって見える。
 アーチの十字に交差するリボン部分は、下からとてもリアルにきれいに見ることができた。
 
 これで、アレッツォ訪問の目的は果たしたようなもの。
 
 次に、サンタ・マリア・デッラ・ピエーヴェ教会へ向かった。ファサードは距離が近くてよさがよくわからない。
 中に入ると、なんだかコンクリートで固めたような感じだったが、そういう石なのか。
 主祭壇のロレンツェッティのみが光っていた。残念ながら1ユーロ硬貨がなかったので、ライトアップができない。いい雰囲気の祭壇画だったけど。

 このあたり、足の向くまま進むと、なにかしら歴史のありそうな建物が次々と現れる。
 それぞれパネルの説明板も設置されている。
 ふと右を見ると、これまた立派なアーケードがあった。
 角の柱にある胸像はよく見ると、なんとヴァザーリだった! ヴァザーリはアレッツォ出身だったのだ。
 そして、そのアーケードにはとてもレトロな骨董屋があった。思わずカメラを・・・。

突然目に入ったヴァザーリの像 思わず見とれる骨董屋

 このアーケードの向かいがグランデ広場(ヴァザーリ広場)だった。なにかしらとても魅力的な空間だった。
 しばし、佇んでしまう。
 地面は勾配がつけてあって、下のほうには噴水があった。
 まわりはアンティークショップや画廊が目に付く。普通の家でもとても風情がある。
 雨の中、傘をさして、しばらくぐるぐる広場を見学した。
 
 次にドゥオーモをめざした。12:20に到着。
 10分しかないが、中に入ると見学者が4.5人いた。
 私服の牧師さんだか管理人だかわからないが、おじさんが、ちょっとだけ案内してくれた。
 入口左の礼拝堂のヴァザーリのフレスコ画と、ドナテッロの彫刻。
 
 ついでにサン・ドメニコ教会へも入った。無人だ。


サン・ドメニコ教会の渋い佇まい

 がらんとした堂内でチマブーエの「キリスト磔」がどーんとある。
 暗くてよく見えない。

 おなかもすいたし、レストラン探し。いがいと少ない。
 バールがちょいちょいあるくらいで、レストランにありつけない。

 またサン・フランチェスコ教会までもどり、前をまっすぐ進み路地に入ったところで、可愛らしいレストランを発見。
 ANTICA OSTERIA L AGANIA
 中もあったかい雰囲気の店だ。
 トマトソースのタリアテッレ、トリッパ、ティラミス、赤ワイン、エスプレッソで18ユーロと安かった。
 どれも美味しかったが、ティラミスは特に濃厚でよかった。チップ1ユーロ。
 客は地元の人が多いようだった。
 が、なんとここにも西欧人女性を伴った日本人男性が食事をしに来た。
 このレストランはトリュフのパスタがあったようだ。オーダーした人がいて、脳裏に焼きついた。ただ、トリュフはまばらにしかパスタに乗っていなかったが。


可愛らしいL AGANIA
この店はセコンドのほとんどが10ユーロ以下だった。

 14:00
 傘をさして、ローマ円形競技場へ。
 柵ごしに見るだけだが、ぐるっと半周くらいできるので、見た気はする。

 駅近くのスーパーSANTAPRISCAに寄って、水とビールとジュースとバナナを購入。3.05ユーロ。
 レジに並ぶと、私の前に並んでいるおじさんにお金をせびられた。ちょっと足りないらしい。
 もちろん断った。

 アレッツォ駅へ。
 自販機だと15:00台しか出てこないので、窓口に行って、フィレンツェまでチケットを購入した。5.1ユーロ。
 というより、14:56が遅れていて、うまくそれに乗れたのだ。
 
 帰りは順調で15:52くらいにフィレンツェSMNに到着した。
 明日のコルトーナ行のため、カミーチェ・コルトーナへのチケットを自販機で買った。6.6ユーロ。

 いったんホテルにもどって休憩する。

 19:00すぎに外出。
 駅構内でピザセット5.25ユーロ。
 缶コーラとマチェドニアとピザでこのプライスは助かる。味はまあまあだ。マチェドニアは生のりんご、オレンジ、キウイが満載でこれまたもうけものだった。




1/18(水)  試練のコルトーナ


プレトリオ宮の外壁

 今日から旅も後半だ。今日も雨模様。
 7:05朝食へ。いつものオバサンは準備する気がないらしくパンしかない。10分ほどして他の客が現れたら、ようやくチーズや牛乳を持ってきた。

 7:45外出。
 16番線から8:09の定刻発車だ。
 通勤客で混雑してきた。珍しく定刻9:22にカミーチェに着いた。小さな駅。
 少し街中へ歩いて、2人に聞いてバス停を見つけた。(駅前にもあったみたいだが・・・。)
 コルトーナへ行くバスはどうも9時台だけないようだ。次は10:58だって!
 タクシーも見当たらないし、1時間半もバスを待つ気はない。風邪を引くよ!
 コルトーナまで3kmという標識があったので、歩いていくことにした。
 それほど寒くないし、雨も上がっている。
 バスの停留所を確認して歩いていけば、大丈夫でしょう。しばらくすると、コルトーナの街は見えているし。


ひたすら歩く

 途中、立派な教会があった。
 サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ・アル・カルチナイオ教会だ。長いな。
 中へは入れなかったが、由緒ありげな感じだった。遠くから見ても絵になる立ち姿。

 汗だくになりながら1時間は歩いた。
 けっこうクルマがビュンビュン往来するので、ちょっと怖かった。
 ようやくコルトーナにたどりついた。
 体育館のようなところのトイレを借りた。(汗シャツを脱ぐ)中学生が室内でバスケットだかをやっていた。

 てきとうに歩いてレプッブリカ広場に出た。
 まずは、フラ・アンジェリコのある教区博物館へ。小ぶりの建物だった。5ユーロで入場する。

 フラ・アンジェリコの受胎告知はすばらしい!
 ここのは天使が主人公だ。その羽と服の美しいこと。赤の色に奥行きがある。
 フィレンツェのサンマルコの受胎告知はフレスコ画で、ここのは板絵。ぜんぜん感じがちがう。フィレンツェはパステルっぽい印象だ。ここは赤とゴールドのイメージ。
 そして、右側にある「聖母子と聖人たち」も美しい。金と青と赤がとてもクリア。すがすがしい絵だ。
 なんというか、作者の清らかな性格が出ている。
 フラ・アンジェリコの絵の前に立つと、ほんとに心が洗われる気がする。

 その他、ルカ・シニョレッリの佳作も多かった。
 色がきれいだし、昔の絵にしては表情や動きがあるかも。

 ドゥオーモの入口にある彫刻の写真を撮り、坂を下りて、中世の家とやらを写した。5軒ほどそれらしい家があり、軒の中央が垂れ下がっている家もあった。


         シニョレッリ広場

 シニョレッリ広場へ引き返し、エトルリア・アカデミー博物館へ。7ユーロもする。高いね。
 エトルリアの展示はモニターとかあり、今風。
 上には絵画やパラッツォの展示もあった。
 次第に冷え冷えしてきたので、ホカロンを使用した。
 ここの目玉のブロンズの蜀台は、どれがサテュロスかよくわからなかった。
 しばらく悩んだが、サテュロスがたくさんいることが判明して納得。
 なかなかわかりやすい展示だった。逆さにして下からライトアップ、周囲のケースには説明。土色のレプリカも置かれていた。

 13時ころにバス停をチェックして、目をつけていたレストランIL CACCIATOREへ入った。
 しかし、食べたかったトリュフのパスタは今日はないっていうじゃん。《本日のお品書き》に載っていたから入店したのにひどいわ。(昨日の昼からヨダレが出ていた)
 しかたなく、牛肉のカルパッチョ、魚と野菜のグリル、白ワインと水を頼んだ。カルパッチョはとても美味。セコンドは魚の種類がわからなかったが、ズッキーニやトマトがいっぱいで、あっさりしていた。エスプレッソで〆て、28ユーロだった。チップは1ユーロ。2組ほど客が入ってきた。

 14:40のバスに乗ってカミーチェで下車。(アレッツォまで行くべきだった)
 カミーチェ駅の自販機の操作に手間取り、15:31の電車に乗れなかった。
 あー、なんてことでしょう!
 この駅は2つある窓口も閉まったままで、トイレもなければ売店もない。
 昨夜、今日の帰りのチケットを買おうかと迷ったのだが、アレッツォ経由にするかもしれないと思い、踏み切れなかったのだ。どうもカンが冴えない。

 16:37発の電車でフィレンツェに17:51着。やれやれだ。
 1/21のサレルノ→ローマのチケットも買っておいた。
 近くのバールで玉子焼きサンドを買ってホテルへもどった。

 今日はほんとうに疲れた。
 コルトーナについては、下調べが不十分だった。インフォメーションにも行きそびれていたし。
 まあでもほとんど雨には降られなかったし、たまには田舎道を歩くのもよい。
 フラ・アンジェリコの天使を見てなごんだので、よしとしましょう。



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