ドラえもん のび太の恐竜2006

 


 毎年春の恒例だった映画を2005年には公開せず、その年の春からは声優陣を一新したドラえもん。

その新声優を迎えて最初の公開された映画がこの作品。なんと、1980年に公開された記念すべき映画ドラえもん『ドラえもん のび太の恐竜』のリメイクだったのです。これは否応にも注目を集める作品となったのでした。

 

 スネ夫にティラノサウルスの爪の化石を自慢されて悔しいと感じたのび太は、自力で生きた恐竜を丸ごと見付けてやると宣言する。

「出来ない事を言うな」とのび太を突き放すドラえもんの助けも借りずに、遂にのび太が発見した物は何と本物の恐竜の卵。そこから孵ったのは白亜紀に生息していたフタバスズキリュウ。ピー助と名付けたフタバスズキリュウを大事に育てるのび太に応え、ピー助ものび太になつきすくすく育つのだが、ピー助は大きくなり過ぎて現代では飼育できなくなる。仕方なくタイムマシンでピー助を白亜紀に送り返そうとし、タイムマシンに乗って時間を移動している最中に超空間に謎の男が現れのび太とドラえもんはタイムマシンに攻撃を受けてしまう。何とかその場は逃げ切り、ピー助を無事白亜紀に送り返したのが、現代に戻ってから確認したところ、タイムマシンに攻撃を受けた事が原因で、フタバスズキリュウの生息しない北アメリカにピー助を送り返してしまった事が分かる。そこでピー助を当時の日本に連れて行こうとタイムマシンに乗り込んだのがのび太、しずか、スネ夫、ジャイアンにドラえもんの5人。しかし、攻撃を受けたせいでまだ本調子じゃなかった上に定員までオーバーしてしまった為にタイムマシンは完全に故障してしまう。なんとかピー助の元には到着するのだが、5人は無事ピー助を日本に連れて行き、そして現代の日本に戻ることが出来るのだろうか・・・

 

 僕は、80年に公開されたオリジナルの方は観ていません。

ですが、原作は小学生の頃に繰り返し繰り返し、それこそ本が擦り切れるぐらい読んだので、作品に対する思い入れはばっちりです。

 何かを映画にするにあたって、原作が全てとは申しませんし、原作をそのまま映画に出来るとは思っていません。

ですが、原作者の意図した事を正確に読み取ったらどうしてもカット出来ない部分はあると思うのですよね。例えばこの映画の原作だと、のび太が少しでも歩いて前に進もうと仲間達に提案するシーンが有るのですが、それが大胆にもカットされているのです。のび太の成長を垣間見せる重要なシーンだと思っていたのですが、この映画のスタッフは何を思って削ってしまったのでしょうか・・・

あと、劇中にタッチが変わりすぎ。まるで『マインド・ゲーム』を観ているようでしたよ。まぁ、そういうシーンでは子供達が大喜びして観ていたので、演出としては上手く行ったって事なんでしょうね。

 

 まぁ、少々難癖をつけましたが、この程度の欠点はあえて挙げて出てきたって感じです。

ストーリー展開もアクションも、超合格点。アクション、ギャグ等の映画を成り立たせる様々な要素が最もバランスの取れている映画は『イ・ストーリ』だと言う調査結果が出ていますが、それをも凌駕する出来なのでは?と思います。いや、観客を泣かせると言う点では『トイ・ストーリー2』は足元にも及ばないでしょう。久々に映画を観てボロボロと泣きましたよ。ピー助と分かれて現代に帰るシーンは、原作よりも感動度が高いと思います。

 

今までの映画ドラえもんは、子供の引率で大人が来ていたと言った感じだったのですが、今回は大人達が自主的に仲間と連れ合って来ている様子も伺えました。そして、映画を観た人たちが口々に「良かったね〜」と言っていました。こんな映画は経験上滅多にありませんよ。

 

 ところで来年は『のび太の宇宙開拓史2007』なのでしょうか。

 

2006年3月11日鑑賞


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