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■「身体から革命を起こす」 甲野善紀、田中聡(著) 新潮社

陸上の末続慎吾(すえつぐしんご)選手の活躍で一般に注目を集めるように
なった「ナンバ」ですが、ナンバブームの火元となったのは、
甲野善紀(こうのよしのり)さんです。

「武術」(江戸時代の剣客たちの妙技)を、現実にあったことだと確信し、
みずからの身に再現しようと探求をつづけ、さらに最近では、
「武術を基盤とした身体技法の実践研究者」として、いろいろな場面で応用
可能だとして、異分野の人にもたいへん注目されている人です。

武術的な動きとは、どこかを支点として身体をねじって使うことではなくて、
支点をなくし、つねに全体を同時に使う動きです。
例えば、全部を腰で受けていると負担がきますが、身体全体をそれぞれに独立
させて動かしつつ、それらの動きによって全体としての働きが生まれるように
するのです。

「ナンバ」の真相とは?
江戸時代の人はどんな歩き方をしていたのか?
早足(はやあし)と呼ばれていた人たちは、いったいどのような姿で走って
いたのか?

また。異分野においては、どのように武術的な動きの原理や感覚を取り入れて
いるのか?
フルート奏者、介護福祉士、理学療法士、精神科医では?

多くの介護技術の本は、介護福祉士やヘルパーの資格をとるためのもので、
現実離れしたものも多く、その通りにやれば身体を壊すような方法まで書いて
あったり、全介護状態の人は完全に無視されていたりします。

武術を介護に応用した動きは、たとえば横になっている人を起こすときや、床に
座っている人を立たせるときなど、武術と同じように、局所に負担がかからない
動きで、自分の体重や相手の体重をうまく利用して行います。
そうすれば、自分の身体を壊すこともないし、相手も力ずくで動かされるより
も心地いいものだといいます。

この本は、たんなる発想のヒントを伝えているのではありません。
現実は、習慣としてきた身体観のうえにあるにすぎないもので、身体観が
変われば現実も変わってくる、思考は身体感覚によって生まれるのだという
身体や感覚について考える機会を与えてくれる本です。

そして、思いがけない存在に出会って、驚き、自らのうちに響きあうものを
見出してゆくことは、現状を変えてゆく力にもなります。
挑戦するというのは、どういうことかも教えてくれます。

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■「パンダの死体はよみがる」 遠藤秀紀(著) ちくま新書

「遺体は全人類共有の財産である」
ここでいう「遺体」とは動物の死体のことです。

「すべての遺体は学問に、文化に、そして人類の知に貢献する」を信念にもち、
あらゆる動物遺体と格闘する解剖学者の日々を紹介します。

ゾウを解剖することを想像できますか?
5トンの死んだゾウを切り、運び、埋め、煮る・・そんな格闘があります。

パンダの親指というのは「偽の親指」と呼ばれ、この「偽の親指」が動いて
器用に食べ物のタケをつかむことができるといわれてきました。
ところが、著者が実際にパンダの親指をみてみると、「偽の親指」は動かない
ことに気が付きます。
CTスキャンと、MRIが真実を明らかにしていきます。

「ツチブタ」というのは、サハラ砂漠以南のアフリカに分布している奇妙な獣
です。
体重50キロくらいで、鼻先(鼻先が長い)からお尻まで120センチくらい、
舌でアリを舐めとって生きています。
5メートルの巣穴(トンネルを掘る)を完成させる所要時間は20分。
掘削する前肢を研究し、
「誰よりも速く土を掘るためにこそ、ツチブタの手は美しい」
と、機能美を感じます。

遺体を世界の隅々まで求める旅をする中、
ウィーンの博物館では、19世紀初めの南米のコウモリたちの頭を測ります。

他にも、イリオモテヤマネコの骨格、ニホンオオカミの骨格、
とあるマングースの剥製、さらには、なぜか忠犬ハチ公の話など。

動物の遺体を生ごみのように捨てていくのでなく、「遺体を大切に」、
そして「お前が隠している謎は何だろうか?」その問いかけが、遺体を科学の
世界に導きます。
さらに、無目的・無制限・非プロジェクト的に集められてきた遺体を後世に
残していくことが、計り知れない人類の財産になっていくのです。

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■「ネットワークエンジニアの心得帳」 松田次博(著) 日経BP社

著者は、IP電話を企業に取り入れたとして話題になった、東京ガスに
IP電話を提案、設計・構築をおこなったプロジェクト・マネージャ−です。
常にいくつかのネットワーク構築・運用プロジェクトを同時に見ているだけで
なく、提案といったネットワークの営業もおこなっています。

企画のツールとしてノートとエンピツを持ち歩くアナログ的な人、
自分が楽しいから仕事をしていて、理系というより文学的理解を重んじる
文系的な人でもあります。

ネットワーク技術は、どんどん変わってゆきますが、企画・設計の考え方や
勝つための営業の本質、あるいはトラブル対応の考え方というのは、
変わらないものです。
この本では、その変わらない本質を「心得」として伝えます。

ITの仕事では、技術知識はどんどん勉強して、数年で捨てていくこと。
本当に役に立つのは、コツコツ仕事する中で頭に残っていく知恵です。

「出来ない」の意味は?
「難しそうだ。失敗しそうだからやりたくない」なのか?
良い仕様変更、悪い仕様変更とは?
トラブル発生、対処のポイントは?

等など、10年経っても役に立つ知恵と技術の本質がみえてきます。

後半の「企業ネットワークの動向と企画・設計の考え方」では、IP電話を
中心とした設計の考え方と具体的手法について解説しています。

プロジェクト・マネージャ−、IT関連の仕事をしている人、
企業向けIP電話に興味のある方におすすめです。

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■「江戸の養生所」 安藤優一郎(著) PHP新書

「小石川養生所」は、江戸時代の無料の公的医療施設です。

都市(江戸)には、独身者が多く日常生活のコミュニケーションにも欠けて
いて、地域での相互扶助では対処できないため、幕府などによる公的な救済に
頼らざるを得ない社会的背景がありました。

「小石川養生所」は、小川笙船(しょうせん)の目安箱への投書によって
設置されることがきまり、設置場所として選ばれたのは、当時、幕府の薬草
行政の拠点となっていた、小石川御薬園(おやくえん)でした。

開設当初は、御薬園で栽培している薬草の効果を試すために設置された人体
実験場ではないかとか、使用している薬が粗末ではないかといった風評が流布
したり手続きの煩雑さで、人が集まりませんでした。

そのため悪評否定のために、養生所の見学会を実施するなどで、順番待ちが
できるほど人が来るようになりました。
最初は内科だけだったのが、外科、眼科も増設、
病室の回転をよくするために、定員数を増加させ、入所期間を制限するまでに
なりました。

ところが、しばらくすると入所希望者が減少していきます。

それは、養生所内部が様々な面で腐敗していたからです。

医師が概して治療不熱心であったり、
入所者の身の回りの世話をする看護中間など(現代でいう看護師)に、
数多くの不正行為や入所者への虐待行為がみられたり、
所内の医療活動を取り締まるべき立場の町奉行所与力・同心が、その職責を
遂行していなかったりなどです。

なぜ腐敗したのか?
そして、さまざまな医療改革が行われるのですが、その結果は?

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■『鈴木敏文の「本当のようなウソを見抜く」
 セブン−イレブン式脱常識の仕事術』
 勝見明(著)プレジデント社

セブン−イレブンといえば、コンビニ業界で圧倒的な「一人勝ち」をしている
会社というのは、いまさら言うまでもありません。
そのセブン−イレブン・ジャパン創設者が、鈴木敏文氏です。

なぜ、それほどまでの「一人勝ち」ができるのか?

それは、世間に流布する数多くの「本当のようなウソ」を見抜いて、
わたしたちの気づかない顧客や市場の「真実」をつかんでいるからです。

例えば、「顧客のために」と思ってしたことが、実際には「顧客のために」
なっていないことはないか?

「最新の情報をできるだけ多く集めなければ時代に置いていかれる」と
脅迫感にさいなまれ、情報を「鵜呑み」にして逆に振り回されていないか?

仕事で何か新しいことを始めるときも、まず「勉強する」ことから始めて
いないか?

等など。

それまで正しいと思われていたことの視点を変えて、本当に求められている
仕事の仕方、真の「仕事術」を明らかにしていきます。
そうして、一つ一つを突き詰めると、「顧客のために」ではなく、
すべて「顧客の立場で 考えればそうなる」という原点に行き着くのです。

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■「医療事故―なぜ起こるのか、どうすれば防げるのか」
  山内桂子(著)、山内隆久(著) 朝日文庫

医療事故に関わる課題や現状を、他分野にわたって検討しながら、とても
わかりやすく説明しています。

私たちは、医療事故の考え方として、「事故はあってはならないという考え方」
をしてきました。
けれども、医療事故は、特殊なもの特別なものではありません。
医療スタッフの失敗は、医療事故の原因ではなく、システムに潜む問題によって
作られた結果という性格が強いのです。
「起こりうること、事故から学ぶという姿勢が重要という考え方」に改める必要
があります。

医療事故は、なぜ起こるのか?
原因を探るのに注意したいのは、「ミス」という言葉であらゆる失敗を表すと、
失敗の性質の違いが区別されないことです。
失敗には「エラー」と「ルール違反」があり、「エラー」には「ミステイク」と
「スリップ」があります。
また、集団の特性として、他のスタッフが起こした潜在的な失敗がそれを引き
継いで仕事をするスタッフに影響を与え、顕在的な失敗を引き起こす場合もあり
ます。
そうしたエラーの心理的背景をさぐります。

医療事故は、どうすれば防げるのか?
スタッフの取り組むこと、エラーを起こしにくい器具・機械を開発して使用する
こと、組織(病院)全体の取り組み等を考えていきます。
事故防止には一度で効く特効薬はありません。
潜在的な危険を絶えず探し、その危険を避けるための具体策を講じる絶え間ない
活動だけが「安全」を得る方法です。

他にも、事故調査のこと、説明をいかに伝えるか、「安心情報」を増やすこと、
医療者、患者・家族ともに必要なサポートシステムのこと。
そして、患者側にも、できることすべきことがあることを伝えています。

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■「図解よくわかる データマイニング」 石井一夫(著) 日刊工業新聞社

「データ」は情報、「マイニング」は採掘のことで、鉱山から宝物を
掘り当てる作業のことです。
ここから「データマイニング」は大量のデータを解析・処理して、価値ある
情報を発掘するという技術をいいます。

私たちの身の回りのシステム例でいえば、スーパー、コンビニのレジで商品の
バーコートを読み取り、その売り上げ情報を在庫管理や商品管理にいかして
いくといったPOS(Point of Sales)システムも「データマイニング」に
あたります。

大量データの収集、コンピュータの性能はますます向上、統計解析技術の
発達、そして医学に関していえばヒトゲノム計画による遺伝情報の解明から
テーラーメード医療といった先端医療分野での活用といった背景から
「データマイニング」は、注目されています。

「データマイニング」ってどんなもの?
といった初心者に、ちょうどいいデータマイニング入門書です。

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■「確率と統計のパラドックス 生と死のサイコロ」 
 スティーヴン・セン(著)松浦 俊輔(訳) 青土社

統計学入門をマスターして、統計学に目覚めてきた人におすすめです。

著者のセンは、スイスに生まれ、現在はイギリスで医学統計学者として
新薬や治療法の効果を判定するための統計学的な理論化をおこなったり、
実際の臨床試験もおこなっています。

この本は、その知識や経験から、確率論や統計学を作ってきた人たちの
ことや統計学の考え方が書かれています。
男女の出生比、薬の臨床試験、予防接種やタバコのリスクの意味、伝染病の
伝染モデル、生命保険の基礎といった具体的な事例をもとにして、統計学の
考え方を解説していきます。

統計学は派手さはないけれど、データマイニングに必要な技術であり、実用性と
いう点からみればマスターしておくと役に立ちます。

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■「量子コンピュータとは何か」 
 ジョージ・ジョンソン(著) 水谷淳(訳) 早川書房

量子コンピュータとは何か?
専門知識を持たない読者向けにサイエンスライターが解説しています。

従来のコンピュータはオンかオフか(1か0か)のどちらかしか
とれないです。
ところが、量子コンピュータは、同時に1と0の両方をとることが
できます。
これは、原子・電子・光子といった量子的物体が同時に複数の状態が
とれることからきているのですが、従来の機械的・電子的部品を使う
よりも多くの計算を同時に処理できることになります。

すると、例えば現在使われている「公開鍵暗号」といった暗号は、
大きな数の因数分解による計算がもとになっていて、解読するのに
膨大な時間がかかることから解読不可能になっているのが、
量子コンピュータを使えば解読できてしまうことになります。

こういったことから、量子コンピュータや、それに関係した
量子暗号技術、量子通信は注目されています。

この本では、従来のコンピュータと量子コンピュータのそれぞれの
原理や違いを、いろいろなたとえを使って解説しています。
また、量子コンピュータ実現に向けた技術や、暗号技術、
コンピュータ科学における未解決問題(NP完全問題など)まで
紹介しています。

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■『ぼくの「星の王子さま」へ 医療裁判10年の記録』
 勝村久司(著) 幻冬舎文庫

著者は、学校教員、天文学が好きで、本棚にはサン・テグジュペリの
「星の王子さま」がたててある、ごく普通の市民のひとりです。
生まれてくる子どもには、星子(せいこ)と名付けることに決めていました。

ところが、出産時、医師の不適切な処置で星子は、たった9日間しか
生きられませんでした。

陣痛促進剤の使用は、妊婦と胎児のためではなく、都合のよい日時に出産を
誘導し、人件費を節約するためだったのではないか?
カルテは改ざんされ、いのちや人権は軽く扱われたのではないか?

医療裁判がはじまります。
一審は予想外の敗訴。そして10年におよぶ医療裁判が続きます。

また裁判と同時にこうした被害を繰り返さないようにと、レセプトや
カルテ開示といった市民運動もおこしていくのです。

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■「死人に口あり」 押田茂實(著) 実業之日本社

この本は、「法医解剖」と「法医学」についての話題を扱っています。

「法医解剖は人生の終わりではなく、話すことのできない遺体が
本人の身体で語るドラマの始まりの場合もある」

死んだらそれで終わりというわけではなく、法医解剖により、
その後の予想外の大事件の始まりとなったり、大事件と疑われていた
のに、単なる病死と判明したりします。

真相を解明するには何が大切か?
現場で法医学者の考えることは何か?

実は意外と「法医学」は身近なものです。

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■『上野正彦の「死体」論』 上野正彦(著) PHP

この本は、30年間、監察医を務めてきた経験から、
全国一律ではないという日本の検死制度のことや、監察医の
仕事をわかりやすく伝えています。

真相を解明するには、結果から原因を考える「逆さの視点」が
必要です。
死から生を見る逆転の見方をすることで、人の死がいろいろな
ことを教えていることがわかってきます。
単に、死の原因ばかりでなく、世相や生活習慣の変化、あるいは
人間心理といったことまでです。

こういう視点をもてれば、今まで気づかなかったものがみえてきて、
いろいろな問題解決の糸口になるかもしれません。

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■「移植コーディネーター 医者と患者の新しい”パイプ役”」
 添田英津子(著) コスモトゥーワン

著者は、慶應義塾大学病院で小児外科病棟に看護師として勤務中、
当時始められた、肝移植のブタを使った動物実験にかかわったことから、
肝移植に興味を持ち、アメリカに留学します。
6年間のアメリカ生活後、その経験を生かし、現在、慶應義塾大学病院で
「移植コーディネーター」として活躍中です。

アメリカでは、脳死移植が主に対して、日本では肝移植といえば、脳死移植
より生体肝移植中心です。
一般にも徐々に知られてきていますが、「移植コーディネーター」と
いっても、まだまだなじみが薄い仕事です。

「移植コーディネーター」とは、医者と患者との”パイプ役”で、実は
「ドナーコーディネーター」と「レシピエントコーディネーター」と2種類
あって役割は異なります。
それぞれの仕事の違いは何なのか?

アメリカ留学時に経験した、アメリカと日本の医療制度の違いや看護師のこと、
患者ケニー(3歳)とその家族のことなど、アメリカと日本の考え方の違いが
興味深いです。

「移植コーディネーター」先駆者が書いた「移植コーディネーター」入門書です。

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■『脳はなぜ「心」を作ったのか―「私」の謎を解く受動意識仮説』
 前野隆司(著) 筑摩書房

著者は、ヒトとロボットについて研究している科学者です。
新型アクチュエータ、ヒトの触覚、触覚センサ・触覚提示デバイス、
遠隔操作型ロボット、生物の進化シミュレーション、進化・生命化する
ロボットなどといった研究です。

先日の新聞記事にも、著者の研究が紹介されていました。

つるつる、ざらざらといった物の触感を区別するセンサーを慶大が開発、球体も
測定可能で、将来はロボットの手などに応用できるという記事でした。
(2004年11月5日 日本経済新聞)

著者は、人やロボットの「からだ」を研究してきたのが、ある日、
「心」と「からだ」の成り立ち方はだいたい同じではないかと、ひらめき、
その考え方「受動意識仮説」(意識は無意識に従う受動的な存在である)を
もとに、脳と心についての様々な謎を、解明します。
天動説から地動説への価値観の反転と同じように、見方を大きく変えれば、
心や意識は単純なものとして説明できるといいます。

意識(特に自己意識)はなぜあるのか、意識と無意識はどんな関係にあるのか、
クオリアは何のためにあるのか、永遠の命は可能か、
動物は心を持つのか、ロボットの心は作れるのか、などの疑問に対して、
わかりやすく説明しています。

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■「カラー版 ハッブル望遠鏡の宇宙遺産」 野本陽代(著) 岩波新書

望遠鏡はいくらサイズを大きくしても、地上にあるかぎり、地球の大気の制約や
天候の影響を受けるといった限界があります。
そこで、地球大気の外に望遠鏡を設置すれば、これまでにない天体像を得られる
のではないかと考えて、つくられたのが「ハッブル宇宙望遠鏡」です。

アメリカの天文学者ハッブルにちなみ「ハッブル宇宙望遠鏡」と名づけられ、
1990年4月24日、スペースシャトル・ディスカバー号によって宇宙に設置されま
した。
重さ11トン、主鏡の直径2.4メートルの巨大な宇宙天文台です。
97分で地球を1周し、人工衛星を介しての通信は現在もおこなわれています。

1998年10月からは、とくに美しい天体を意識的に撮影したり、かつて撮影された
同一天体のデータを使って画像処理しなおしたハッブル・ヘリテッジ・シリーズ
の写真が発表されるようになりました。

星間雲と呼ばれる大きなガスとチリの固まりのなかから、つぎつぎと生まれくる
星たち、人が年老いていくように、星もまた年をとっていき、死期を迎えた星の
最後にみせるつかのまの美。
日常茶飯事という、銀河のニアミス、衝突、合体の様子。
これが本当に天体写真かと思うほど美しいです。

ハッブル望遠鏡の運用期間として予定されていたのは15年、
最後のサービス・ミッションは2006年に予定されていました。
それがNASAによる突然の中止を受けたのは、どういった訳があったのか?

数々の写真は、私たちを魅了し、ハッブル望遠鏡に対する愛着が伝わってくる本
です。

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■「医療費の審査 知られざるその現実」 橋本巌(著) 清風堂書店

医療費の審査というのを、先に少し説明しておきます。

診療を行うと、医療機関では月毎にレセプトを作成し、社保では支払基金という
ところに翌月10日までに提出します。
支払基金では、そのレセプトの審査を行い診療報酬金額を決定、診療月2ヶ月後
に医療機関に報酬金額が支払われます。
ここで査定減点になった時は、保険者で再審査がおこなわれます。
医療機関にも通知され、医療機関は納得できなければ再審査を請求することが
できます。

この本で、問題にしているのは、この審査の基準です。
基準があいまいで、全国的に一律でないのです。

どうしてこういうことになっているのか?
医療保険制度と支払基金のこと、
審査は、どのように行われているのか、
そして、保険者とのかかわりのこと、

保険者機能を強化して、審査を民間に開放すると、どうなるか?

普及目標に、なかなか達しないレセ電算ですが、そういったレセ電算の経緯も
知ることができます。

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■「からだの秘密」 ニック・アーノルド(著)坂巻広樹(訳) PHP研究所

40カ国で400万部の大ヒットシリーズ「HORRIBLE SCIENCE」
(日本語訳では、「ゾクゾクするほど、おもしろい科学」)の人気の一冊です。

「人体には、おどろくべき秘密がいっぱい」です。
皮膚、脳、骨、内臓、血液などといった人体のパーツのユニークな話題満載です。

「一度は行ってみたい内臓ツアー」なんていうのもあります。
不思議なクイズが出てきたり、「こんなこと、知らなかった!」「いいニュース
と悪いニュース」「自分で調べてみる?」といった体のことをおもしろいと
思わせる工夫がいっぱいです。

子供向けの本ですが、大人にも人気です。

「HORRIBLE SCIENCE」シリーズとして、「ぶきみなムシ」という
のも同時に日本語訳が出版されました。
昆虫の話、ハエ、アリ、ハチ、クモ、ムカデ、ヤスデなど、こちらもユニークです。

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■「市場原理が医療を亡ぼす アメリカの失敗」 李啓充(著) 医学書院

「市場原理を導入すれば、日本の医療は自動的によくなる」
つまり、「医療も他のサービス業と変わらない。市場原理・競争原理を入れれば、
サービスの質もよくなり、価格も下がる。おまけに患者の選択の幅も広がる」
と、日本では、「株式会社による病院経営」「混合診療解禁」がすすめられよう
としています。

本当に、サービスの質がよくなり、価格も下がり、患者の選択の幅も広がるので
しょうか?

株式会社が病院経営をしている米国では、株式会社病院チェーンが次々に
スキャンダルをおこしています。
株式会社病院の方が、非営利の病院よりもコストが高く、質も劣っていると
いわれています。

米国での混合診療解禁は、医療保険そのものを市場原理に委ねたことから、
国民の7人に1人が無保険者となっています。
医療費が払えないという理由で「個人倒産」する例が急増、これば「クレジット
カード負債」に次いで個人破産の原因にもなっています。

日本は、筋違いの医療改革をしようとしているのではないか?
と、米国の数々の事例が警鐘を鳴らしています。

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■「遺伝子オンで生きる」 村上和雄(著) サンマーク出版

著者の村上和雄さんは、1983年ヒト・レニンの遺伝子解読に成功、
それ以降バイオ分野での研究で数々の業績を上げている人です。
1996年には、日本学士院賞を受賞。最先端の遺伝子工学の研究から、
「感性と遺伝子は繋がっている」ことを究明しています。

人間の大人は、約60兆個という膨大な数の細胞から成り立っていますが、
細胞一つひとつの構造はまったく同じです。
同じ構造の細胞が、爪や皮膚や心臓や目と、まったく違った組織ができ、
それぞれ固有の働きができるのは、遺伝子のおかげです。

遺伝子の能力は大きく、その3%から5%しか、私たちは使っていない
といいます。ほとんどの遺伝子は、眠ったままになっているのです。
遺伝子を目覚めさせることで、遺伝子をON、OFFにすることで、
人は変わることができるのです。

自分にとって好ましい遺伝子をONにすることで、才能を開花させたり、
ガン遺伝子はOFFにして眠らせたり、そうしたことが自分で
コントロールできそうなのです。

では、どうやって遺伝子のスイッチON、OFFを行えばよいか?
いくつか要因はありますが、この本では、その中の精神的要因に注目
しています。
人間の思いや心の働きというものが、遺伝子に対して想像以上に
大きな影響を与えているといえそうです。

あなたも、遺伝子のスイッチをONにして、あなたの才能を開花させて
みませんか?

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■「失敗の心理学」 芳賀繁(著) 日経ビジネス人文庫

人間のミス(ヒューマンエラー)を心理学から解いていこうという本です。

人間のミスは、大きく2種類に分けて、認識や判断の段階でおかすミステイクと、
行動の段階でおかすスリップがあります。
それから、事故やエラーと密接な関係がある人間行動として、違反というものも
あります。
それぞれを、具体例をあげて分析しています。

それでは、どうしたらミスは防げるのでしょうか?
エラーの確率を下げ、事故を予防する対策を、台所用品の人間工学と鉄道の安全
システムで学んでいきます。

冷蔵庫の扉は右に開くのに、電子レンジの扉は左に開くのはなぜか、考えたこと
がありますか?
家庭電器製品や台所用品は、何の訓練も受けていないユーザーが、ミスをしない
で使えるようにしなければならないもの。ミスを防ぐ設計の原理は、こんな身近
なところから、実は学べるのです。

また、ミスは完全にはなくならないもの、新しい技術には、必ず新しいエラーが
ついてきます。
手書きの処方せんが、読みにくくて、薬品名を取り違えるミスが多かったのが、
コンピュータの導入で、減ったでしょうか?
今度は、画面上に表示される薬剤名のクリックが、間違って隣の薬を選んで
しまうというミスが出てきました。

そうしたミスとのつきあい方を考えていきます。

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