おすすめ BOOKS



■「人体再生」 立花隆(著) 中公文庫

この本は「中央公論」1999年9月号から、2000年3月号にかけて連載された再生医学
に関する対談7本をまとめたものです。

再生医学は、毎日のように新しい技術が開発され、ここに書かれているなかのもの
でも、すでに実現してしまったものもあります。
そもそもどうして、こういった再生医学が、はじまったのが、それぞれの分野での
開発の様子は、今読んでも十分興味深いです。

また、再生医療は、次代の成長産業だといわれますが、どんなかたちでビジネスに
結びつくのかが、わかってきます。
未来が知りたい、あなたにおすすめです。

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■「新しい生物学の教科書」 池田清彦(著) 新潮文庫

「この本はこれ一冊読めば現代生物学の諸領域がほぼわかる、ことを目的に書かれ
たものである」
「高校の教科書が余りにも面白くないので、自分で面白い教科書を作ってみようと
思ったのだ」

ということから、種とは何か、遺伝のこと、減数分裂のこと、進化のしくみ、
生物多様性、免疫やエイズのこと、代謝と循環のこと、人類の起源、がんのこと、
寿命のことなどの基礎的知識と、その考え方を話題にしています。

中には、少し難しく感じる話題もありますが、全体を通してみると、生物学って、
なかなか面白いではないかと思わせるものがあります。
それぞれの話題のあとに「まとめ」もついていて、わかりやすくなっています。

また、最後に小学校、中学校の理科の教科書の内容についても、ふれていて、
なるほど理科に興味をもてるような内容の教科書をつくったり、指導するのは
たいへんなことだけれど、もっと理科を楽しく学べるようになるといいなぁと
思いました。

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■「妻に肝臓をもらう」 植竹伸太郎(著) 亜紀書房

著者の植竹さんは、元新聞記者です。2004年4月に定年退職しました。

1977年、現金収入の手段として日雇い労働者が売血に通うことを告発するため、
新聞記者として血液バンクの一つを訪ね、実際に売血してみたという
ルポルタージュを書きます。
その取材がもとで、C型肝炎にかかり、肝硬変から末期がんへ、そして
2003年6月、妻の臓器提供により生体肝移植を受けます。
そういった、いきさつ、手術・術後のこと、ドナーのことが、元新聞記者だけ
あって、とても詳しく、かつわかりやすくルポされています。

日本での生体部分肝移植は、1989年に始まりました。
肝疾患を持つ小児に親が肝臓の一部を切り与えました。
その後、成人間の移植手術も行われるようになりました。
今では、この手術を手がける医療機関は、国内に約50箇所、年間の手術数は
400〜500件になるといいます。
肝臓を提供するドナーは、近親者、配偶者に限られていますが、健康な人から
臓器を譲り受けるという点では、患者本人だけではなく、ドナーになる人に
とっても、肉体的、精神的にもたいへん負担の大きいものです。

そういった生体肝移植の、貴重な実体験を通して、臓器移植が抱える問題点を
あきらかにしていきます。

C型肝炎の感染原因で最も多いのは輸血です。
決して、他人事ではないです。

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■「鳥が教えてくれた空」 三宮麻由子(著) 集英社文庫

「彼らは私に光の存在を思い出させてくれた。彼らは曇りの日に
はさえねい歌しか歌わないのに、雲間から少しでも太陽が顔を出すと、たちまち張
りのある美しいさえずりを始める。それを聞いているだけで、私はそのときの明る
さが手にとるようにわかることに気がついた。鳥が空を教えてくれたのである。」

「彼ら」というのは、ソウシチョウという鳥のことです。
著者の三宮麻由子さんは、4歳で視力を失っています。
鳥との出会いから、夜明けや空の高さ、そして大自然の景色が聞けることに
気づきます。

「なによりも嬉しかったのは、自然との出会いで、発見に終わりがないのが
わかったことだ。生涯学習とはよく言ったもので、勉強だけでなく、五感も心も、
研ぎ澄ませば、いつでも発見のチャンスがあるのである。」

鳥たちの
「その生きる姿を見て、こんなにちっちゃいけど、もしこの世に鳥がいなかったら、
ほんとに世の中は味気ない。だから弱い強い、できるできないじゃなくて、その存
在自体に意味があるんだ。ということは、私だってできないことがいっぱいあって、
小さい存在だけど、ここに生まれたということは存在する意味があるんだろうな
と。」

自分の居場所、心の置き場所まで見つけてしまうのです。

目がみえないことを補うために必要な知識・技能を学んだ学校での教育の話等が、
出てくると、やっぱりみえないのかと思うのですが、そういった話が出てこなけれ
ば、目がみえないとは気づきません。
むしろ、目がみえる人以上に、著者の三宮さんには、いろいろなことが見えている
ように思えます。

とても素敵な五感を感じるエッセイです。

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■「インターネットで痴ほう外来を」 笠間睦(著) つげ書房新社

現在、80歳以上の5人に1人が痴ほう症という状況です。
痴ほう症にも、「アルツハイマー病」や「脳血管性痴ほう」をはじめとして、
いろいろなタイプがあります。
また、いろいろなメディアで、その恐ろしさがとりあげられるため
「アルツハイマー病ノイローゼ」もあるといいます。

そんな痴ほう症に関する正しい知識を提供するとともに、医療問題に対する
話題(75歳以上の人が脳ドックを受けてもメリットがない等)も扱っています。

しかも、こうした痴ほう症、医療情報に関してのWebサイトも積極的に
開設し、メール等を通してのセカンドオピニオンも行っているのです。
そんな患者さんとのメールのやりとりの実際も書かれています。

インターネットを使った医療の実例です。

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■「処方せんの基本ルールと書き方」 エルゼビア・ジャパン

処方について詳しく書かれています。
処方例が多いです。(不均等分割の処方、錠剤を半錠化するときの処方等)

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■「薬剤師のための処方せんの読み方」 じほう

処方せんで、実際に報道された医療事故例があげてあります。
具体例、報道例の多いのがいいです。

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■「あなたのための がん用語事典」
 日本医学ジャーナリスト協会編著 国立がんセンター監修 文春新書

「あなたのための」というのが重要な点です。

インフォームドコンセントが重視されるようになり、がんについても告知
が主流になってきました。
そうなると患者側にも相応の知識が必要とされてきます。
インターネット等で、そういった情報を集めることは容易になってきた
とはいえ、医療側の専門用語は一般の人には、わかりにくいです。

この「あなたのための がん用語事典」は、医療側からではなく「患者側」
から、わかるようにした用語集です。

がんの基礎用語から検査・診断・治療・ケアに関する用語等、10人の
医療ジャーナリストが分担執筆しています。

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■「SEの仕事を楽しくしよう こんなSEはだめになる」清水吉男(著)SRC

本来SEという仕事は、ものをつくりだす楽しい仕事のはずです。

けれど現実には、数日前にした、いい加減な対応のため発生したトラブルに追い
回される「過重労働」で自分のスキルを磨く時間もとれません。

以前は、OJTでの社員教育もありましたが、今ではそんなものもなく放置され
ているだけです。
会社は、実力主義というけれど明確な評価基準もありません。

こんなことでは、モチベーションを保てるはずもなく、夢も希望も持てないです。

このまま、一度も「成功」を体験することなく、また顧客から感謝されることも
なく現役を終わってしまっていいのだろうか?

この本では、SEのあるべき姿と、必要なスキル(特に「設計する」こと)に
ついて模索します。
自分でSEとしてのスキルをあげる方法や、ひとりでもできる取り組み方を提案
しています。

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■「五輪の身体」 齋藤孝(著)日本経済新聞社

アテネオリンピックが始まります!

「この選手がいかに苦労して成功したか」といった人間ドラマは、
それはそれでとっても感動します。
勝った負けたというのも、興奮します。
でもでも、もう少し違う見方でもオリンピックを楽しみたい!
と、なんだか欲張りです。

五輪クラスのトップアスリートの身体感覚がテーマです。

ハンマー投げの室伏選手は、言います。
「力まかせに投げてるイメージがあるんでしょうね。でも、力じゃない。
実はいま、僕が何もしないでもハンマーが飛んでいく方法が見つかりそう
なんです」
どうも外からみる力まかせのイメージとは、違うんですね。

身体の動きひとつひとつを、本当に細かく意識して練習しているんです。
「大切なのは、最適の感覚を見つけること」
そういう身体感覚を発見した時が、なによりも嬉しい。

この本を読むと、身体の動きを意識してみたくなります。

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■「空中ブランコ」奥田英朗(著)文藝春秋

直木賞を受賞した「空中ブランコ」は、思わずふきだす面白さがあります。

精神科医、伊良部は、只者ではない? それとも???
患者の方が、まともな人間にみえてきます。
変な奴だなぁと思いながらも、抵抗する気が失せて、いつの間にか、言いなり
になってます。

「こんな変な奴でも生きていけるのなら世の中は、まだ大丈夫だっていう、
そういう安心感」

変なんですが、私もいつの間にか伊良部ワールドに、はまってます。

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■「心が脳を変える」
   ジェフリー・M. シュウォーツ (著)、シャロン ベグレイ (著)、 
   吉田 利子 (翻訳) サンマーク出版

脳は子供時代に完成してしまって、大人になったら、脳細胞は死んでいくだけ
だよといわれ、諦めを感じている人に、この「成人の脳は変化しうる」という
話は希望を与えます。

OCD(強迫性障害)とは、手を洗わずにはいられないとか、鍵をかけ忘れた
のではないかと心配で、何回も確かめずにいられないといった、妄想とも思え
る不安が消えないといった症状の病気です。

OCDの生涯有病率は2〜3%、アメリカでは、およそ40人にひとり約600万人
いるそうです。

そのOCDに「気づき」を取り入れた治療からわかるのは、意識的、意志的な
心が脳とは別のもので、モノとしての脳だけでは説明しつくせないことなの
です。
心がもつ真の力が脳を変えているのです。

量子理論というのが少し難しく感じる部分もありますが、意識って何だろう?
と、ますます知りたくなります。

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■「コンサルタントになる人のはじめての業務分析」 窪田寛之(著)
   ソフトバンクパブリッシング

この本は、業務分析を主要なテーマとして、そのツールに「UML」を使って
います。

モデルサンプルのひとつに「病院外来」があります。
「頭にケガをした外来患者が、予約に従って来院し、診療医の診察を受け、
レントゲン撮影を行う」というストーリーでの業務分析です。

「UML」を使って、業務分析していく方法を丁寧に解説しています。

よいモデルの作成例をできるだけ、たくさんみて、自分でも作成してみる、
そして、何度も改訂していく「繰り返し」でモデルの精度も高まっていきます。

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■「医者の涙、患者の涙」 南淵明宏著 廣済堂出版

南淵先生というのは、「ブラック・ジャックによろしく」(マンガ、TVでも放映
されたね)で、猫の絵がついたTシャツを「ゲン担ぎ」で着ている心臓外科医の
モデルです。
「白い巨塔」(TV)の最後に流れる出演者の名前にも、協力医として出てきて、
こんなところにも出てるんだと、気がついた人もいると思います。

半年程前に、出版された赤い表紙の「心臓外科医」(南淵明宏著)では、
心臓外科医の仕事のこと、そして日本の医療システムのことが書かれていました。

今回出版された、緑の表紙の「医者の涙、患者の涙」では、患者さんの話が加わり
ます。

「病気だといわれ、死ぬかもしれないと脅かされ、やはり死ぬかもしれない大手術
を受ける決断をした目の前の患者さんは偉い」

医者が、医療のプロであれば、患者さんは、プロの患者として、なんとしても
生き抜くという強い意思を持ち、目の前の医者に自分や家族の命をたくすのか
どうかの判断材料は、自分で手を尽くして調べる・・・は、私もその通りだと思い
ます。

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■「須磨久善 心臓外科医」 別冊課外授業ようこそ先輩 KTC中央出版

この本は、NHKテレビ番組「課外授業ようこそ先輩」の授業の様子と、
インタビューによって構成されています。

授業は、最初は教室で、心臓の働きの話からはじまり、子供たち(小学生)は、
ゴアテックス製の人工血管をつなぐバイパス手術の実習に挑戦します。
次には、実際に病院に行って、須磨先生のバイパス手術をリアルタイムで見学する
ことになります。

子供たちに、そんな手術をみせて大丈夫かなと思うのですが、子供たちは、すごい
すごいといいながら真剣です。
私も、子供たちと同じように、すごいすごいと思いながら本を読みました。

「命って何かな?」と考えたときの須磨先生の話は、心に残ります。

「それぞれの人の命と命は別々なものではなくて、みんなつながっている。自分が
人に何かをしてあげると、その人が喜んで「嬉しいよ」って言ってくれたら自分が
元気になる」

「何かしてあげたことは必ず自分に返ってきます。ただ、目に見えないかたちで
返ってくることが多いから、どういうつながりかはわかりにくのだけれど、ぼくは
必ずつながってると思う」

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■「遺伝子が明かす脳と心のからくり」東京大学超人気講義録 石浦章一著 羊土社

この本は、東京大学の文系生命科学の講義8回分(心の問題と生命倫理)を、まと
めたものです。
東大の講義、生命科学…というと、なにやら難しそうに思えますが、ここに出てく
る講義は、わかりやすくて面白いです!
東京大学「超」人気講義録というのも、うなずけます。

不安と遺伝子の関係、人間の気分に効く薬のこと、記憶力を高める遺伝子のこと等、
遺伝子で説明できる話とか、また、最近ドーパミンと意欲との関係がよく言われま
すが、関係があるとわかってきた経緯は、興味深いです。
へぇーそんなことするんだ…というようなマウスを使った実験も出てきます。

他にも、生命倫理(バイオエシックス)と言うと、遠い話のように聞こえてしまい
ますが、遺伝子診断で実際にあった事件を取り上げています。
今の時点で、こういった事件が起きているなら、将来、遺伝子診断が、もっと増え
れば、思いもよらないような事件がおきそうです。

また、狂牛病を例にしたリスク分析も、一般的な報道の裏では、知られていない
いろいろなことがあって、自分でどう判断していくかが、大切なんですよね。

ところどころに出てくるコラムが、また面白いです。
私は本屋さんで、このコラムを立ち読みして、妙に面白くて、これは全部読んで
みたいと購入しました。

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■「デスマーチよ!さようなら!」 深沢隆司著 技術評論社

プロジェクトマネージャ、SEにおすすめです。
また、顧客側システム担当の方にも、システム開発を理解する助けになります。

誰も見ない大量なドキュメントは、本当に必要?
毎回、会議をしているのに、話がかみ合わないのは、どうして?
うまくいっているプロジェクトなんて存在するの?
普段、疑問に思っていることばかりですよね。

問題プロジェクトにあるのは、マネジメントや交渉がいい加減であるがための
「過酷さ」だと著者は言っています。
プロジェクトの失敗は、マネジメントにあります。
本質をみないで、ものごとを浅く軽く考えてしまうからです。

では、プロジェクトの成功とは?
Win−Winを実現すること。
高いモチベーションと、コミュニケーション(特に実作業者との話し合い)が重要
です。

そのために、著者が工夫したことは、スペックパターン開発プロセス(開発の進め
方)、コミュニケーションのとり方、会議・議事録、現場主義に徹すること、シス
テムの品質を低下させているドキュメントについて。

この本の中には、プロジェクトマネージャ、SEを実際に経験してきた上での、
プロジェクトの問題点とその工夫があります。
目の前の仕事に、その都度、自分で工夫を重ねていくことの大切さを感じて下さい。

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■「仕事で本当に大切にしたいこと」大竹美喜著 かんき出版

大竹美喜さんは、がん保険を日本で最初に扱った人、アフラック(アメリカン
ファミリー生命保険会社)の創業者です。

がんとの戦いは、長くつらく費用もかかります。それをカバーする保険をつくる
のは、社会的にもたいへん価値があると大竹さんは、強い使命感を持ちます。
当時「がん」は今よりも、もっと恐れられ、口に出すのもいまわしい病気とされ、
「がん保険」というストレートなネーミングで売るのは、たいへんなリスクが
ありました。
それにもかかわらず、失敗を恐れないで続け、オンリーワンを目指します。

大切なのは、自分探しとその夢を実現させるには、どうしたらいいか考えること。
使命感を持ち、最後まであきらめずに続けること。

「仕事で本当に大切にしたいこと」タイトルは、さりげないですが、大竹さんの
体験から生まれたノウハウが、ぎっしりつまっています。

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■「アメリカン・スプレンダー」

「アメリカン・スプレンダー」( Amerikan Splendor )とは、1976年に創刊され
たマンガなのですが、これが最近、映画化されました。

作者のハービー・ピーカー( Harvey Pekar )は、国立病院に日々カルテの整理を
繰り返す事務員で、趣味は中古レコード集めでした。
ある日、棚から落ちてきたカルテの束を拾い上げると、そこには亡くなった人ばか
り。「このままの人生ではむなしい」と子供の頃から好きだったマンガをかきはじ
めます。そのマンガに出てくるのは、自分とそのまわりの人たちのたわいのない
日常です。

フィクションとドキュメンタリー、マンガのコマまで取り込んだという映画
「アメリカン・スプレンダー」は、日本では2004年7月10日から公開予定です。

書籍も2004年7月17日に発売予定です。(予約受付中)

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■「蛙」  菅野泰伸、新風舎

蛙(カエル)の写真集です。
カエルとか両生類とかが、特に好きというわけではないのですが、本屋さんで妙に
気になって何度も手にとり、ついに購入してしまいました。

子供の頃は、家の近くに田んぼもあって、カエルもいましたが、今では田んぼも
住宅地にかわり、カエルもいつの間にか見かけなくなりました。

カエルって、こんな目をしてたんだなぁ。
カエルからは、人間はどんなふうに見えているのだろう。
と、写真をながめていると、不思議な世界に迷いこんでいきそうです。

ユニークな写真集です。

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