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「神子様?どうなされたのです!?」 花梨付きの女房がずぶ濡れの童と神子の姿に絶句した。 「もう、ここならだいじょうぶですから・・・・・・・・・。」頼忠はホッとしたように腕から降りようとしたが、花梨は抱え直して頭を肩に抱き寄せた。「ちゅっ。―――ぅわっ!」 勢いで白い首筋に顔からぶつかった。―――口付けてしまった。わたわたと慌てふためいてしまうが、本人は全く気にしていないようだ。優しい手が落ち着けとばかりに背中をぽんぽんと叩いた。 『まんがいち、おけがをさせてはこまる。おろしてくださるまでおとなしくしていよう・・・・・・。』 頼忠の一人芝居を見つめる男達の視線が全身に突き刺さっているがどうする事も出来ず、涙目で寄り掛かった。 「ちょっと池に落ちちゃったの。申し訳ないんだけど、着替えの用意をお願い出来ますか?」 「まぁ、丁度良う御座いますわ。」一人の女房がにこやかに提案した。「湯浴みの準備が整いましたから、どうぞ。」 「グッドタイミング!」花梨もにっこり。「じゃあ、忠直くんも一緒に入ろう!」 「はっ?!」眼を剥く。「わ、わたしがごいっしょするのですか?」 「ちょっと待て!」勝真が慌てて花梨の腕を掴む。「早まるな、花梨!」 「そうです。お待ち下さい!」泉水が花梨の前を塞ぐ。「湯殿に男と入るおつもりですか?」 「男って・・・。」苦笑。「忠直くんは子供じゃない。」 「こいつは子供なんかじゃ無いっ!」イサトが怒鳴った。「何で見て解らないんだ?こいつは―――。」 「「イサトっ!」」 自分達の悪戯がバレるのを恐れた幸鷹と彰紋がイサトの口を塞いだ。 「じゃあ、温まってくるね♪」 男達が暴れている隙に、横を通り抜ける。 「み、みこどのっ!?」 頼忠は助けを求めるように周りの女房達に腕を伸ばすが、手も願いも届かない。 「「「「「「「わっ!待て!!」」」」」」」 男達は慌てて花梨を捕まえようと腕を伸ばしたが。 「殿方はお下がり下さいませ。」 数人の女房に遮られた。 「「「「「「「花梨っ!!」」」」」」」 かたんっ! 叫び声の中、扉が開けられ、二人が中に消えていく。 「「「「「「「あ〜〜〜〜〜〜!!」」」」」」」 パタンっ! 悲鳴の中、扉が閉められた。もう、どうにもならない。 「「「「「「「・・・・・・・・・。」」」」」」」 薄い扉の奥から声が洩れてくる。 「ほら、何時までも小さな赤ちゃんみたいに駄々を捏ねないの。」 「そそそそんなことをおっしゃられましても・・・・・・・・・。」 「「「「「「「・・・・・・・・・。」」」」」」」 これから起きる事を考えると・・・・・・血の気が引いていく。 「こら、服を脱がなきゃ駄目でしょう!」 「うわっ!み、みこどの!!」ばたばたと暴れる物音と頼忠の悲鳴。「おやめくださいっ!」 「「「「「「「・・・・・・・・・。」」」」」」」 握り締めた手が汗で濡れている。 「みこどの〜〜〜!」半泣き。「おぬぎにはならないで・・・・・・。」 だんだん声が小さくなる。 「ませた子供〜。」笑い声。「服を着たまま入浴する人はいないでしょ?」 「「「「「「「・・・・・・・・・。」」」」」」」 もじもじもじ。何人かの頬に血が上っていく。 「洗ってあげるから、こっちにおいで。」 「いや、けっこうです。わたしにはかまわないでください。うわっ!」 「ほら、こっちを向いて。」 「あっ。」 「ちょっと。お尻、擦り傷出来ているじゃないの!」 「え?」 「血が出ている。洗わなきゃ。」 「ぎゃっ!どどどどこをさわって――――――っ!」 「「「「「「「っ!」」」」」」」 何処ってまさか、まさか花梨、頼忠の尻を触ったのかっ!? 「暴れちゃ駄目。洗えないよ?」 「じじじじぶんで―――うわっ!」 「ひゃん!くすぐった〜い!」 「ももも、もうしわけありま―――。わっ!」 「っ!」息を呑む。「そこは触っちゃ駄目!弱いんだから。」 「「「「「「「・・・・・・・・・。」」」」」」」 花梨の弱点・・・・・・何処だ、頼忠!花梨の身体の何処を触った!? 爪が食い込み、掌に血が滲む。 「さぁ、温まろう?」 「このままあがらせてくださいっ!」 「駄目。身体が冷え切っているんだから、温まらないと風邪を引いちゃうよ?」 「わっ!だいじょうぶです。かぜなどひきません!」 ばしゃ!ばしゃ! 「こら。溺れるから掴まって。」 「うわっ!だだだだきしめるのは――――――っ!」 「「「「「「「なっ!!!」」」」」」」 だ、だ、だ、抱き、抱き締めるって――――――神子、どのようなお姿で頼忠を抱き締めているのですかっ!? 「ほら、大人しく―――あれ?」 「んうう・・・・・・ん――――――。」 「忠直クン?大丈夫?どうしたの、忠直くん!」慌てる。「あ、あれ?気絶しちゃった!?」 「「「「「「「はぁ・・・・・・・・・。」」」」」」」 安堵。脱力。 「神子様?いかがされましたか?」 「忠直クンが倒れちゃった!」 「まぁ!―――失礼致します。」一人の女房が入って行く。「あぁ、大丈夫で御座いますわ。少しのぼせたのでしょう。」 「本当?大丈夫なの?」 「はい。少し休ませれば、すぐに元気になりますわ。」 「そう?良かったぁ・・・・・・。」 「では、安心なされたのでしたら、衣をお召しになって下さいませ。」くすくす笑っている。「その間、私が看病をしておりますわ。」 「じゃあ、すぐに行くから、宜しくね。」 「はい。」 かたん。パタン。 扉から出てきた女房の腕に抱かれた頼忠、意識が無い。 「「「「「「「・・・・・・・・・。」」」」」」」 だが、真っ赤な顔をしているのが湯ではなく、花梨の肌にのぼせたという事に、七人には解っていた。 『『『『『『『・・・・・・・・・コロス。絶対に。』』』』』』』 一つの決意を胸に抱き、誓う。 そんな騒ぎが静まった時、花梨にとっては楽しく、頼忠にとっては幸せすぎて心臓に悪い、他の七人にとっては地獄のような一日が終わった。 そして、次の日。 花梨が起きて室を出ると。 「「「「「「「おはようございます、みこどの♪」」」」」」」 簀子にいた七人の幼い子供が、甘えるように花梨を見上げた。 その頃。 頼忠は、と言えば・・・・・・興奮状態が治まらず、熱を出して寝込んでいた――――――。 |
注意・・・「はじめに」のページにある『―――若返りの薬―――』の続編。 八葉→花梨、だけれども、今回も良い目に遭うのは頼忠。 2005/11/14 16:29:36 BY銀竜草 |
「もう!お腹にも痣が出来ているじゃないの!」 「うわっ!み、みないでください・・・・・・っ!」 「ほら、隠さないで。」 「みこどの〜〜〜!」 「「「お腹・・・・・・?」」」 「「「「隠さないで・・・・・・?」」」」 前も見たのか?頼忠の前の・・・モノ・・・・・・も? 「あのお兄ちゃん達にはお説教しなきゃ。」 「きにしなくてもよろしいですからっ!」 「「「「「「「・・・・・・・・・。」」」」」」」 花梨のお説教・・・・・・?それはちょっと・・・嬉しいかもしれない・・・・・・・・・。 ※花梨が頼忠の尻を洗った後。 ちょっとクドイと言うか下品と言うか・・・・・・で、抜かした部分。 2006/01/24 13:55:39 BY銀竜草 |