第25話 「激流」   脚本:山田隆司 総作監:河南正昭 作監:南伸一郎
ひとあし遅くメルとヒロのもとへ駆けてきた大将とロケット。
そこでことの次第を知らされ、法玄、麗華さん、そしてジェロムを追うため、大将は下流へと走ります。

大将が追いついたときには麗華さんは気を失っており、そんな彼女を支えるジェロムも動けない状態で川のなかにおりました。
そんなふたりを助けあげたところ、法玄だけは麗華さんを足げにして川からあがっていったとのこと。
麗華は自分がなんとかするからと、法玄のもとへ大将を促すジェロム。
そのあと麗華さんを地面にたたきつけて水を吐かせ、仲間を呼び寄せると、自分もウィード(と法玄たん)を追って走ってゆかれました。

これといって確執だとか感慨だとかはうかがえない場面でしたが、それでも少しだけ交わす言葉のなかにウィードとジェロムの絆がかいまみえますね。

そのころ牙城では烏合の衆となった法玄軍の残党を、赤目さん率いる奥羽軍総勢がかたづけている最中でした。
もうすでに部隊は結集しているので、狂ちゃんやらを見つけるのはちょっとしたウォーリーをさがせ(懐)。
…それはどうでもいいとして、もうほぼかたがついということで赤目さんは狂四郎、哲心、剣、影虎へ大将のもとに向かうよう指示。
途中、麗華さんとジェロムのお供の四国犬たちに事情を聴き、その四国犬のうちのふたりとともに一路大将のもとへ。

で、その大将ですが、逃走する法玄たんの替え玉作戦にうっかりひっかかってしまい、あらぬ方向へ走ってゆかれる最中でし…た……。
うぃたん……!!!(コメントしづらい) ここ最近とみに漢前になってきたというのに、やはりどこかかわいい感じのとれないお方でございます。
そんなうぃたんが好きですとも!!!(きっぱり)
あ、そういえば替え玉のグレートデンたんがわたわたと動いたときに法玄じゃないと気づいたという場面は、近視だけど動態視力はいいという、わんこ的な演出でちょっといいと思いました。

わんこ的といえば、大将のあとから追っていたジェロムさんのほうは匂いで替え玉作戦をみやぶるという、これまたわんこちっくな能力で、大将よりひとあし先に法玄たんのあとを追うことに。

ところで前回・前々回で倒された法玄軍幹部の3頭はどうしたかというと、赤目さんの指示で佐助が総大将のおられる湯治場へ案内していました。
驚くGBに、温泉に入ってもらうように告げる総大将。
「この温泉は傷ついた心も、体も、癒してくれる。…さあ、入りなさい。遠慮はいらん」
そのお言葉に、涙を流して感銘を受ける元法玄軍の3頭。
「お、おお…あんなひどい目に合わせたのに……」
「お…俺たちを湯に入れてくれるのですか…!」
「なんという心の広い武人だ…。あなたというひとは……!」
まったくだ…!! 3頭同様、視聴者も感服のきわみでございます、総大将!!!(惚惚惚)

さて後半、GBも総大将の許しをいただいて大将のもとへ走りますが、途中で法玄を発見。
その法玄たん、雪道を歩いていると突然地面が抜け、その下を流れる川へ落っこちかけるというハプニングが。
不可抗力とはいえ、ちょっとどじっ子な法玄たん。
びっくりする法玄たん。
宙ぶらりんな後脚をばたばたさせる法玄たん。
前脚を地面にがりがりする法玄たん。

 か わ い い ! ! !
んもー、法玄たんてば!! これ以外にも、歩くときのしっぽのゆれぐあいやら、じゅるりと口元をぺろりするしぐさやら、どうしてそんなにかわいいですかー!!!(←おちつけ)
……ここにきてラスボスに萌えるとか、正直どうかと思います(私が)。

しかしやはりラスボスはラスボス。
急襲するGBをいともたやすく一蹴です。

そしてその後すぐにやってきたジェロムと法玄が激しいバトルを繰り広げることとなりますが、ふとももの銃弾が災いし、ジェロムは法玄に川へと放り投げられてしまうのでした。
ちょうどそのとき駆けつけた大将。法玄には目もくれず、一目散にジェロム救出のため川へと身をおどらせます。

雪洞のなか、ジェロムのもとへ必死で泳ぐ大将。
そんな大将の気持ちに涙するジェロム。
「ウィード!なぜここに…! あがれ!岸にあがるんだ!!」
「そんなこと、できるか! 仲間じゃないか、ジェロム…! あきらめるな…あきらめは敵に屈するのと、おなじだぞ…!!」
「!! 俺をまだ…仲間だと…? ウィード…おまえってやつは……!!」

なんとか川のよどみに身をあずけ、あらためてお互いの胸中をうちあけるふたり。
また、いままでとりこぼしてきた時間を埋めるように、いろいろなことを語りあいます。それはたとえば冬の厳しさ。たとえば楽園の春の美しさ。
ですが事態は深刻です。からだのちいさなウィードは水に体温をうばわれて意識混濁。
「おまえだけは死なせんぞ…! 俺がおまえの鎧となる!」
「神よ…。俺の命はくれてやる…! 俺はどんな罰も受ける! どんな痛みもがまんする! …だから!この最高の漢を生かしてやってくれ…!!
そう祈りながら、ウィードを両の手にかかえて流れに身をまかせるジェロム。

自分の身を傷つけながらウィードを守ったおかげか、雪洞上を捜索していた狂四郎が血の匂いに気づきました。
仲間が来てくれたことに安堵するジェロム。
そのからだから力は抜け、あとはもうただ流されゆくのみ…。
その脳裏に浮かぶのは、奥羽に眠るかつての部下と、そして大切な友の顔でした……。


せ、切ない…。切ないよジェロム………………。
またひとりだけで納得して行っちゃってさあ……………ねぇ……………………………。
でもやっぱりあの5頭のことが、ずっとずーっとひっかかっていたのだなあ…とか思うと、ジェロムの気持ちもわからないでもないのですけども……………。
………切な……………。

ちなみに私事ですが、これがはじめてWEEDを録画した回でした。
CSでは、25話と26話の間に1週GW休みが入ったのですよ。その週、続きが気になって気になってしょうがなくて、「ああ、自分はこんなにこのアニメを好きだったんだ…」などと気づきまして。
そのGW明けに25話のリピート放送がありましたので、録画をはじめた次第でした。



 第26話 「真・銀牙伝説」   脚本:山田隆司 総作監:河南正昭 作監:西岡忍
OPではなく、プロローグからのはじまりです。
河南氏&西岡氏の作画がえらく美麗です。
最終回なんだなあ…という感じで、かなりのわくわく感と、すこしだけさみしい感が。

ジェロムのおかげで仲間に救出された大将。
しかしジェロムの姿は見あたらず。彼の生死も行方もわからぬままに戦線復帰を余儀なくされることに。
死屍累々、負の感情が充満する、黒焦げになった林中を駆け抜ける大将は、戦のもたらす悲惨さに胸を痛めます。

そのとき向かう先、牙城では寿沢にいたロケットたちや麗華さんたちも加わった奥羽軍勢が、ついに牙城を奪回しておりました。
悲願達成に、総指揮として高々と牙城奪還を宣言する赤目さんも、奥羽の戦士たちも漢の涙を流して喜びます。

しかし喜びもつかのま、敵軍大将法玄が戻ってきたことにより、牙城は再び戦乱のうずのなかへ。
ひとり、またひとりと法玄の凶刃に倒れていくなか、奥羽軍の大将たちも到着しました。
ジェロムの仇だと言って無謀にも正面からとびかかる四国犬のリュウとリョウですが、リュウは返り討ちにあって命を落とし、リョウは重傷を負ってひとじちに。

牙城の頂上から法玄を強くいさめる大将ですが、聞く耳をもつ法玄ではありません。
ひとじちの無事の代わりにタイマン勝負を要求し、舞台は大将同士の一騎討ちへ。

これまでの戦いの経験と、師でもあったジェロムの教えから、小さな体ならではの戦法で法玄を翻弄し、抜刀牙を決める大将。
しかし、風にあおられて当たりが浅くなったことと、超大型犬持ち前のタフさで立ち上がった法玄は、怒りの感情をたぎらせながら、抜刀牙で疲労する大将へ歩み寄ります。
奥羽軍の兵士たちが大将を守ろうとしたそのとき、現れた者こそ総大将こと銀そのひとでした。
「これは大将同士の戦いだ。手を出してはならん!」
魂の誇りをかけた不可侵の勝負であることを、みなに知らしめす総大将。

「ウィード、今こそ見せてやれ。熊犬の魂を…!」
総大将の激励により、そして父親が名を呼んでくれたことにより、再び気力を奮い立たせる大将。
法玄に体をとらえられ、大地に叩きつけられながらも、抜刀牙の傷を攻めて反撃を続けます。

ダメージに耐えかねた法玄は、たまらず大将を放ります。
しかし、大将もまた法玄からのダメージが大きく、瀕死の状態で法玄になぶられることに。
それでも手出しをするなという総大将に、狂四郎が猛反発。
もちろん総大将も身を切る思いでおられたのですが、涙を流しながらも
「これはウィードが自ら言い出したこと…。漢が口に出した言葉には、それだけの重みがある」
として、魂の尊厳を守り通す姿勢をつらぬくのでした。


しかし非情なことに、法玄にのどをさかれた大将は雪に身をうずめたまま、動かなくなってしまいました。
駆け寄る仲間たちの声にも反応を示さない大将。
悔しい一心で狂四郎が法玄に向かっていくも、一撃でふっとばされ、赤目さんに押さえつけられ、もはやこれまで…かと思われたそのとき。

風がとまり、山鳴りのような音…奥羽の地に眠る戦士たちの声が辺りに響いたのでした。
かつての仲間の声に涙を流す旧世代の奥羽の戦士たち。
そして「あきらめるな、ウィード…!」と先達、スミスの声に気つけされ、みたび立ち上がる大将。
「そうだ、それでいい。誇りを最後までつらぬくのが、漢ってもんだ。さあ、ウィード。あのクズに、本物の漢を見せてやれ!」
スミスにさらなる活を入れられ、魂の咆哮を響かせる大将。
それに呼応するかのように、次々と大将のもとに現れる、かつての戦士たち。

「言ったよなあ。俺の魂は、仲間に宿るってよぉ」
「法玄…。正義の魂は途絶えん。俺たちゃ心ある者のなかに、生き続けていくのだ…」

ジョンの魂、そしてスミスの魂が、法玄を圧倒します。
そして完全に立ち上がった大将が法玄を見据える、そのまなざしのなかには歴戦をくぐった奥羽の戦士たちの魂が、たしかに宿っていたのでした。

漢たちの魂を背負い、最後の抜刀牙を放つ大将。
法玄は必死でよけたものの、奥羽の神風が大将に味方し、ついにクリーンヒット。
戦いは奥羽の大将・ウィードの勝利で終わりました。

ただし、法玄は死んだわけではありません。
瀕死の法玄のもとへ歩み寄り、とどめさすように言いつける総大将。
大将がそれに反発すると、こんどは自ら法玄に牙をたてます。
そんな総大将の行動と、それに歓声をあげる仲間たちに対し、ウィードはさらにそれをいさめました。
「ばかげてるよ! これじゃ、父さんもみんなも、法玄とおなじになっちゃうだろ!?」
「どんな理由があろうと、ひと殺しはするんじゃない!」
『許せないから殺す』では、争いはなくならない…! 許せる心を持とうよ! それがやさしさだろ!?」
「やさしさは絶対、相手に伝わる。それが未来を変えるんだ!」

実は(というか当然というか)、総大将は本気で法玄を殺めようとしていたのではなく。
みなが道を誤りそうなとき、鏡となる漢こそ、真の総大将だ。ウィード…おまえはいま、私を超えた。今日からおまえが総大将だ!」
と総大将襲名のための、いわば儀式だったのでした。

そんなやりとりを経ても、復讐心や野望の消えない法玄はというと、牙城に登ってしまったことがあだとなり、雷を受けて命を落としてしまいました。
それは天の意志であり、奥羽の地の選択だったのです。

こうして長い長い戦が終わり、楽園にまごうことなき春がやってきたのでした。
戦いに散っていった者たちに安息をもたらす春です。そう、法玄にも…。

そして母の名をもつ桜の樹の下で、はじめての春を実感する大将…いや、3代目総大将。
その春を教えてくれたジェロムの行方はいまだ定かではありません。視界のすみにいたような気がするのは、3代目の気のせいか、はたまた…。


…と、感想文なのにあんまり感想のない文になっておりますが(苦笑)、最終話って見入っちゃうんですよねえ…。
初見なんて、観たあとしばらくほけーとなってて…(そしてMXの18話をみのがした;)。

もちろん、思うところはいくつとあるわけですけども。
まず総大将(2代目)がたいへん漢前で非のうちどころがない。
3代目も負けずおとらず漢前で、まさに新たな総大将として敬意をはらいたい所存。
スミスもとっても漢m
(ry

あと、勝負の決め手が「神風」、天意の現出が雷=「神鳴」などと、これまでなんどか指摘したように超自然現象が存在するという世界観が演出されていて、構成の妙を見ました。
ちょっと説明が不足ぎみかなあとも思いましたが…。でも、3代目のモノローグやナレーションでけっこう示唆されているのですよね。

それから3代目が提示した「理想」について。
特に「やさしさは絶対相手に伝わる」のくだりかな。これは賛否両論わかれそうだとは思うのですけども、でもこのような志をもって生きること…結果ではなく動機の問題として扱うことを考えれば、魂の尊厳を第一とする奥羽の漢の生きざまにあっては、ここで「絶対」と言うこと、すなわちそれほどの強き意志を示す言い回しは、やはりふさわしいと思います。
現実問題、絶対はないとしても、それとこれとは別問題ですから。

そしてジェロムは…。
個人的には死んだ可能性が高いかと……。
もちろん、死んでほしいとはまったく思っていません。が、本犬の心持ちを考えると…という感じです。


作品全体としては、もう、だいすきのひとことですね!!!
わんこ萌え&仁侠燃え!!! ギャップ最高!!!
こんなレトロチックな熱くて泣けまくる作品、もっと観たいです。もっと観たいです!!(2回目)
つっこみどころはいろいろとありますけれども(人間…とか;)、それを補ってあまりあるほど魅力的でした。
もっとも、一般受けはしないような気がするのですけど……。作画もわりとアレだし(爆)。
でも、私はだいすきです!

スタジオディーンはじめ、かかわったスタッフのみなさま、おつかれさまでした。ありがとうございました(ぺこり)。





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