「オイシイ生活」





「ばーか言ってんじゃねえ」


内心の動揺を表には出さず、いたって冷静にオレが返す。
「え〜?」
銀次のバカは、そう短く返すなり不服そうに膨れっ面になりやがった。
なんで、んなことで膨れるよ?
第一そんなこたぁよ。野郎が野郎に言うコトじゃねえだろ。

「ねー、いいじゃんか、してよー」
「寝言は寝て言え」
「なんでー。いつもしてるのに!」
「あぁ!?」

人聞きの悪いこと言うんじゃねえ!
オレがいつした!?
いや、過去に一度もしたことがねぇとは、さすがに言わねえが!
つーか、
してくんのは、むしろお前の方だろうが!
酒飲むと、めったやたらとべたべたくっついてきやがって、抱きつくわ、顔中に吸いつきやがわ。
(あれはキスなんてもんじゃねえ。クチ、くっつけてやがるだけだ。しかも時には噛みつきやがるし)
だから、その意趣返しによ。
一回ふざけてコッチから仕掛けてやったら、どういうワケか、このバカえらく喜びやがって。
あれ以来、酔った勢いでそういう、ちょっと傍目に見りゃあ度を越した"じゃれあい"みてぇのが頻繁にはなったが。

それでもな、いくら酔いが回っていようと、こちとらその辺はきっちりセーブしてんだよ。
それこそ、涙ぐましい努力をしてな。
ま、当然っちゃ当然だ。
まさかよ、酔いにまかせて、コイツと一線越えちまうワケにゃいかねえからな。
コイツはダチで相棒で、その上、一つ屋根の下に暮らす(車生活でも一応そうだろうが)家族のような存在なんだ。
一時の欲をぶつける相手じゃねえ。
ましてや、そんな事でこの笑顔を曇らせたくもなければ、そういう形で失いたくもねえ。

――だからよ。


「あのなあ。くだらねぇこと言ってねえで。とっとと風呂入って寝ろ、この酔っぱらいが!」
「えー? お風呂の前にちょっと寝とけって、蛮ちゃん、今言ったのに」
「ああ? あ、そーか。まあドッチでもいいけどよ」
「第一、オレ、そんないうほど酔ってないよ?」

だから、余計マズいんだっての。
酔ってもねぇのに、なんの抵抗も照れもなく、んな戯言が吐きやがるな。
本気にするだろが。

「素面でもねぇだろ。目、赤ぇぞ」
「眠いだけだよー」
「だったら、寝ろ。ほら、目こすってねぇで」
「うーん。でも、なんか」
「なんだよ?」
「眠いんだけど、なんかちょっと」
「…あ?」
言いにくそうにそう言うと、オレの膝の上から天井を見上げ、小さく溜息をつく。
「この部屋、オレにとっては、なんか広すぎて」
遠慮がちにそう言うと、上目使いでオレを見上げた。
気にいってないとか、そういうんじゃないよ?と付け加えるが、そんなことは言われなくても知っている。
ああ、わかってると一言告げて、小さく溜息をついた。

どうせそんなことを言うんじゃねえかと、予測はしてたぜ。
さびしんぼで甘えったれの、オメーのことだからよ。

思いつつ、銀次の前髪をくしゃりと撫でると、くすぐったそうに片目を瞑った。
「そりゃまあ、スバルの中に比べりゃ、断然広いわな」
「うん。あ、でもオレたちのおうちが出来て、オレ、すっごい嬉しいんだよ! てんとう虫くんで生活すんのとは、また全然違う安心感があって。でも、車の中だと、蛮ちゃん、いつももっとオレの近くにいるから」
「…こうやってくっついてねえと、不安だってか?」
「…うん」

ちょっと恥ずかしそうに頷く銀次に、思わず口元が綻ぶ。
――何をまた、可愛いことを。
我知らずと、見下ろすオレの目が細められる。



狭い、不便だと文句を言いつつも、結局まるまる2年をスバルを塒にしてオレたちは過ごした。
狭い車内で、身を寄せ合うようにして。
それまでの、心が凍り付くように孤独だった過去を、まるでそうすることで埋めていくかのように。
それこそ一日中、べったり一緒にいた。

出会った頃の銀次は特に、一人になることを不安がって片時もオレから離れようとしなかったし、オレもまた、それを良しとした。
傍らに、自分を頼る温もりがある。それが心地よかったのかもしれねえ。
どっちにしても、他人とそうまで一緒にいられるなどとは、銀次と出会う前のオレには想像もつかなかったが。



と、まあ、それはいいとして。

どっちにせよ。
結論から言やぁ、つまりはオレのヨコシマな気持ちにゃ、何1つ気づいちゃいねえワケだ。このバカは。
安堵のような失意のような、そんな複雑な胸中に思わず失笑が漏れる。


「あ、笑った、蛮ちゃん」

ふてくされたように銀次が言う。
別に、お前のこと笑ったワケじゃねえよ。
むろん、そうは言わねえが。


「そりゃ、笑うってよ」
「もお、失礼だなあ」
「ガーキ」
「ふーんだ。どうせ、ガキだよーだ。ね、だから。それはいいからさ」
「あ?」



「ちゅーしてったら」



「あ゛あ゛!?」



だからよ。なんでそうなるんだよ!
ヒトに膝枕させといて、それで充分だろうがよ。
充分べったりくっついてるじゃねえか!



「まーったく。テメーの脳みそは、いったいどういう思考回路を通って、そういう結論になるわけよ」
「してくんない?」
「しねぇ」
「なんで?!」
「なんでってなぁ!」
「いいじゃん、ちょっと、ちゅっvってだけでいいからさー!」
「ちょっと、って、なんだなんだ、そのクチは! ひょっとこか、テメエは!」
「ひょっとこ? なんかワカんないけど。ねえ、そんなことはいいから、とにかくさー ねっ、ねっ?」
「やなこった」
「ええ、なーんでー。してー、してー!」
「うるせえ! なんでオレが、しかも素面で野郎とキスしなくちゃなんねえんだ? 気持ち悪ぃ!」
「き、気持ち悪いって、何もそこまで言わなくてもいいじゃん! もうっ」
「だーってよ。どうせキスするんなら、男なんぞより、チチのでかい美人のねーちゃんのがいいに決まってんだろ!」
「そ、そりゃそうだけどさ…!」




「ちぇー。蛮ちゃんのけち」

どうあっても折れそうにないオレに、銀次はそう一言コイツなりに精一杯毒づくと、やおらオレの膝の上でぷいと横を向いた。
続いて、身体ごところんと返り、つまりはオレに完全に背中をむける。
後ろから見ると、僅かに覗く頬が少しばかり膨らんでいた。


やれやれ。

んなことで、ぶーたれるかよ。
まったく、お子サマの考えることはわかんねえ。

溜息が落ちる。
それでも、まぁいい、すぐに機嫌を直すだろうと思いつつ、オレはほったらかしにされていた本を持ち上げ、パラパラと読みかけていたページを探した。
そして、ああ、ここいらだったっけかと思い、その紙面に目線を落とす。

――が。

ここだと思った箇所から、一向に先に進めねえ。
理由は。
言わずと知れた、銀次のバカが気になるからで―。


ちっと言い過ぎたか。
一瞬、傷ついたような顔をされたのが、どうも気になる。
まあ、オレの口の悪いのはいつものことで、さんざんボロクソに言ってるからよ。
いい加減慣れてるだろうし、第一、そんな冗談を真に受けて、いちいち本気出して怒るようなそういうヤツじゃねえ。
真意と、そうでないものとの区別はちゃんと付けられる。
単純バカだか、そういう点においては、コイツはなかなかに鋭いのだ。


なら。
だったら、どうしたよ。
気になるだろが?


「銀次ー?」
「…うん」


返事が返ってきたことに内心ほっとする。
アホらしい。
このオレ様が、まさか誰かの顔色伺うたぁな。


「何、ぶーたれてんだよ」
「ぶーたれてなんかないよ」
「だったら何だ。はっきり言えって」
「え? はっきり言ったよ?」
「ああ?」
「ちゅーしてって」
「あ゛ー?」
「そんで、フラれちゃったから、ちょっと凹んでんの」
「凹むか。んなことで」
つか、フラれたって何だ。
「そりゃ、凹むでしょ。普通」


まあ、そりゃあな。と納得しかけて、違げえだろと思い直す。


だけどな。
こいつにそういう風にしょぼんとされると、なんだかこう。
どうにもコッチまで、切ないような気がしてよ――。

って。
そういや、初めてコンビ組んで奪還に挑んだ時も、結局コイツの涙にほだされたんだっけな。
他人の感情に自分まで揺さぶられることなんぞ、それまでには皆無だったこのオレが。

以来、ずっとだ。
銀次のこういう顔に、やたらとオレは弱え。

まったく、コイツは。
どこまでが年相応で、どこまでがガキで、確信犯なんだか天然なんだか。


――ドッチにしても。
コイツに、そういう顔はさせたかねえ。
たとえ、それがどんな理由であれ――だ。



本から視線は離さず、ぶっきらぼうにオレが言う。
思考が結論を出すより先に、言葉が勝手に口をついて出た。





「別にいいけどよ」





「…え?」






「――キスぐれぇ、して欲しいってのなら、別にいくらでもしてやっけどよ」






…オイオイ。


思わず、オレは自分で頭を抱えたくなった。



いや、だからってよ。即行かよ。
しかも、なんでテメエはこのバカにそうも甘いよ、美堂蛮。
だいたい、別にそうまでして、コイツはオレにキスしてくれなんぞ言ってねー…。




「してくれんの?!」




オレのその一言に、銀次がばっと頭を上げ、思い切りよく振り返る。
なんとも、嬉しげな満面の笑みで。


オメーなあ。
その嬉しそうな顔は何よ?
知能犯でも確信犯でもねーんだろうが、なんとなくハメられた気分で渋面をつくってオレが言う。

「なんだって、ヤローとそんなにキスしてぇんだよ。まったく、物好きっつーか趣味悪ぃっつーか」
思わずこぼした一言に、銀次がへへっと笑ってそれに答える。
「だって。蛮ちゃんとさ。じゃれあってキスしてもらった後ってさ。なんか気持ちがほこほこして温かくなって、すごくぐっすり眠れちゃうんだよねー」
「――」


素で、とんでもねぇこと抜かすな。
今、一瞬、血が沸騰しかけたぞ。


「そりゃ、酒のせいだろが」
「ちがうよ。蛮ちゃんにちゅーしてもらった時だけだってば」
「へいへい」

これ以上、血液の温度を上げられちゃ堪らねえと、至って素っ気ねえ生返事を銀次に返す。

「まーたまた、蛮ちゃんたら照れちゃってv」
「照れてねえっての!」
「だってさあ」
「ああもう、いい加減黙りやがれ」

銀次がそれに"もうー"と笑いつつも、さっきと同じようにオレの足の上でころりと仰向きになる。



そして、オレと目が合うなり、突然にふっとマジな顔になった。

――なんだよ。

妙に真剣に見つめてくる瞳に、胸の奥がざわめいた。


んな目で見るな。
やべぇだろが。


このざわつきが不埒な思いに傾いていかねえうちに、とにかく急げと頭の奥では警鐘が鳴り響く。
(たかがキス一つとはいえ、素面でコイツとすんのは初めてだ。適当に済ませてしまうなんざ、かなり勿体ねえ話だが。こちとら、いわば死活問題だ、いたしかたねえ)


つられて多少マジな顔になりつつ、銀次を見下ろし、伏し目がちになって低く告げた。



「とにかくよ。――目、瞑れや」

そのオレの言葉に、銀次が丸く瞳を開いたまま、不思議そうにオレを見上げる。

「おら、さっさとしろ」
「キスの時って、目つぶるもん?」
「ったりめーだ」
「そうなんだ」
「あぁ」
「いつも、イキオイでしてたから、よく覚えてないや」
だから、いつもテメーが仕掛けてくるアレは、キスなんてムードのあるもんじゃねえって。
「そっか。なんかこういうあらたまってっていうの、照れるねー」
言って銀次が、さも恥ずかしそうに頬を染めて笑う。


ぬかせ! 
こっちは、テメーよりもっと照れ臭ぇんだよ。



「ほーらー。目!」
「あ、うんv」



せかすと、にこりと頷いて、銀次が静かに瞳を閉じる。
それを確かめて、オレはゆっくりと上体を落とした。
唇を近づける。



そして。



…ふと。
銀次の唇まであと5センチばかりのところまできて、オレは盛大に眉間に皺を寄せた。






「オイ、コラ」
「…ん?」






「…薄目、開けてんじゃねえ」






「…あ、バレちゃった?」





片目だけ開いて、銀次がえへへと笑う。
えへへ、じゃねえっつーの。





「バレバレだっての!!」
「んあー、顔の前でそんな怒鳴らなくても」
「だーかーら! 目ぇ、閉じろ!」
「あーい」




「開けんなよ」
「うん」




言ってるそばから、銀次の口元が堪えきれずにふふっと笑う。
同時に、睫が微かに持ち上がり、本当にうっすらだが琥珀が覗く。

コノ野郎―!



「だーからー! 開けるなって!」
「んああ。そう思うんだけど、なんか開いちゃうんだよ〜!」
「なんで、んなに締まりがねぇんだ、テメーの瞼は!」
「だって、蛮ちゃん、どんな顔してんのかなぁって」
「つまんねぇこと、気にすんじゃねえ!」
「でもでも、蛮ちゃんだって、目開いてるし!」
「する直前にゃ、瞑るだろうが!」
「最初から瞑ってりゃいいじゃん!」
「最初から目閉じちまってたら、どこに着地していいか目算が狂うだろうが」
「でも、オレだけ目瞑ってるのって、なんか不公平っていうか」
「贅沢抜かすな!」
「ぜーたくとかじゃなくて! いつ、蛮ちゃん、目つぶるのかなあって気になっちゃうんだよー」
「だから、んなもん気にするなっての!」
「だってー」
「ああもう、うるせえ。だったらしねぇぞ!」
「え?」
「ごたごた抜かすなら、しねえっつってんだよ!」
「え、それはヤダ!」

即座に否定かよ。
ああ、ったく。
すんなら、とっととさせやがれっての。

思わず、いっそ銀次の顎をひん掴んで、思いきり唇割って舌入れて、そのクチの中乱暴に掻き回してやりてえ気分になる。
…無論、実行にゃ移せねえが。


「だったら、大人しく言うこと聞きやがれ」
「うーん」
「おら、目閉じろ」
「…うん」



やっと大人しく目を閉じた銀次の顔を下に見ながら、再び唇を近づける。
気になる瞳は、手のひらでそっと両目とも覆うようにした。








「…ん」







子供じみた、ふれるだけのやさしいキス。
まったく、我ながら笑えるぞ。
こんなキス、誰相手にもしたことねぇって。


照れ臭ぇこと、この上ねえ。



ここで舌でも入れたら、コイツどういう反応しやがるだろう。
きっと、大騒ぎだな。









「…へへっv」




唇が離れると同時に銀次の口元が緩み、オレが手を退けるなり睫がゆっくりと持ち上がった。
とろけそうに甘い、嬉しげな笑みがその顔に浮かぶ。


なんつー顔だよ。
目が、下向きの三日月型になってんぞ。



「満足したか?」



「うんっ!」
「だったら寝ろ!」
「うんv」


照れ隠しに無愛想に言い放つオレに、それでも頬を真っ赤にしてこぼれるような笑みをオレに返して銀次が頷く。
お手軽なこって。
こっちは、そんな笑顔が眩しくて、とても正視出来ねえってのに。

とりあえず、オレは再び本を手にし直し、何事もなかったように表情を隠すようにしてそれを開いた。




「ふぁ〜…」

オレをじっと笑んだまま見上げていた銀次が、ふいに小さく欠伸を噛み殺す。

ああ、眠てぇんだろ?
そろそろ限界って顔してやがる。
ゆうべは、スバルで過ごす最後の夜だからって、なかなか寝つけないでいたからな。
明け方近くまで、どうでもいいような他愛ないことを、ぼそぼそくっちゃべって。


とにかく、いいから寝ろ。
その方がコッチも都合がいい。


「ねえ、蛮ちゃん」

だから、寝ろって!

「オレさー。本当はあの時」

あ? 
どの時だ?

「蛮ちゃんがルシファーと闘った、あの時――。儀式だってワカってても。本当は、雨流がすごく羨ましかったんだよねー…。雨流がオレだったらよかったのにー、とか思っちゃって……。だから、お酒飲んでふざけっこしたイキオイでも、蛮ちゃんがキスしてくれた時さー。なんか…。なんか、すごい嬉しくって…… そんで…… そんでさ………」






――――すーすー…。





え?

 
おい…?






オイオイオイ。





おい、コラ!
大事なトコで寝るなっての!
すごい嬉しくって。そんでどうしたんだよ!
何が言いてえ。
こら、銀次!




心の中で叫ぶが、既に銀次は夢の中だ。
確かに、キスで安心したのか、えれぇ寝付きの早さだぜ。
って、感心してる場合じゃねえが。




つか。お前。
そんな前のコトに、ずっと拘ってたのかよ。





…アホ。





うっすらと笑みを浮かべたまま、オレの膝で安心したように寝入った銀次の顔を見下ろして、くしゃりとやさしく髪を撫でる。
まだ子供のような、あどけない寝顔。
薄く開いた唇からは、安らかな規則正しい寝息がこぼれている。


それでも。
ガキだガキだと思っていたらよ、実はそんなコトも考えてやがるのだ。
この胸の内で、こっそりと。

いじらしいじゃねえかよ。
まったく。

ま、愛だ恋だのそういう感情とは、またコイツのは別物だろうがな。



ほくそ笑み、よく寝入っているのを確かめて。
オレは、その唇に、もう一度そっと唇を重ねた。
今度はしっとりと、さっきよりは少しばかり長めに。
野郎にしちゃあ、やわらかすぎなその唇の感触を、少しでも長く感じていたくて。
口の端にもキスを落とし、最後に掠めるようなキスを、まだ赤みが残っている頬にも落とす。


想いの告白は、己の心の奥底だけで、密かに。




さあて、と。

この状態で、活字を辿るのはもはや不可能だ。
いくら眺めていても飽きねえ、この寝顔を見つめているだけの方がいい。
オレは本を傍らに置き、銀次の髪を撫でつけながら、コイツとともにいるようになって、すっかりやわらかくなった(って、波児の話だ。まあ、あてにゃならねえ)目線で包むように銀次を見下ろした。






――やがて。

銀次の寝息に誘われるようにして、オレもまた睡魔に襲われる。
湯を溜めたまま、ほったらかしの風呂はどうするよ?
頭の隅っこで考えつつ、まあいいかと諦める。

少しぐれぇいいさ。
朝になってから、シャワーを浴びるんでもいい。
家持ちになったんだからよ、チェックアウトの時間を気にすることもねえんだ。

季節もまだ夏の終わり。
このまま何も被らずに寝ても、風邪をひくこともねぇだろう。



そして、壁に背を預けたまま、オレもまた安らかな眠りに落ちていく。
膝の上に心地よい重みと体温をのせて、それこそ銀次曰く"ほこほこと"心の奥をあたためられながら。



























蛮ちゃん語りにすると、延々銀次のおのろけばっかりで、一話分が長くなるだけでお話が全然進まないので、次回は再び銀次語りに戻したいと思います(笑)
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