「オイシイ生活」


じゃーん。
オレと蛮ちゃんは、ついに念願のおうちをゲットしました!


っていっても、もちろん賃貸で、六畳二間の小さな部屋なんだけど。
3階建てのレンガ色のアパートの、三階の一番端っこ。
真ん中あたりの部屋も一つ空いてたんだけど、オレが一番端の方が覚えやすいだろうってことでそうなりました。
蛮ちゃんは最後まで一階の部屋に空きはねーのか!って不動産やさんに言ってたけど、残念ながら一階に空いてるお部屋はなくって。


以下、不動さん屋…じゃなかった、不動産やさんと蛮ちゃんのその時の会話。


「なんでまた、一階がよろしいんで? 旦那」
「なんでって! ベランダから落っこちたら、どうすんだよ!」
「お、落っこちるって? どなたか小さいお子さんでもいらっしゃるんで?」
「おう、見りゃわかんだろーが」
蛮ちゃんの視線が、じろりと横にいるオレを睨みます。
「…へ? オレ?」

え? オレって小さい???
一八歳だよ、蛮ちゃんといっしょじゃん?

「この方に、お子さんが?」
「ああ?! あほ抜かせ! こんな童貞のガキにガキが出来るわきゃねーだろが!」
「ど、童貞って… 蛮ちゃん」

冷や汗出ます。
この件は、一応ノーコメントってことでお願いします…。

「とーにーかく! このアホは、握り飯おっかけてビルの屋上から転落するような、そういうバカなんだ!」
威張れません。それ。
ってか、あのこと、まだ根に持ってたんですね? 蛮ちゃん。
「布団干して、布団とともに転がり落ちるかもしんねーし、エアコンの室外機の上にのっかって、ベランダの柵を越えやがるかもしれねえ」
あの、蛮ちゃん…。
いくら何でも、オレ、そこまでは…。




でもまあ。
やいのやいの言いつつ、不動産やさんに連れられて実際見に行ってみたアパートは。
結構古いって聞いていたけど、塗装とかは最近やりなおしたらしくって、見た目はなかなかきれいでした。
まあ、壁にところどころ凹みとかあっけどね。床も軋むし。
でも日当たりもまあまあよくて、住み心地は良さそうです。

まあ、なんだかんだ言っても、実際お部屋見たら蛮ちゃんも気にいったみたいで。
即、契約と相成りました。
三階なのは、まあいたしかたないとして。
”ま、三階くらいなら落っこちても、テメーならどっか折る程度で死ぬこたぁねーだろ”というおスミ付きもいただいたことだし。(嬉しくないです…)


なかなか楽しい生活が始まりそうで、オレは実にどきどきわくわくしています。





というわけで。

これから、蛮ちゃんとの同棲生活を、せきららら(ら?)にお伝えしていく予定なのです。





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