■ 愛ノ イカヅチ 1
その日、オレはすこぶる機嫌が良かった。
依頼の仕事を無事終え、予想外に危険が多かったためにちょいと奪還料にイロを付けてもらい、結構いいカネが転がり込んできていた。
それで例によって例の如く、打ち上げだパーッやるぜぇ!と夏実や波児・ヘブンもつれて、焼き肉屋に繰り出し、食べ放題にたらふく食って飲んで騒いだ後。
ヤツらと別れ、さぁて食った後は運動運動!と銀次をラブホに連れ込んだ。
で、今に至るってぇワケで――
まあ、とにかくよ。
この調子で。
今日こそ、今夜こそ。
ツキがあるウチに、やっぱ何としてでもアレも済ませておかねーと!
なんせこのガキと、死と背中合わせの危険を侵さずに、安心してセックスが出来る機会なんてそうそうねえんだからよ。
シャワーも、この際、後回しだ。
とにかく、今すぐコイツとヤりたい。
思いのままに、身体を開かせて貪りついて、今夜はとことん啼かせてやりてえ。
逸る想いを悟られまいと、平静を装って冷蔵庫からさらにビールと取り出す。
プシュ!と缶を開ける音がすると、銀次の肩がぴく・・っと動いた。
「飲むか? テメェも」
「あ・・。ううん」
オレの言葉にはっとしたように顔を上げて、目が合うとぱっと反らせ、派手な色の絨毯に視線を落とす。
広いベッドの端の方に、ちょこんと1人腰掛けて坐る銀次は、どことなく不安そうに見えた。
へー、いいんじゃねえの?
そういや、ホテルで、オメーのそういう顔初めて見んな。
いつもはなーんか遠足に来たガキみてぇに、”蛮ちゃんアレなに? あ、このゴム、匂いツキだって〜 一つもらう? ねえ喉渇いた。おなかすいた。ねえねえ、このビデオの女の子かわいいねv あ、オレ、シャワー先でいい? 覗いちゃヤだからね! うあぁ、ここもまた天井鏡だよ!”と、とにかくうるせえ。
ワクワクそわそわと言ったカンジで、落ち着かねえったらよ。
なんのかんの言いつつ、テメエ、本当にオレとヤる気あんのかよ?
興味半分、遊び半分、そんなトコじゃねえのかと思ったりもしたもんだが。
だが。
今日のヤローは、今までとは全然ちがった。
思いつめたような、その表情は、どうよ。
なかなか色っぽいじゃねーか。
本気でオレに抱かれようって覚悟、やっとついたってか? え?
・・・・・・・・・・・・・・・
なんとなくね、蛮ちゃんはご機嫌なのです。
ご機嫌な理由は、ええっと色々難しい奪還のお仕事だったんだけれどね、それが無事うまく行って・・。
ああ、このへんのことは蛮ちゃんの言ってた通りです。
それでね、オレも大好きな焼き肉食べられたし、確かに幸せ気分だったんですよ。
ちょっと酔っぱらって気分もよかったし、あとはてんとう虫くんに帰って寝るだけだーって。
なのに。
蛮ちゃんたら、「じゃあ、オレらはちょっくら野暮用があるからよ。んじゃな!」とか言って皆と別れて、そのまま無言でオレの手を取って、ずんずんと近くのラブホテルに入っちゃったんですよ。
そりゃあ、気持ちわかるけど。
こんなチャンス、滅多にないのもワカるけど・・。
オレ、落ち込んでるのに。まだ・・・。
なんとなく、ちょっとそういう気分じゃないのです。
それというのもね。
オレ、この仕事で蛮ちゃんが止めるのも聞かず雷帝化しちゃって・・。
雷を呼び込んで、それを一気に自分の身体から大放出しちゃったらしいんです。
それでも怪我人もなかったけど、ビルは一個、上半分ふっとんじゃって。
ちょっと悪いことしてる人たちのビルだったから、蛮ちゃんはまあ気にすんなって言ってくれたんだけど。
気にするよね?
その上ね。天罰だと思うんだけど。
オレ。
電撃できなくなっちゃったんだ・・。
蛮ちゃんはね。
「まあ、それでも奪還の品は無事ゲットできたわけだし、金も入ったから、当分ゆっくりしてたっぷりメシでも食やぁ、またすぐ元に戻るだろ。気にすんな」って、言ってくれたんだけどね。
でもやっぱ、オレ・・。
このまま、電気出なくなっちゃったらどうしようって。
不安なんです。
もし、ずっとこのままだったら、そりゃ、蛮ちゃんとえっちする分には問題がなくなって、オレも嬉しいけど。
でも、蛮ちゃんの相棒としてはどうだろうって。
・・・足手纏いになるかもしれない。
そうでしょう?
はー・・。どうしよう。
ああ、オレのバカ。
ジゴウジトクっていうんですよね、こういうの。
そんなわけで、こういう状況に関わらず、オレ、今ちょっとブルーなんです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「銀次?」
「えっ?」
「どうした」
「え。ううん・・・。なんでもない」
言いつつも、答えるヤツの顔色は冴えねえ。
んだよ、まだ電撃できなくなったこと、気にしてやがんのか?
心配することねえっての。
まあ、確かにこんなこたぁ初めてだが。
ガソリンが空になりゃ、車も走りゃしねえ。それと同じことだろう?
充電が済みゃあ、またきっと出来る。
気にすんな。
まあ、そのおかげで、こちとら安心安全なセックスが出来るんだかんな。
ケガの巧妙ってヤツだぜ。
だいたい、こうやってラブホにコイツと来るのって、いったい何回目だっての。
それなのに、オレはまだ一回として、コイツの中で出してねえんだ!
ええ!? まったく。
言っとくが、オレの身体に問題があったわけじゃなく、それもこれもヤツの特異体質のせいで。
イク時に、なぜか射精ではなく放電しやがる。
そのおかげで、オレはいったい何回死にかけたか・・。
・・・が!だ。
今日は、その心配もまったくねえ。
つまり、今日こそ、生きるか死ぬかの賭けのような行為でなく、何の危険も心配もなく、イレてイレてイレまくって、今まで出来なかった分ヤりまくれるということなのだ。
フッ・・・。
ああ、久しぶりに腕が鳴るぜ。
別にコイツの電撃ごとき、いい加減慣れちまって、どーってこたぁねえけどよ。
でもま、マジで入れたまま感電死してちゃあ、無敵無敗の男・美堂蛮さまの最期にゃ、あまりにもふさわしくなさすぎるかんな。
とにかく、電撃がまた出来るようになるまでの間に、身体をどんどん快楽に慣らしちまえば、ちっとはそういう時の放電もコントロールが利くようになるだろうし。
たっぷりと、オレ好みのカラダに開発してやらぁ。
ビールを一気に半分くらい胃に流し込み、テーブルにコトと無造作に置いてから、銀次の隣に並んで坐る。
肩に腕を回して抱き寄せようとすると、またその肩が、今度は大きめにぴくり!と跳ねた。
「ば・・・蛮ちゃん・・・」
オレの胸の辺りに手をついて、ちょっと顔をそむけるようにする。
お、いいねえ!
完全に怯えてやがる。
やっぱ、せっかくのショヤだかんな、そうこねえと!
思いつつ、顎を上げさせ、そっと唇と合わせた。
ついばむような軽いキスをして、ゆっくりと銀次の身体をベッドに倒し、そのまま広いベッドの真ん中へと引き上げる。
「ば・・・・」
「あん?」
「蛮ちゃん・・」
「どうした?」
「あ・・・」
首筋を軽く吸っただけなのに、もう感じてやがる。
かわいいじゃねーか・・。
オレの身体の下に巻きこまれて、銀次が震える瞳でオレを見上げる。
「・・怖ぇか?」
我ながら、なにを甘いことをほざいてんだか。
「ちょっと、だけ・・」
たっぷり怖がらせてやりてぇと思いつつも、本気で怯えた目をされると、ちょっと可哀想な気がしねーでもねえ。
いやいや! 何言ってんだ!
そんな目に負けてられっか。
ヤルぜ今日は、徹底的に、よ。
覚悟しろ、銀次・・!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
蛮ちゃんは、本気なのです。
真剣すぎて、目がコワイです。
本気で、今日こそ最後までイっちゃう気なのです。
いや、別に今日に限ったことじゃなく、こんなとこ来てんだから、いつだってヤる気満々なのは知ってっけど。
や、オレだって、もちろんそのつもりはいつだって満々なんだけど!
・・・でも、本当に本当なんだ。
オレ、ホントに蛮ちゃんに食べられちゃうんだ・・。
今さらだけど。
その・・。
なんか、やっぱ、ちょっと・・。
ちょっと怖いっていうか・・。
「ば、蛮ちゃん・・・! ねえ、し、シャワーは?」
「あ? 今日は後でいい」
「だ、だってオレ、汗いっぱいかいてるし!」
「その方が、オメーの味がたっぷりしていいじゃねえか」
ええ、あ、味って何??
オレ、味すんの! どんな??
カレー味とか、ソース味とか、そんな??
「そ・・・! そんな、変態さんみたいな・・・ あ・・・」
「誰が変態だ。え?」
「や・・・・」
誰が変態と言いつつ、蛮ちゃんの手の動きは性急です。
変態さんよりも、早いかもしれないです。
ハーフパンツの裾から手が入ってきて、オレの太股の内側をゆっくりと撫でながら這い上がってきます。
いつもなら、いっぱいキスして、カラダのあちこちゆっくりさわって、オレがそれにだんだんに感じてきてから、(もしかして、アレって電気の出具合を見てたんでしょうか?)そういうトコに手を伸ばしてくるのに、今日は早くて・・・。
首筋をざらっと舐めて、鎖骨のあたりを強く吸われます。
うわ、ぞくぞくする・・。
あ、痕つけたでしょ。
ソコ、目立つじゃないか〜
思っているうちに、腿を這い上がっていた手につけ根のあたりを掴まれ、ぐいっと開かれて。
・・ア! ちょ、ちょっと待って!
いきなりそんなトコなんですか・・・っ!
待って、まだ・・!
「いや・・・!」
「イヤじゃねえだろ?」
耳元で囁くように言いながら、蛮ちゃんの舌が耳の中に差し入れられます。
なんか濡れた音が、すごい近くで聞こえるよ・・。
それだけで、背中もぞくぞくします。
と同時に、下から入ってた手が下着の中に潜んできてオレの、いきなり握っ・・・!
「う・・・! あ、やだ・・・! ねえ、やだってば・・・!」
「気持ちイイんだろ? そういう時は”イヤ”じゃなくて、”イイ”っつーんだよ」
う、そんなコト言ったって。
答えるより先に、下着の中に潜り込んできた蛮ちゃんの熱い手に、ソコをゆっくり扱かれ出して、強烈な刺激に頭が枕の上を仰け反ってしまいます。
ア・・・・・!
返事、できない・・・っ。
気持ち、イ・・・・
「はぁ・・・・っ!」
「今日はやけに感じやすいな? いつも感度かなりイイ方だけどよ、今日は反応早すぎだぜ、テメェ」
「あァ・・・・! ねえ、イヤ・・・! ばん、ちゃ、あ・・・・・・」
「イヤじゃねえっての。こんなに大きくしてよ。おら、言ってみな。”イイ”っつーんだよ、オラ」
「や・・・・・!」
言えないよ、こんなことされてるだけで、充分恥ずかしいのに・・!
そんな恥ずかしいコト。
両膝が、蛮ちゃんの手を挟んだまま、ぎゅっと絞るように合わされます。
腰が浮いて、勝手に蛮ちゃんの手の動きに合わせるように揺れちゃって。
恥ずかしいよぉ・・。
自分でも、もうどうしていいんだか・・。
「ヤじゃねえだろ。自分から腰振っといてよー。もっと強くして欲しいか? あん?」
「あああっ!」
「おら、言わねーのかよ?」
「蛮ちゃ・・・」
「強情なんだよ、テメェはよー。おら、やめちまうぜ?」
手の動きどんどん早くなって。
なんか、今までとちがう。
先の方、指先でひっかけるようにされてんのわかるけど、すごいソコ、なんか濡れてきてるっていうか・・・。
電気出ないと、こんな風なんだ・・。
一点になんか血が集まってる感じ。
息、苦しい。
もう、苦しいよ、蛮ちゃあん・・・!
なんか、もお。
「くう・・・・っ! あ・・・あ・・」
「ぎーんじー?」
「や・・・・あぁあ・・・・っ」
「おら、どうよ?」
「ァああ・・・!!」
「やめちまっていいのかよ? え?!」
「・・・・・・・・イイ!」
「・・・・・・あ?」
・・・あ、あれっ?
今、オレ、なんか非常にタイミング悪かったような・・・。
「オメェなー・・」
声、怒ってますね・・?
うう・・。
・・・・蛮ちゃん、ごめんなさい・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ああ、もう!!
ったく、このアホは〜!
人がせっかく盛り上がってるっつーのによ・・!
ぼかっ!!
「んあ〜! いたいよー、蛮ちゃあん! ベッドでまで殴らないでよぉ」
「ベッドでまで、殴れらるようなボケかますんじゃねえ!!」
「だって〜 蛮ちゃんがイイって言えって!」
「やめていいかって聞いてる時に、イイって言うんじゃねえ!」
「だって、言わないと怒るもん!」
「気持ちイイ時にイイって言えってんだよ!」
「い、言おうと思ったら、そしたら、蛮ちゃんがやめてイイかなんて聞くから・・!」
「人の話は最後までしっかり聞きやがれ!」
「無茶言わないでよ、もお!」
「何が無茶だってんだ!」
「だって、オレ、今日はもう、こんで本当にイッパイイッパイなんだから!」
・・・あ?
何がだよ。
しかも、なんで、涙目なんだよ・・。
オイ。
上目使いで、涙ためて、んな恨みがましい目で見るんじゃねえ。
「・・・んでだよ?」
「だって・・・。本当にコワイんだもん・・」
・・・・・・・マジかよ。
しかも、なんか。
なんかよ、やたらと可愛くねえか。
今夜のコイツ。
もしかして、かなり酔いが回ってんのか? オレ。
「いざって時に電気も出せないし」
「・・・あ゛あ゛?」
待て待て待て!
何が、可愛いだ!
ってことは、何か?
「オメー、まさか、気持ちイイ時だけじゃなくて、オレになんか妙な真似された時も電撃してトンズラすりゃいいって、そういう腹だったのかよ!」
「え、ちちちがいます! そうじゃなくて、ですね!」
「いい度胸してんじゃねえか。ええ!?」
「誤解だよ、蛮ちゃあーん」
「暴れるな、この!」
「そんなこと言ったって・・!」
「うるせえ! こうなったらもうとにかく一回ブチ込んで、大人しくさせてやらぁ」
「待って待って! それじゃあオレ、まるでゴーカンされるみたいです〜」
「おう、ゴーカンでもなんでもヤってやろうじゃねえか! だいたいてめえ、こんなとこまで来といて今更なあ・・!」
「だ、だけど、今日は蛮ちゃんがさ、有無を言わさずオレの手ひっぱって・・・!」
「うるせぇ、ごちゃごちゃぬかすな! オラ、とっとと脱げ!」
なんだか、最終的にはいつもこんなコトを言っているような気もするが!
ジャケットを腕から抜き取り、Tシャツも引き裂きそうな勢いでオレの手に捲り上げられ、銀次がそれを慌てて押さえながら必死の形相で言う。
「ひぇえ、あ、あの! じゃあさ、オレ、クチですっから! ねえ!」
「・・え?」
クチで・・?
銀次の提案に、ぴたりとオレの動きが止まる。
いや、別に今すぐ口でさせなくても、イレた後でもいいんじゃねえかとは思ったが。
滅多に自分からそういうコトを言わないヤツに言われると、なんだか、やらせてみてえ気分にもなるってもんだ。
いやしかし、まさか口ですっから今日のとこはケツは無事に済ませくれとか、んな甘ぇ条件はいくら何でも飲めねえぞ。
「ちょ、ちょっとそれで、一旦落ち着いてからじゃ・・・。駄目? ねえ、蛮ちゃん」
「・・・・・・」
「ねえ、蛮ちゃん。お願い。オレ、マジで・・・・。冗談じゃなくて、マジで、怖いんだ。だから・・・」
声が震えてやがる。
人を欺くような芝居が出来る、んな、高等なイキモノじゃねえってことはわあってる。
ベッドの上に、男の手で両の手首を痕がつきそうなぐれえ強い力で押さえ込まれたそんな状況で、その場を取り繕うような口先だけの言葉が言える、そんなヤツじゃねえ。
本気で、怖ぇのか・・?
「ちゃんと覚悟してっから・・。オレだって、蛮ちゃんと、本当にしたいって思ってるんだ。本当だよ、ねえ」
「・・・・・おう」
「でも今、気持ち落ち込んでて、なんか、どっか後ろ向きで、そういう時に、あの・・」
そういう気持ちのまま無理矢理されたら、後、引きずりそうで嫌だってのか?
相変わらず、フニャチンのくせにカテーこって。
「だから、もうちょっとだけ時間くれたら、きっと大丈・・・」
「さっさとやんな」
「え?」
「クチでしてぇんだろ?」
「・・・うん」
「コッチもよ、そうそうテメエの都合に合わせてなんざ、いられねえんだよ。男のカラダは融通きかねぇんだ」
って、テメーはそうじゃねえのかよ。
ま、変なトコ未開発のままで、このトシになってやがるかんな。このガキはよ。
「うん!」
努めて面倒くさそうに言ってんのに、一瞬でぱあっと明るい顔になって、ヤツの身体の上から退くオレを見ながらぴょこんとベッドの上に身を起こす。
「だから大好きv 蛮ちゃん!」
大好き、じゃねえっての。
ったくよー。
嬉しそうな顔すんじゃねえ。
わかってんのかねえ。
このアホは。
オレの中には、テメエに対して凄ぇサドのオレと、やたらと過保護なオレが混在してる。
その境界線たるや、オレ自身もあやふやだ。
つまりよ。
一歩間違えたら、テメエ、有無を言わさずオレに串刺しにされてるとこなんだぞ。
いつでもそういうカオすりゃ、オレが何でもワカってやると、そんなこと思ってやがったら大間違いだ。
そんな気持ちを知ってか知らずか(そりゃ、知らねえだろうよ)、オレに自分の気持ちを汲んでもらえたと、さも嬉しそうな顔をして銀次のヤツがベッドを降りる。
「蛮ちゃん」
「あ?」
「あんがと!」
・・・んなことで感謝されても嬉しかねえ。
「オレ、頑張るね! 蛮ちゃんに悦んでもらえるように、一生懸命やんね!」
「あぁ・・」
・・・・・なーんか、それじゃあよ。
そーゆー店で、今日が初出勤の新人に相手させてるみてぇじゃねーか。
やれやれ。
なんかイキオイが削がれるっつーか・・。
「蛮ちゃん、腰掛ける方がいい?」
「ドッチでもいーけどよ」
「んじゃ、ここ坐ってね」
「へいへい」
「蛮ちゃん?」
「あ?」
「やる気あんの?」
てめえが言うな!
「あ、上脱いどけ」
「ん? なんで?」
「どっちみち脱ぐんだろーが」
「あ、そうだけど」
「べたべたにされちゃ、着る時困んだろ」
「あ・・」
赤くなってやがら。
へン、ざまーみやがれ。
自分で言ったからにゃ、顔射ぐれー覚悟しろっての。
くるりとカラダの向きを変え、ベッドの端に腰掛けるオレの足の間に跪いて、Tシャツをぱっと脱ぎ捨て、銀次がそこから上目使いにちらっとオレを見上げると、「では」と、ちょっと畏まって言った。
「では」って何だよ?
・・なーんか頭痛がしてきやがった。
どーも、なんか、今夜も本懐が遂げられそうにねぇ、嫌な予感がしやがる。
いや! 何言ってんだ!
今日こそ、ぜってぇヤってやる!
何がなんでも!
先っぽだけでも!!(いや、先っぽじゃ満足できねーが)
そうこう思っている間に、銀次はオレのズボンのチャックを下ろし、オレのモノを取り出して、ちょっとぽっと頬を染めた。
アホ、初めて見たワケでもあるめーし。
恥ずかしがるのは妙だろう。
しかし、まー。
コイツも変わってるよな。
なんで、フェラすんの、んな楽しそうなんだろーか。
普通、男が男に強制されたら、嫌がるもんじゃねーのか?
どっちかってぇと、嫌だ嫌だと抵抗しやがるのを、無理矢理口をこじあけさせて押し込んで。
オラ、問答無用だ、喉の奥までくわえ込め! ええ、苦しいかよ。咬んだりしたら承知しねぇぜ?
とか言ってよ。
そういうのの方が、サド心が燃えるんだけどよ・・。
「ちゃんとくわえろよ」
「はーいv」
”ぱくっ。”
”ちゅうちゅうちゅう・・・。”
「・・・・・・・・」
・・・・・・ちがう。
何かが違うような気がする・・。
オレの求めてるもんと、なんかチガウような・・。
「ばんひゃん。おいひーv」
ああ、そうかい、よかったな。
くわえたまま、しゃべるなっつーの。
男のモンをほおばって嬉しそうなのは、いいことなのか、そうじゃねえのか・・・。
まあ、可愛いちゃ可愛いから。
いーんだけどよ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんなわけで。
とりあえず、ゴーカンされることだけはまぬがれたみたいです。
っていうのは冗談だけど。
でもオレ、本当に、あの時は怖かった。
どうしようもなく、不安で。
電撃出せないってことは、オレのカラダは普通じゃない状態ってわけで、それがなんていうか、今までそんなことは一度もなかったから、そんなカラダと気持ちでえっちしちゃって、本当に大丈夫なんだろうか・・って。
なんだか、本当に泣き出したいくらい不安だったんです。
蛮ちゃんに縋り付いて、大泣きしたいくらい。
それでも蛮ちゃんが力まかせにのしかかってきたら、抗いきることは出来なかっただろうけど。
でも後で、ちょっとだけ、本当にちょっとだけ、悲しくなってしまったかもしれない。
気持ちがついていってないそういう時に、カラダだけ、欲望で抱かれたりしたら。
でも蛮ちゃんは、こういう状況にも関わらず、ちゃんとオレをワカってくれた。
オレの気持ち、大事にしてくれた。
すごく、すごく嬉しかった。
だから、オレ、頑張るよ。
蛮ちゃんにちょっとでも「気持ちイイ」って思ってもらえるように。
頑張っちゃう。
わ、でも、蛮ちゃんのって、相変わらずおっきいのです。
ズボンの間から取り出して、ちょっとぽっと赤くなっちゃうくらい。
いや、オトコがオトコの見て赤くなるのってどうなの?と、自分でも思うけど。
一瞬、含むのが躊躇われるサイズです。
え? どんなのかっていうとねー。
いえいえ!
それは『とっぷしーくれっと』なのです。オレだけの秘密なのです。
大好きな蛮ちゃんのだから。
それにね。
オレ、クチですんの、なんか好きです。えへへv
だって蛮ちゃんが、一番大事なトコ、オレのクチに預けてくれてんだもん。
初めてした時も、ちっとも嫌じゃなかったよ。
まあ、飲むのはちょっと苦しいし、いきなり顔にかけられるとちょっとびっくりするけれども。
蛮ちゃんの股間から、ちょっと伺うように見上げると、さっさとしろと目が言ってます。
はい、頑張るよ。
蛮ちゃんの根本に手を添えるようにして、ゆっくりと口に含んでいきます。
オレが、蛮ちゃんのを含んだ瞬間。
蛮ちゃんの目が少し細められるの見るの、好きです。
感じてくれてんだ、って思うから。
口に半分くらい入れて、しゃぶるようにしてみます。
う〜ん、こんなでいいのかな・・。
おわ。
口の中でなんか、どくんって大きくなった。
おっきくなるの早いよ。
なんか、もういきなしクチん中でいっぱいです。
とりあえず、口の中からゆっくり出したり入れたりしてみるけど。
蛮ちゃん。どう?
こんなのでいい?
あ、なんかアイスキャンデー食べてるみたい。
・・なんか、お腹すいてきちゃったよ・・。
オレ、実はお肉そんなに食べてないんだよ。
それなりに、落ち込んでたから。
ああ、お腹すいたなあ・・・。
「こら!」
「ん゛?」
「腹へったーとか考えてんじゃねーだろな!」
どうして蛮ちゃんは、いつもオレの考えてることがわかるんでしょう。
ううんと、蛮ちゃんを見上げながら首を横に振って、先っぽの方をちゅぱちゅぱしてたら、いきなり頭を掴まれてソレがぐぐっと喉の奥まで押し込まれました。
ぐえ。
窒息するじゃない、もう!
「余計なこと考えてんじゃねえ」
「もぁ〜い」(←一応、はいと言っています)
集中しろ!と怒られてしまいました。
わかりました、頑張って吸います。
集中、集中。ちゅうちゅう。
こんでいい?
え? だめなの?
もっと舌使えとか、唇すぼめて扱くようにしなとか、手でも扱きながらしろとか難しいコトを言われるんですが。
オレ、ちょっとよくわかんなくて。
こうやってるだけで、精一杯なんですが。
蛮ちゃんが、こうやんだよって、前来た時とかにオレのくわえたりもしてくれたんですけど、オレ、されんのはどうにもダメで・・!
もうなんか、とんでもない呻き声みたいのとか、雄叫びみたいの出るし、くすぐったかったり恥ずかしかったりで大暴れしちゃって。
この前なんか、蛮ちゃんの顔を正面から足の裏で思い切り蹴っちゃって、危うく、スネークバイトされかかったり。
される方は、そんなわけで命がけです。
大変なのです。
する方が、気が楽です。
なんかそれに、蛮ちゃんの、ちゅーちゅーやってると、妙に安心するんだよねー?
気持ちが落ち着くっていうか。
・・・変?<←絶対、変>
カタチに沿うようにして舌で嘗めて、くびれのとこでぎゅっと口をすぼめて、先んとこに舌を合わせて。
あ、もう蛮ちゃんの味がする・・。
オレ、ちょっとは上手になったかな?
もっかい口に含むと、口の中で固くなっていた蛮ちゃんが、さらに充血してぐぐっと大きくなってきます。
ちょっと苦しい・・。
なんかだんだん・・・。
頭がぼうっとしてきて・・。
蛮ちゃんの、じんわり汗ばんだ手が、オレの頬を撫でてくれます。
その手が耳の後ろとか、項とか、首筋とかも撫でてくれて・・。
気持ち、イイのです。
「ん・・・・」
その手が肩から胸のとこに降りてって。
手の平で乳首ころがすようにさわられるともう・・。
「ア・・・」
指先で摘まないでってば・・。
ぴくっと身体が勝手に反応しちゃって、恥ずかしいったら、もう・・!
「いい声じゃねえ・・」
「・・・や・・」
頭の上から蛮ちゃんの、ちょっと熱っぽい声がします。
ちょっと掠れたカンジで、どきっとするような声です。
それにしても、頑張ってると顎疲れます。
唾液が口の端から溢れてきて、顎を伝っていくのが、なんかえっちで。
そろそろかな?と思った時。
蛮ちゃんが、オレの顔を(もちろんくわえたままで)顎を掬うようにして上げさせて、にやりとして言いました。
「ところでよ。オメー、飲むのと顔射とドッチがいいよ?」
・・・・・・・・・はい?
ええっと。
それって、オレが決めなくちゃいけないことなんでしょうか・・?
愛のイカヅチ2に続く・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ura novelにモドル
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