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カシ−タスタッフへの感謝
この巡りあいシリーズを綴り始めた昨年9月。
私は、東京の六本木にあるカシータのオーナーである高橋滋氏の出版記念パーティーに出席する機会に恵まれた。その時の感動は既にこのシリーズにも登場しているが、その当時
漠然と抱いていた夢(カシ−タキッチンスタッフの一員となる愛息子)は、この春から実現している。
カシータのオーナーは、ご自身でも表現している通り熱い人である。
それは、「愛と感動のレストラン」のキッチンに立っている息子を通して伝わってきていて、長男の成長の喜びは家族を一人欠いた寂しさを上回っている。

春....  旅立ちの時

 私たち夫婦は子離れの時期を迎えた。
自他共に認める仲良し親子で、友人から「よく、東京なんかに離してやれたね〜」と口をそろえて言われる。
二十歳になった長男とはいえ、親元から手放す事に不安が無いと言ったら嘘になる。
寝坊で、仕事に行きそびれる日はないだろうか。
体調を崩したら誰が面倒を見てくれるのだろうか。
男の子1人で洗濯は出来るだろうか。
お友達は、仲間はできるだろうか。
本当に生活して行けるだろうか…。
そんな心配を抱きながら私たち夫婦は、子供の成長を「日本一のホスピタリティーを自称するレストラン」に託した。

 7月の中旬、仙台に残った私たち家族は、揃って息子の働くレストランに足を運んだ。
「お兄ちゃん!この料理どうやって食べれば良いの?」という娘に
「この野菜、こうして食べると美味しいよ」とか、
「これ旨いから食べてみな」とフォアグラを切り分けている長男の姿は、家族の一員というよりはむしろレストランスタッフになっていたように思う。
一緒に同行した母は、遠く離れた一番孫の職場に足を運べた幸せをかみ締めたせいなのか、久しぶりに顔を合わせた感動からなのか
「元気なうちに、一生に一度の贅沢を味わえて幸せだね〜」と涙ぐんでいた。

 私たち夫婦は高橋氏の熱い思いを具現化した『カシータ』というレストランに息子の成長を委ね、幸せをかみしめていた。この感動は、高橋氏のカシータが生んでくれたに間違いない。
なぜなら、仕事の厳しさと人の心の温かさにより、仕事に楽しさを見出している我が子の姿で確信しているからで、このゆるぎない幸せは、カシータで働くスタッフの家族共通ではないだろうかとさえ思える。家族揃って記念撮影をして頂いたが、そっと寄り添う長男の姿に優しさと逞しさが同居しているかのように見るのは、完全に親ばかなのかもしれないが、『愛と感動のレストラン』は高橋氏のコンセプト通り、まぎれもなく感動を生んでいるのである。