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10月16日(日) 夕方

 新潟駅で時間を喰ったせいで、新津についたのは予定より一時間も遅れていた。
 遅くなるとは伝えていたのだが、やはり気兼ねしてしまい、拓海はまぶたを押さえながら改札を抜ける。駅舎を出れば懐かしい故郷の空気が胸いっぱいに広がった。
 花と緑と石油の里、新津。拓海が生まれ、4年前までの人生を過ごしていた故郷。
 駅から少し離れれば広大な田園が広がり、その向こうの山では石油も産出される。すでに稲刈りの済んだ田んぼには哀愁を感じる余地もないが、もう一度深呼吸すれば懐かしい空気が身体中にしみこんでくる。
 ……父のいない、故郷の空気。
「帰って来たンだなぁ……」
「一時間遅れでね」
 背後からの、悲しいほどに聞き慣れた声。さっき遅れると連絡したときも、心配してくれても怒りはしなかった。やや躊躇いがちに振り向くと、2年ぶりの笑顔がそこにいた。
「慧」
「おかえり、拓海」
 ひと目がなかったら、抱きしめてくれたに違いない。
 母・七海の親友たる香久山沙織の娘、慧。畢竟、拓海とは幼少からのつきあいになる。
 沙織によく似た(と云われると、本人は笑って否定する)落ちついた雰囲気に、拓海は表情を綻ばせかけたものの、ずいぶん待たせていたのを思い出し、慌てて頭を下げた。
「いや、すまん。遅くなった」
「気にしなくていいよ、そんなこと。拓海がちゃんと帰ってきただけで満足まんぞく」
 ご機嫌そうに前髪をかき上げる。
 顔を上げた拓海は、今度こそ表情を綻ばせた。こちらも七海に似たとよく云われる、人好きのする笑顔だ。
「じゃぁ、帰ろう」
 笑顔で差し出された慧の手を、拓海は握った。

 4年前まで住んでいた家は新津を出る時に手放したので、現時点では拓海に住居はない。その辺りやがっこうの手配などもいちおうはしてあるのだが、タイミング悪くきょうが日曜だったものだから役所もがっこうもお休み。ちゃんとした手続きができていないのだ。ために、香久山さんちに一泊して、正規の手続きは明日以降ですることになっている。
 新津区役所(拓海不在の間に、新津市は新潟市と合併して「新潟市新津区」になっていた)に程近い住宅街まで、ふたりで他愛もないことを話しながら歩く。七海のこと、沙織のこと、慧の双子姉のこと。
 話が拓海の属する傭兵団のことに及ぶと、慧は前髪をかき上げた。紫明の手癖が伝染ったもので、沙織はいい顔をしないが、それほど眉をひそめるものでもないと息子は思う。
「その傭兵団、事務員とか募集はしてないの?」
「仕事が少ないから手は余ってるけど、人員は原則拒んでないね」
「そっかぁ……」
 露骨に嬉しそうな顔になる。
 沙織によく似た、実年齢(拓海と同い年)より落ちついた雰囲気の美人さん。手のかかる姉という感じでどうにも頭の上がらないひとりだが、さらに美人さんになってくれていた。神と沙織さんに感謝だな。組んだ腕にあたっている大きなおおきなふくらみをたんのーする。
「拓海、ちょっと将来について話しあおうか」
「まだ日も高いンだが!?」
 しかも往来。買い物帰りの、慧のクラスメイトの石哭さん(駅前のマンションで父親とふたり暮らし)にも爆弾発言が聞こえてしまい、驚愕の表情で足を止めている。本人、気づいちゃいないが。
「もぉ、誤解しないでよ。拓海がわたしのおムコさんになるのは、産まれたときからの確定事項じゃない。帰ったらマリ姉さんが『慧ちゃんがほしかったらわたしを倒しなさい!』とかしでかすワケじゃないから」
「せめてタマ姉にしてくれ」
「タマ姉さんなら『あら〜? まだ入籍してなかったの〜?』とか云ってくれそうだけど」
「……タマ姉なら間違いなく云うだろうな」
 沙織の娘は上から下まで(慧の下に妹もいる)どーにも苦手だった。慧のことは、その……(ごにょごにょ)……だが、こーもストレートに好き好きオーラを放ってくる相手には、やや苦手意識があるというか、何と云うか。
「結婚はわたしが卒業してからになるけど、夫婦で同じ職場っていうのは珍しくないでしょ?」
「あぁ、そういう意味な……驚かすなよ」
 『あっさり受け入れた!?』と、石哭さんほか聞こえていた皆さんが息を呑む。
「ちゃんとしたおはなしは母さんの許可とってからになるけど、紹介してもらえるかな」
「僕の側に異存はないな。慧なら大歓迎だよ」
「えへへ」
 嬉しそうに前髪をかき上げた、自慢の幼馴染。拓海の右腕にしがみつく腕にちからを込める。
 4年前、この手を離してしまったせいで、拓海は遠くに行ってしまった。泣き叫んででもつかんでいるべきだったかどうか……は、あのときの紫明や七海の姿を知る慧としては判らない。
 でも、帰ってきたンだから。
 帰ってきてくれたンだから。
「……えへへ」
 次に何かあったら、今度は何があろうとついていこう。慧は、そう心に決めていた。
「香久山さんには、結婚を約束していたお相手がおられたんですね」
「あ、あれ? 石哭さん? いたの?」
 おっとりした表情で石哭さんがうっとりのたまうと、やっと気づいた慧でもちっと慌てた。腕は解かないが。
「あ、ごめんなさい、聞こえてしまいまして。あんまりお幸せそうだったので、つい」
「えへへ、ありがとう」
 前髪をかき上げる慧におっとり微笑む石哭さん。拓海にも一礼して歩いていった。
「……ひと目につくようなところでいちゃつくのはやめない?」
「やだ」
 この姉は本当に手がかかる。

 もうすぐ香久山さんちが見えてくるところまで歩いてきて、さすがに拓海は腕を引く。男と腕を組んで帰ってきた、なんて噂になったらまずいだろう。
「ぎゅー」
 そう思ったのだが、慧は拓海の腕にしがみついて離れない。
「ちょっと、慧……」
 離そうね、とたしなめようとしたのだが、慧は何もかも判っているという笑顔でしっかり拓海の腕を抱いて、手は手で恋人つなぎ。離すモンかという意思表示が明らかだった。
 どうすんだこの姉とまぶたを押さえるが、香久山さんちの近くということは、実際のところ拓海の面も割れている。なるほど、「ついに入籍した」と噂になっても誤解はされずに済みそうだ。
「……異存はないけどなおさらまずいな」
「あ」
 小さく声を漏らして、慧の手にちからがこもる。視線の先には見覚えの……ない、誰か。
 拓海がその名を思いつくまでに、慧が嘘を口にする。
「綾さん」
「あ、慧さん。男の子と歩いてるなんて珍しいね?」
「さ、だーれだ」
 なんか違わね?
 ようやっと腕を離してくれた慧が、笑顔で拓海を綾に突きだす。困った様子の綾だったが、一瞬で表情を作った。嬉しそうに拓海の手を取る。
「拓海君?」
「あぁ、うん……綾さんか」
 4年前とは別人と思えるほど変わった。そう思わずにいられない。あの頃は活発というか悪ガキな綾だったのに、雰囲気がすっかり落ちついている。どこかぎこちなく微笑んで、拓海の右手をつかんで離さない。
 正しい誤解に行きついた拓海はそっと笑って手を離し、右手を綾の腰に回して持ち上げる。
「ほーら、高いたかーい」
「た、拓海君! もぉ、へんなことしないで」
 悲鳴を上げるが154センチ、軽々と持ち上げられた。赤くなったものの、その手が今度は右肩に触れる。
 一度は綾の手で砕かれた肩がもう治っていると腕力で示すと、あの頃の面影が少しだけ見えた気がして、拓海は笑いながら彼女を下ろす。
「ただいま、綾さん」
「……ばか」
 しらない、と赤いままの顔を拓海の右肩に埋める。
「はい、そこまでー」
 その面影が妄想だと知っている慧が、間に入ってふたりを押し離す。うそつきは逆らわずに離れ、拓海はやや名残惜しそうに慧の頭に手を置いた。沙織譲りの赤毛をなでて、
「いや、元気そうでなにより。慧とは連絡とってたけど、他のひとはないがしろもいいとこだったらかねェ」
「そうなんだ。慧さん、なんにも教えてくれないから」
「ぷいっ」
 ご不満そうです。が、慌てた様子で慧が拓海の手を取り直す。
「とりあえず、立ち話やめて帰ろう! ほらほら」
「ん? おぅ……」
 どーしたの、という綾の視線もちょっと困った感じになった。近くのおうちからこずえ妹が出てきて、慧と、慧にしがみつかれている拓海に気づく。
「慧ちゃん……と、拓海くん?」
「あぅ、見つかった」
「うわー、うわー……久しぶりだねー」
 嬉しそうに頬を染めて拓海にひっついてくる。身長は綾より少しだけ高く慧より低いが、このふたりよりやや幼い感があった。頭から帽子を持ちあげやわらかい髪を軽くなでまわすと、こずえ妹は目を細くして赤くなる。
「あぁ、久しぶりだね」
「うん、久しぶり。おーきくなったね、それに……」
 カッコよくなった、と口に出そうとしてますます赤くなった。やや内気なのは変わらんね。当時拓海は慧より背が低く、こずえ妹と同じくらいだったので、15センチほど高いところにある拓海を見上げる目にも羨望の色が見える。
「いもうとー……って、あら慧」
 が、そんなこずえ妹の幸せ時間を遮る声が聞こえてきた。慧より背の高い、これまた見覚えのある顔がこちらに歩いてくる。妹を見て、拓海を見て、慧を見た。綾を見ずに、
「……が連れているンだから、拓海しかいないわね」
「うん、本人」
 こずえ妹の頭に帽子を戻す。こずえ姉は眉をひそめて拓海を見上げ(こちらも、いまでは拓海のが背は高い)皮肉っぽい笑みを口元に浮かべた。
「慧と妹がこういう反応なら、確かに本人のようね」
「偽者の僕でもいたのかい、こずえさんや」
「偽者でなく薄情者のあなたならいたわね、ええ」
 背の高い大人っぽいのが平塚こずえと云い、この辺りに昔から住んでいる。が、十年以上前に不損さんご一家が引っ越してきて、そこの娘もまたこずえと云った。
 気は強いが根は優しい平塚さんちのこずえさんと、内気だが芯は強い不損さんちのこずえちゃんは仲良くなった。同い年ではあったが平塚家のこずえが姉、不損家のこずえが妹ということで、こずえ姉妹呼ばわりされている。
 慧や拓海とも仲の良かったこずえ姉妹。だが、4年前は出立が急すぎて、慧しか見送りできなかった。いちおう慧や沙織がフォローして回ったが、慧としか連絡を取らなかったのだから薄情者呼ばわりされてもおかしくない。
 いくら事情があったとはいえ……
「おねぃちゃん……」
「仕方ないという台詞は嫌いだけど、今回だけは別よ」
 知っていたこずえ姉妹は、少しだけ深刻に視線を交わす。すぐに拓海を見上げてきた。
「おかえり、拓海」
「ただいま、こずえさん、こずえちゃん」
「うん、おかえりなさい」
 皮肉ではない笑みを浮かべる姉と、嬉しそうな妹。
 ……帰ってきたのだと、改めて実感した。

 香久山さんちに帰りつくと、沙織と姉たち(父と末妹は不在)は、拓海が帰ってきたのを喜んでくれた。
 次姉の真理佳はやや素直でない表現だったが、長姉の環は抱きついて抱きしめて歌いだし、慧とこずえ姉に怒られるくらいに。沙織はそんな娘たちをたしなめるでもなく笑って見守り、だが七海のことはきちんと知りたがった。
 真面目な話(そのため、環は追いだされた)を終えて2階の慧の部屋に入ると、慧たちはテーブルに教科書類とノートを広げていた。真理佳に持たされたお茶セットをそこらにおいて、用意する。
「お話、終わった?」
「うん。だいたいは、事前に連絡しておいたことの確認だから」
「沙織さんと連絡をとっていたの?」
「いや、一度だけ。帰るってことと併せて、母の病状の報告をね」
 この返事にこずえ姉はノートに視線を落とす。それなら妹にも連絡してくれていいじゃない……とは思うが、口に出すほど野暮ではない。
 4年ぶりの慧のお部屋は、一見すると昔のままだったが、本棚のラインナップが変わっていたり、その上に乗っているサッカーボールが埃をかぶっていたりと、少しだけ違うことが離れていたのを実感させてくれた。
 お茶を配りながら、誰も見ていなそうなプリントを抜きとる。
「テスト?」
「うん、中間。明日が最終日で数学と世界史」
「じゃぁ、これは終わった奴か」
 現国の問題用紙だった。慧の手による回答が書いてあって、文章で答える問題は除いて赤入れしてある。ほぼすべて当たっていた。
「ごめんね、こんなタイミングだからばたばたしてて」
「気にしないで、僕よりそっちのが大事だから」
「こずえさんたちが来てなかったら、本当に大事なのは何なのか行動で示したンだけど……」
 こずえ姉妹は平塚さんちで勉強会の予定だったのだが、慧と拓海が間違いをしでかさないように、急ではあったが香久山さんちに変更となった。その予定がなかった綾まで来たので、慧の目がさりげなく殺気を孕んでいるのは見えないふりをしている。
 目をそむけたこずえ妹の前に、拓海の顔があった。……うん、やっぱりカッコいい。
「ここ違うよ」
 こずえ妹のノートに、ペンをつまんで線を引く。
「蒼狼暦の施行は、西暦で云うと1206年。この年の6月末にグラナダが陥落して、大モンゴル帝国による世界制覇がなされた。7月11日に大ハーンは全世界の王たることを宣言なされ、13日から蒼狼暦が使われるように……」
 大モンゴル帝国は分国制を基本とし、当時の人類世界、つまり広義でのユーラシア大陸は分割され、功臣たちが王として各地に封じられた。たとえばヨーロッパはニケーアのテオドロス1世が王となり、激戦区だった漢土は南北に分割され、それぞれ江王・河王が統治することとなった。7月8日に、世界統一セレモニーの準備を完全に整えて出奔した事実上の宰相・耶律楚材が健在であれば、華王として全土を預かったのは想像に難くないが、いわゆる中国大陸が南北統一されるのは"朱に交われば赤くなる"朱元璋を待たねばならない。
 一方で、大ハーンが崩御されると、軍閥七将に数えられた倭王ヨシツネと絹王ジャラールがそれぞれモンゴルに叛旗を翻し、失敗して死んでいる。大ハーンの正妻ボルテは、若かりし頃に盟友ジャムハと大ハーンの仲を讒言で引き裂き、一時的に敵対させた。楚材の出奔も、その政治力を危険視したボルテが手を回したという説は根強く、同様に、ヨシツネやジャラールもボルテの謀略で挙兵に至ったと考えられている。
 いろいろあってだいたい800年。大モンゴルの旗の下で魔族と戦いながら、人類の歴史は続いていた。
「世界史、詳しいね」
「いちおう、ジョローチだから」
 ある程度以上の戦史と世界史は覚えていなければならない。反面、学生に世界の実情を教えるのは時期尚早と、この辺りの世界史は高校になってからしか教えられない。……がっこうでは、と上につけるべきか。隠してはいないが黙っていることなので、自分で調べればすぐに判る。
「4年も経てば、そりゃ成長してるわね」
 こずえ姉がしみじみと。責める口調ではなかったので、拓海は笑ってスルーする。こずえ妹も笑って、
「昔も、一緒に宿題したよね。夏休みとか集まって」
「あっはは、やったやった。赤音さんや紫乃さんも来てねー」
「だいたい、わたしとこずえちゃんが問題は解いてた。こずえさんたちはお菓子食べながら待ってて」
「それは云わないの! ……そうね、赤音や紫乃たちにも連絡しておかないと」
 慧に怒ったこずえ姉が携帯を抜きだした。む、と慧と妹がにらむのはあえて無視する。妹本人まで不満でも、独占されるわけにはいかないわ。
 が、そこへ沙織が顔を出す。
「はいはーい、拓海くんと慧ちゃんの婚約披露パーティーの準備が」
『沙織さん!』(×3)
 年齢不詳の若奥様は、七海の息子と自分の娘がくっついてくれる日がとっとと来るのを願ってやみません。タマちゃんだけはよしてほしかったけど、しっかり育った娘とくっついてくれそうで母さん嬉しいわ。
「沙織さん、そーいうのは嬉しいけど……その」
「拓海くん、不満があるならおっしゃい。いくらでも直させるから」
 小娘どもに怒られても平然としている辺り、慧が将来どうなるのかはっきり判る気がして嬉しい拓海は、手近なところにあるこずえ妹に乗ったままの帽子をのけて頭をなでる(無意識)。
 拓海の母・七海の親友たる香久山沙織は子持ちとは思えないほど若々しい。二十代後半でも通る美貌の持ち主だが、環と真理佳は来年成人式なので、いくらなんでもそれはないだろうというのが衆目の一致するところだった。実際のところ、娘たちも母の実年齢を知らないのだが、拓海だけは「七海と同い年なら」という前提で把握している。
「本音はさておいて。拓海くんの帰国おめでとうパーティーの準備ができたわよ」
「ごめんね、手伝えなくて」
 慧が謝ると、沙織は両手を腰に当てて前かがみになった。
「慧ちゃん、それを謝る前に拓海くんにひっついていない自分を恥じなさい」
「親御さん公認だもんね、拓海君と慧さんの仲って」
「負けてないもん、まだ負けないもん……」
 頭をなでられたままのこずえ妹がぼそぼそと。少しだけ頭が痛い姉は、改めて携帯を抜きだした。
「じゃぁ、赤音と紫乃も呼ぶわね」
「来てくれるかな、明日もテストなのに」
 本音としては呼ぶなと云いたいところだったが、慧は控えめに常識論を述べた。あのふたりなら遠路や時間を意に介さず、呼べば間違いなく来るのが判っているので。
「……あら?」
 が、こずえ姉が眉をひそめる。そーいえば充電していなかったようで、反応がない。
「あ、電池切れ? それじゃぁ仕方ないねー」
「うんうん、呼べないんじゃ来ないよね」
 慧と綾が笑顔でのたまった。
「妹、携帯を……」
「おねぃちゃんごめん、忘れてきちゃった♪」
「その音符は何!? ええぃ、沙織さん!」
「うちの電話は、きょうは日曜日なのよ〜」
「日本中が日曜日ですよ!」
 コイツら敵だ、と素直に思う。
 慧は笑顔で、
「まぁまぁ。4人も邪魔者がいるんだから、これ以上増えても困るよ」
「……わたしたちはともかく、環さんはどこかにやった方がよくないかしら」
 こずえ姉のあまりにごもっともな意見に、実母を含む全員が真顔になった。

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