食餌 |
主食:ウマノスズクサ(ウマノスズクサ科)。
代替:オオバウマノスズクサ、ホソバウマノスズクサ、マルバウマノスズクサ、リュウキュウウマノスズクサ、コウシュンウマノスズクサなど、ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属各種が利用可能
。ただ、多くは県内に自生しないので、県内で代用可能なものはオオバウマノスズクサのみ。同科のカンアオイ属は与えても食べないことが多いようだ。
増殖:ウマノスズクサ:挿し木、根伏せが可能。挿し木は一般的なつる性草本の方法に準じるが、落葉期を避けたほうが成績が良いようだ。根伏せは季節を問わず可能。方法は、一般的な落葉性つる植物に準ずるが、各節の中間から切り離して使用すれば、容易に数を増やすことができる。 |
採集 |
ステージ:夏型は卵、幼虫。春型は卵、幼虫、越冬蛹。卵は食草の葉裏に1個〜数個で産付され、大きく色調も特徴的なので見つけやすい。幼虫は若齢時は食草の葉裏で静止するが、中齢以降には食草の葉表や茎上で静止するので比較的簡単に採取できる。
蛹は食草を離れる傾向が強く、結構探しにくい。
適期:夏型は卵が5月と7月、幼虫が5月下旬〜6月下旬と7月中旬〜8月中旬。 春型は卵が8月下旬、幼虫は9月上旬〜10月。越冬蛹は10月上旬〜翌4月中旬。ただ、発生状況は不整なので、第1化から発生した個体でも越冬蛹を生じることがある。 |
難度 |
幼虫:比較的容易。食草さえ切らさなければ、ほとんど手がかからないくらいカンタンだが、過湿と高温にはやや弱い。
成虫:困難。飛翔力はあまり強くないが、比較的移動性の強い種なので、屋内での飼育は難しい。
採卵:♀は羽化直後には交尾が可能なので、比較的容易といわれる。その際には羽化から2日〜3日後の元気な♂を使用すると成績が良いらしい。 一般に野外における♀の既交尾率は高く、羽化直後に交尾を済ませてしまっているものが多いようだ。 |
飼育法 |
夏季に密閉容器などで飼育した場合、過湿と高温により病死することが多いので、開放飼育にしたほうが良い。終齢幼虫は、蛹化などの際にかなり長距離を歩行するので、
屋内外を問わずネットがけが必須になる。ウマノスズクサは水揚げが非常に良いので、花瓶等に挿したまま開放飼育することも可能。ただ、根茎がついている場合にはこれが溶けて水が腐ることがあるので、これを取り除いて根伏せに使用するか、こまめに水を取り替えたほうが良い。ウマノスズクサ類は総じて葉数が少ない植物であり、中齢以降に食草が不足すると、共食いの傾向の強い種なので、各個体は別々に飼育し、食草を多めに用意すること。蛹は特に高温多湿に弱く、病死することが非常に多いため、風通しの良い涼しい場所で保管する必要がある。 |
備考 |
5月〜7月に採集した幼虫には、蛹から脱出するアゲハヒメバチ類が寄生していることがあるが、例は少ない。ただ、野外では寄生された蛹の残骸を見かけることは多い。 |