分布 |
国内: |
北海道(北部と東部を除く)、本州、四国、九州。 島嶼では利尻、礼文、奥尻、佐渡、伊豆大島、隠岐、対馬、壱岐、五島列島、屋久島、種子島、吐喝喇以南の南西諸島全域。 |
県内: |
市街地を含めほぼ全域に棲息する。 |
国外: |
朝鮮半島、台湾、中国(中南部~西部)~インド、ヒマラヤ、インドシナ、マレー半島~スマトラ、ジャワ、ボルネオ、フィリピン(北部)に分布する。原名亜種はシッキム、アッサム~中国南部産。日本産は分布の北東限にあたる。 |
変異 |
形態: |
吐喝喇以南産は別亜種(ssp. ishima (Fruhstorfer, [1899]))とされる。 |
季節: |
比較的明瞭。翅形と斑紋が相違する。夏型(第1化)と秋型(第2化~)が知られる。 |
性差: |
ほぼ同型。一般に♀は♂より大型で翅形が丸みを帯びるが、個体差も大きいため不明瞭。正確な判定には腹端の精査が必要。 |
生態 |
環境: |
各種樹林とその林縁、公園。日当りのよい林縁的環境を好む。 |
発生: |
通常年3回。新成虫は5月下旬頃に出現する。寒冷地では年1回~2回、奄美諸島以南では2月~11月に見られ、4回~5回以上と考えられる。 |
越冬: |
成虫(秋型)。 観察例は少ないが、さまざまなものの隙間で、単独もしくは数頭の小集団で越冬する。特に大木の洞や木陰などに多いようだ。 |
行動: |
昼行性。飛翔は非常に敏速で、一旦飛び立つとなかなかとまらない。人の気配に敏感であるため近づくことは難しいが、越冬後の日光浴中は近づいてもあまり動かない。卵は食草の新芽や若葉などに1個ずつ産付される。 |
食性 |
幼虫: |
食植性/葉。 平地~低山地ではユリ科サルトリイバラ属のサルトリイバラが主、山地ではシオデ属のシオデ。都市近郊では植栽されたホトトギス類がその代わりになっていて、主に初秋から姿を見せるようになる。タテハチョウ科では例外的な単子葉植物食である。2齢までは葉の中央から食べて独特の食痕を残すが、3齢以降は葉の縁から食べる。 |
成虫: |
食植性/樹液・腐果・花蜜。夏型は訪花性はほとんどなく、主に樹液や腐果に集まる。秋型は越冬後にダイコンやアセビなどで吸蜜することもあるが基本的には、クヌギ、コナラなどのナラ類、ヤナギ類などの樹液やカキ、イチジクなどの腐果を好む。 |
類似種: |
- |
保 護: |
指定されていない。 |
その他: |
タテハチョウ科で最も都市部に進出している種。比較的個体数も多い。 |
天敵 |
捕獲: |
幼虫はアシナガバチ類、スズメバチ類、サシガメ類、クチブトカメムシ類、ハエトリグモ類、ハナグモ類。成虫は、ヤンマ類、トンボ類、ヤブキリ、ウマオイなどの捕食性キリギリス類、オオカマキリ、チョウセンカマキリなどの大型カマキリ類、造網性クモ類、ハナグモ類など。 |
寄生: |
幼虫に寄生し終齢幼虫から脱出するタテハサムライコマユバチ、蛹から脱出するヒメバチ類。ヤドリバエ科のノコギリハリバエ(Compsilura concinnata (Meigen))、Drino (Zygobothria) atropivora Robineau-Desvoidy、マダラヤドリバエ(Sturmia bella (Meigen))などが知られる。 |