河野勲の岩国ノート

 〔8〕スクランブル 1983/12/4

列島はすでに「不沈空母」に

 十一月三十日、午後七時のNHKニュースが、「きょう、極東配備の米軍機が合同訓練をおこなった。これには沖縄、韓国、グアム、フィリピンの航空機約二百機が参加した」と報道した。
 もちろん、岩国の米軍機も参加しているはずである。しかし私たちは、このニュースを聞くまでまったく知らない。ただ私のノートは次のように書いている。
 「十一月三十日、午前中晴。西の風が強い。七時二十分、A4スカイホーク南へ発進。八時七分、A6イントルーダー、北へ発進、海上へ旋廻南へ。八時四十分、A6イントルーダー北へ発進。海上へ出て広島県方向へ。八時五十分、A6イントルーダー北へ発進、海上へ出て広島県方向へ。八時五十八分、A6イントルーダー北へ発進。九時七分、A6イントルーダー北へ発進、海上へ出て広島県方向へ。九時十二分、A6イントルーダー北へ発進、広島県方向へ。九時四十五分、A4スカイホーク北へ発進、海上へ旋廻南へ。記録は夜までつづくが、この日の特徴は、八時七分から九時十二分までに、A6型機(核攻撃機)が六機も発進していることである」
 三十日の新聞は、「二十九日、ソ連のTUバジャー七機とTU95ベア二機が早朝、日本海を南下し対馬海峡東方を通過した。これに対し、小松基地(石川県)、築城基地(福岡県)など四基地から、自衛隊機三十機がスクランブルを行った」と報道していた。
 中曽根総理がレーガン大統領に約束するまでもなく、日本列島はすでに「不沈空母」である。
 何も知らずに不沈空母に乗り込まされている一億の国民の一人として、私は「基地監視ノート」を書く。

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