河野勲の岩国ノート

 〔6〕民家防音工事 1983/11/20

移転、改造費用は個人負担・・・

 私の家は山陽本線岩国駅から南へ約四百メートルのところで、岩国市の中心部の一角にある。
 基地まで歩いて約三十分。直線距離では滑走路北側まで二・五メートルくらいある。
 この地域がこのたび「民家防音工事」の施行対象区域になった。「民家防音工事」というのは、基地周辺整備法にもとづいて、米軍、自衛隊の航空基地の周辺の民家にたいし、航空機騒音を防止するためおこなわれる工事である。
 基準はWECPNL(加重等価継続感覚騒音)の数値によるもので、基地に最も近いWECPNL90から100以上のところは、全室(台所、玄関、便所などは除く)の完全防音工事が実施される。しかし私のところは、WECPNL80から75に該当する地域で、去る十月十四日説明会が開かれた。
 家族四人までの家では一室、五人以上は二室をアルミ製気密建具にし、防音ふすま、冷暖房空調屋内機、屋外機各一台、換気扇一台を取り付けるというのである。
予算は百二十から百三十万くらいではないだろうか。
 ながい間、基地騒音に悩まされてきた街である。当然といえば当然である。しかし内容をよく聞いてみると、次のようなものだ。
 もし二十年(木造建築耐用年数)内に移転または改造して、防音工事施工物を解体するときは、かかった費用を防衛施設庁へ返還しなければならない。
 また、冷暖房器具を取り付けるとき、既設の壁に穴をあけ壁をこわしたら、その壁は塗りかえるが、他の壁はぬりかえない、というのである。
 さらに私の家も例にもれないが、老朽家屋は工事にかかる前に、十分に修理をしておけというのである。
 たしかに防音工事は国民の血税の中から支出される。
  しかし、一戸三千五百万円(土地は別)の米兵家族の住宅や、一機百二十三億円もするP3C対潜哨戒機八十機の購入などと比べたら・・・。私はレーガン・中曽根会談の中身が、今後どのような “つけ” となって返ってくるか心配になる。

 BACK☆☆INDEXHOME☆☆NEXT