河野勲の岩国ノート

 〔49〕そのあとに 1984/10/7

核搭載機の整備工場 着々

 昨年の三月十三日、米軍岩国基地は「MWWU1(核組立所)をグアムに移設した」と発表した。その後二重のフェンスに囲まれたMWWU1の施設には、米兵の出入りもなく夜間外部に向け煌々(こうこう)とかがやいていた照明も消えたままである。ただ変ったのはMWWU1の施設のすぐそばで、二重のフェンスのなかにある平屋建ての倉庫の屋根が、空色と緑の二色に塗り替えられたことだ。
 航空機は、核搭載可能なA4Mが六月はじめ海軍の核搭載可能機A7Eにかわり、A6EとF4はそのままである。
 しかし、MWWU1がグアムに移設したことによって、岩国基地の「核疑惑」への関心はうすらいでいくようであった。
 そのとき、九月二十七日、各新聞は、戦闘攻撃F/A18ホーネットとAV−8Bハリアの施設が建設されていることを報道した。たとえば中国新聞はつぎのように書いた。
 「核搭載機の整備工場建設 岩国基地」の見出し。「米軍基地報道部は二十六日、同基地内で戦闘攻撃機F/A18ホーネットのエンジンショップ(整備作業所)を建設していることを明らかにするとともに “新年度(米会計年度今年十月)にはAV−8BハリアUのエンジンショップの建設を開始し、支援整備のバン(貨車)格納場所の整備に着手する” と発表した。
 さらに岩国市議会での質問に企画部長は「エンジン整備施設建設計画があることは聞いている。基地機能の強化については既存部隊のファントム、スカイホーク機がそれぞれホーネットとハリアUと交代すると聞いている」とこたえたとも報道した。
 私は、『世界政治』八二年七月上旬号を読み返した。五十四ページ「一九八三年米軍情勢報告」のなかでつぎのように報告している。
 「A4型機とA6型機は過去二十年間、海兵隊に核攻撃可能運搬システムを提供してきた。一九八〇年代後期にはAV8B型[核・非核両用]がA4型機にとって代わる予定である。海兵隊のA6型機はひきつづき低空、全天候、核・非核両用運搬能力を提供する。海兵隊の非核F4型機の代わりにF/A18型戦闘・軽攻撃機一九八三年会計年度に実戦配備されると、いちじるしく増加することになる」とある。
 新聞報道はこれを裏付けるものといえる。

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