河野勲の岩国ノート

 〔38〕国会議員団 1983

沖合い移設のかくされた面

 最近、「基地沖合い移設」の問題で、自民党はもちろん民社党、公明党の国会議員団が岩国をと訪れる。
 私は「岩国ノート」bV「沖合移設」(83・11・27)で「八二年防衛施設庁は滑走路を千メートル移設する方法が適当であると結論を出した」と書いた。
 千メートルといえば、今津川の川口から南に延びる海岸の堤防の沖約二百メートルの地点である。それにこれに要する予算は、三千億とも四千億ともいわれている。
 しかし基地の図面を見ると、南北に走る約二千五百メートルの滑走路の東側には、IETXのプレートを付けた弾薬庫をはじめ、十二個の半地下式弾薬庫があり、さらにミサイル類の組立所、貯蔵施設などの弾薬庫地帯がある。また海上自衛隊の第三一航空群の施設もある。
 西には、滑走路から約三百メートルか四百メートルの地点に、MAG12とMAG15のエプロン(駐機場)があり、そこには航空機の修理、給油の施設、格納庫もある。これを取り巻くように兵舎がならんでいる。
 もし滑走路を千メートル沖合に移設すれば、弾薬庫地帯や第三一航空群はどこへ置くのか?
 また、エプロンや修理、給油、格納庫の施設から滑走路はいまより千メートル遠くなるが、それで基地の機能は維持できるのか?どこの基地を見ても、エプロンや兵員居住区と弾薬庫地帯が同居しているところはない。
 滑走路を千メートル沖合に移す、そのことは基地全体を沖合に移すこと以外に、基地機能は保たれないと私は思う、となれば三、四千億円の予算で可能なはずはなく、おそらく兆を超す予算が必要なのではないか。
 昨年まで百六十億円の「思いやり予算」で兵舎や施設が新しく建設された。七月九日の「赤旗」は、一面トップに米国防総省が米議会に提出した「八五年度軍事建設計画」を発表した。そのなかで岩国関係は、換気改良工事八十九万ドル、F16、AV8B用支援施設四十五万ドル、エンジン整備工場百二十八万ドルを計上している。
 岩国を訪れる自民、民社、公明の国会議員のお偉い方がたは、これからのことについてまったく触れない。また、米軍当局は「基地移設」についてはまったくノーコメントである。
 私はここに、「基地沖合移設」のかくされた重要な一面があるのではないかと思う。

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