河野勲の岩国ノート

 〔35〕岩国と沖縄 1984/6/24

部隊の指揮は瑞慶覧が・・・

 前回の「岩国ノート」の最後に、十三日の中国新聞が攻撃能力を強めるA7Eコルセア配備の見出しで「今年中にA7Eが更に一個中隊が配備される」と報道したと書いた。
 この記事は十三日「那覇」で「在沖縄米海兵隊航空団(司令部・キャンプ瑞慶覧)は十二日までに、同航空団所属の岩国(山口)に配備されているA4スカイホーク攻撃機を一年以内に二回に分け米フロリダ州セシル海軍基地所属のA7Eコルセア二個中隊と入れ替える」と報道した。
 A7Eは五月三十日から岩国へ配備が進められ、五月三十一日にはA4が着陸に失敗して火を噴き、着陸できないまま、約二時間市中上空を旋廻した。
 さらに十一日には、米本国のエルトロ基地へ還(かえ)る途中 八丈島の近くで墜落事故を起こしている。
 これらはすでにマスコミが報道している。それであるのになぜ改めて十三日、司令部が発表したのか。
 ここに岩国基地と沖縄の瑞慶覧の関係が明確になる。いわゆる、岩国基地は沖縄の瑞慶覧を後方とする最前線基地を意味している。 
 わかりやすくいえば、岩国の主力部隊はMAG12とMAG15の部隊からなっているが、この部隊の指揮は直接沖縄の瑞慶覧よりおこなわれている。岩国の基地司令部は、いわばアパートの管理人の存在といえる。
 ではA7Eの配備によって攻撃能力は具体的にどのようにアップされるのか。次の表を参照していただきたい。 
 
 

A7Eコルセア
(核積載可能)

A4Mスカイホーク
(核積載可能)

エンジン推力

6.800kg−1

5.443kg−1

最高速度

マッハ0.97

マッハ0.94

最大航続距離

7.960km

3.300km

武装

20oバルカン砲ー1
サイドワインダー
AAM−2

20o機関砲ー2

爆弾最大積載量

6.800kg

4.150kg

燃料最大容量

(増槽を含む)10.250ℓ

(増槽を含む)5.950ℓ

  
  *バルカン砲は一分間に六千発発射できる。
  *エンジン推力はkgで表しているが、推力1dとは1dの重力に対抗できる力のこと。
     馬力にすれば一秒間に75kgのものを一メートル持ち上げる仕事量のこと。
  *F4Jファントムは推力8120kg(高度11000メートルにおいて649m/秒の速度を出しているときは)、
     8120×649÷75=70265、つまり七万馬力となり、エンジンを二機備えているから十四万馬力となる。
     鉄腕アトムが十万馬力、日本の旧海軍の大和が十五万馬力と比較してみるとジェット機の力の強さが理解される。

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