河野勲の岩国ノート

 〔26〕また殺人事件 1984/4/15

演習で野獣化した米兵が・・・

 四月二日、中国新聞は「また米兵がらみ?岩国の女性殺し、おびえる付近の主婦」の見出しで、四月一日未明、岩国市車町二丁目、無職、岡本志津子さん(六一)が他殺死体で発見された事件を、次のように報道した。
 「事件は米兵がらみとみられ、基地の町岩国の暗い部分を見せつけた」。関連記事は「志津子さんが血まみれで死んでいるのを訪ねて来た知人の同市三角町、米海兵隊岩国基地の米兵が見つけた。米兵はいったん基地に戻り、同三時十分ごろ同基地緊急センターから岩国地区消防組合へ通報、同組合が岩国署に連絡した」
 私は「またやったか!!」といった気持ちでスクラップブックの索引簿をめくった。
 七九年四月九日付中国新聞は、「ホステス殺される、両手縛られ首にタオル 岩国の基地の街」の見出しで、「また基地のある街イワクニで殺人事件が起こった。八日夜、岩国市車町三丁目、米軍岩国基地正面付近の住宅街で、ホステス小泉総子さんが殺された陰惨さは、三年前同地区で起こった接待婦(四六)殺しと似ており、基地の街の“恥部”をのぞかせた形」と報道している。
 つづいて索引簿をめくってみると七六年五月二十三日、読売新聞は「岩国で婦人殺される」の見出しで「二十二日午後五時十分ごろ、山口県岩国市車町一の十五の二七、アパート『清風荘』一階十一号室の無職 田儀千登世さん(五〇)が、奥の六畳の寝室ベットで死んでいるのを管理人の谷本ムラ子さん(五三)がみつけ、岩国署に届けた」。
 また、中国新聞はこの事件の記事で、「昭和二十三年以来、これまでに六件の売春婦やホステス殺しが発生。うち四件は未解決になっている」と報道している。
 このたびの事件が、米兵がやったという確証はいまのところない。
 ところでこのたびの事件、七九年、七六年の事件とも四月から五月にかけて起こっている。
 チームスピリット、米韓合同演習は一九七六年から毎年二月から四月にかけて毎年おこなわれている。演習とはいえ硝煙けむる戦場である。
 戦場で野獣化した米兵が岩国に帰り、欲望が果たし得なかったとき、“殺し”が起こる・・・。
 四月十二日の各新聞はいっせいに本部中隊、兵長キース・E・ウォーカー(二〇)を逮捕したことを報じた。

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