河野勲の岩国ノート

 〔22〕出撃 1984/3/18

F4が次つぎに発進

 三月九日。金曜日。曇り。六時三十分すぎに目が覚める。そろそろ起きなければと思っていると、突然C141(大型ジェット輸送機)の北へ発進する爆音。海上へ旋廻、広島県上空を高度を上げ西へ。
 お茶を飲みながら新聞をひととおり目を通す。八時十八分、C141北へ発進、海上へ旋廻、広島県上空を高度を上げ西へ。あきらかに韓国方向だ。八時二十八分、つづいて八時四十分、八時四十五分、九時六分とC141が同コースへ発進していく。
 電話のベルが鳴る。「朝日新聞記者のTだが、“チームスピリット84”の取材で岩国の動きをききたいが都合は?」という。
 十一時三十分に新岩国(新幹線駅)に着くというから、私の家を知らせておく。
 十時三十分C141、ふたたび北へ発進。あきらかに飛行コースは韓国だ。チームスピリット84へ出撃するための兵員か物資の輸送に間違いない。
 十一時四十分すぎ、T記者がくる。用件はわかっていたので、まず岩国の動きを話す。「MAG12(A4スカイホーク、A6Eイントルーダーの部隊)はすでに出撃しているようだ。けさ、C141が七機次つぎに韓国方向へ飛び立った。MAG15(F4ファントムの部隊)が出撃するのではないかと思う。」
 彼は「チームスピリット84を取材するため沖縄、佐世保にいってきた」といって、沖縄、佐世保の動きを話してくれた。
 三月十一日。日曜日。晴れ。日曜日なので床の中でゆっくりしている。七時三十五分、F4ファントム南へ発進する爆音。起きてまず私の執筆している「赤旗」の「岩国ノート」に目を通す。八時十五分F4二機、八時四十分F4二機、九時二十二分F4二機、九時四十四分F4、十時二十二分、十時四十六分、十一時三十六分、十二時二十四分、十二時四十二分、それぞれF4が二機編隊で北へ発進、海上へ旋廻して西に旋廻 高度を上げ、韓国方向へ発信していった。
 十機以上のF4が次つぎに同一方向へ発進する。しかも日曜日である。
 あくる日の朝、M君の車で基地の全景が見える団地の丘へ登る。MAG15のエプロンにはF4は一機もいない。九日のC141と十一日のF4の発進。岩国基地は全部隊、チームスピリット84へ出撃した、といえるのではないか。

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