河野勲の岩国ノート

 〔17〕KEEP OUT 1984/2/12

チーム・スピリット下の基地で・・・

 岩国は比較的温暖の地である。だが一月三十一日の雪がまだ軒下に残っている。それから一週間、毎日夜は零度を下り、昼も五・六度より気温は上がらない。昇るのは私の血圧だけだ。毎週土曜日が定期健診 H・185、L・90。

 二月一日からチーム・スピリット84が開始され、新聞は嘉手納、横田のあわただしい動きを報道している。当然岩国からも参加するはずであるが、いまのところ動きは感じられない。
 二月七日付の「赤旗」は「最大の参加機数、護衛艦初参加、四国沖で日米航空演習」の見出しで航空機は百九十機、嘉手納基地から参加と報道した。
 また地元の中国新聞は「規模広げ空対艦作戦、四国沖日米訓練始まる」の見出しで、米軍側は嘉手納(沖縄)、岩国(山口)からF15、A6イントルーダーなど、のべ百二十機が参加したと報道した。
 六日の私の日記は、七時五十八分、A6二機北へ発進、海上へ旋廻南へ。八時三十一分、A6らしい爆音南へ発進、東へ旋廻。九時三十分、F4北へ発進、海上へ旋廻南へ。十時二十八分、A6らしい爆音南より基地上空を旋廻、着陸。その日の記録は十七時二十二分、F4南より基地上空を旋廻、着陸で終わる。
 基地へいきたい。だがこの寒さではとても自転車では、と思っていると、F君が車でくる。さっそく愛用の双眼鏡を肩に基地へ。北ゲート手前までいくと、海上自衛隊の対潜ヘリが二機北へ発進、海上へ出て柱島(戦艦「陸奥」が沈没したところ)上空を東に消えた。
 エプロンにKC130の尾翼が一機見えるが、別にあわただしさはない。海岸堤防の突き当たりでしばらく車のなかから監視する。
 弾薬地帯を囲むフェンスが在る。このフェンスに赤い一平方メートルぐらいの看板が約二十メートル間隔で取り付けられた。双眼鏡で見ると「KEEP OUT」。下に日本語で「立ち入り禁止区域」と書いてある。なぜ新しく取りつけたか。最近の厳重さを物語るといえよう。
 正面ゲート、南ゲート、門前の米兵住宅の横を通り、殖産団地の展望台へ上がる。MAG−12(第十二飛行大隊)のエプロンにA6が一機、MAG−15のエプロンにF4が九機駐機している。F4が二機ごう音を立て北へ発進、急上昇しながら東へ消える。A4の姿が一機も見えないが、あるいはすでに韓国へ出動しているのではないか。

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