河野勲の岩国ノート

 〔15〕自由入港 1984/1/29

トマホーク発射のA6 12機

 一月四日、前の家を貸している社長が年始に来て二階の事務所でのみはじめた。年始に来た客と三人になる。どのくらいのんだか、時計は十二時前だ。「ああ、もうこんな時間か」。席を立ちドアを開き段階へ足を一歩。「アッ、ドドーッ」、下まで一気に落ちる。「だいじょうぶか?」社長に抱き上げられて気がついた。その日は、痛みもあまり感じなかったが、あくる日起きようとしても右足が曲がらない。見ればひざから下が真っ黒だ。定期健診の日なので医者にゆき見せると、「あなたは猫みたいな男だ。よくこのくらいで済んだ。階段から落ちて植物人間になる人もいるよ」といわれ、あらためて恐ろしさがわく。
 米軍機の発進はつづく。爆音で機種と時間、飛行方向を記帳するが、基地にはいけない。一月二十日七時五十五分、C141北へ発進。二十一日にもC141が十六時五十分北へ発進した。C141の発進がつづくのは、部隊の移動ではないかと思っていると、二十三日の中国新聞が「第十五飛行大隊(F4ファントムの部隊)の第三三三中隊が本国の第三一二中隊と交代した」と報道した。
 もう自転車くらいなら乗れるが、と思っていると新婦人の西村君が車できた。早速基地沖へいく。久しぶりだ。川口を右に曲がり海岸に出る。港に米軍のタンカーが入り、基地に燃料を送っている。
 前回にもふれたが、基地沖には日米安保条約の地位協定によって、約二十一平方キロメートル提供水域がある。そのため米軍の艦船の出入港は日本の法律の適用を受けず自由である。
 「赤旗」は何回か、日本の港に入港する米軍艦船の数と船名を報道した。しかし岩国だけではない。岩国には空母レンジャーやミッドウェーも入港した。また核ミサイル積載艦も何回か入港した。沖縄の嘉手納にAV8Aハリアーが配備された時は、揚陸艦で岩国まで海上輸送して、岩国に陸揚げされて、テールマーク(所属中隊を示す)などメーキャップしたあと、嘉手納へ飛び立っていった。
 海兵隊の核取扱教範では、海兵隊の核兵器は、海軍が運搬することになっている。トマホークの日本への持ち込みも決定的だ。10フィート運動の映画「予言」ではトマホークがA6イントルーダーから発射される場面がある。A6が十二機もいる岩国に、トマホークの持ち込みの可能性は十分考えられるといえよう・・・。

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