*基地問題と地域経済

  経済的な面とでも言いましょうか、基地がどれだけお金を落とすかという問題では、兵隊がドルを円に替えて、ポケットからバーなどに落としていくということがあります。ベトナム戦争の後期までは、ずいぶん落ちとりました。今はもう街の中で、米兵相手のバーなどはあまり目立たなくなりましたけど、朝鮮戦争の頃からベトナム戦争の初めぐらいは、今津(岩国市内の地区)の方まで全部バーだったんです。
  そして、まだこの辺でも小さな貸家を持ったお百姓さんが多いです。今はほとんど空いていますけど、ちゃんと水洗トイレになっています。この付近でもよく見かけますが、そういう百姓の方は、元は日本海軍に貸していたようです。土地を取り上げられたものだから、百姓では生活できない。それで、日雇いとかで日銭を稼ぐ人もいるし、同時に家は広いので日本海軍に家を貸すということです。そういうことが始まりました。その影響で、今度は米兵や米兵相手の女性に家を貸す、というような形で地元に金が落ちてくる。しかし、しだいにベトナム戦争が終わりに近づくと兵隊が少なくなってくるし、同時にドルの値打ちも下がってくるということで、今はほとんど儲からない。 
  今では、ゲート前もほとんどシャッター下ろしてますね。当時は、朝からガンガン、レコードが鳴っていまして、酔っぱらった兵隊が街をうろついておりましたが、今ではその雰囲気は全くない。同時に基地内の設備が非常に完備しまして、スーパーができ、娯楽設備ができています。去年は体育館を作りました。もちろん、アメリカへの「思いやり予算」で作られたんですが、基地内の生活環境は非常によくなりました。兵隊は、基本的に六ヶ月で交替します。だから六ヶ月の間、一度も基地の外へ出たことがないという兵隊もいるそうです。それから、家族持ちの兵隊は立派な宿舎におります。おそらく、本国に帰っても、あんないい家には入れないだろうと思います。
  また、間接的に落ちてくる金とでも言いましょうか、いわゆる市や県に防衛予算として落ちてくるような金もあります。おそらく、防衛予算の中にはゼネコン汚職なんか、もっとあるのではなかろうかとも思いますが。おそらく、防衛予算の使い道、基地の中でどう使われているかは、県の方でも分からないでしょう。防衛施設庁もなかなか言わない。岩国の事務所も知らないと言うので広島の事務所に聞いてみたら、「分かりません」という回答しかないです。知っていても言わないかも分かりませんけどね。

BACK NEXT