*岩国基地と町づくり

  ところで問題は、私たち平和委員会としては、これまで、米軍基地の問題だけを考えておりましたが、最近非常に重要な問題点として認識しているのは、岩国市の将来の発展が、基地があるということで、どれだけ悪影響を被っているかということなんです。これは山大(山口大学)の経済学部が、ずいぶん前になりますけれど、一度調査したことがあります。

  岩国基地が返還されたと仮定した場合に、現在の商業ベースで計算してみて、固定資産税がどのくらいかとか、人口は現在、岩国市が約十一万人ですが、返還された場合には二十五万人ぐらいになると推定できる、という計算ではなかったかと記憶しております。安部一成先生もおられたんじゃないかと思いますが。なにしろ五七〇万平方メートルの広大な土地が基地に占有され、しかも街の真ん中ですからね。やはり基地を撤去するというかとが大事じゃなかろうかということを、今、平和委員会でも考え始めておるわけなんです。
  しかし、現実に今、問題になっているのは、基地の沖合移設の問題です。アメリカが沖合移設についてどう考えているかはマスタープランに明らかですが、沖合移設というのは、あるものを沖に移すということですから、元あった所は空白になるはずです、移すんですから。しかし、沖合移設の計画は、滑走路だけを移しておいて、跡地はそのまま使うということです。ですから、いわゆる拡張なんですよ。その拡張も、米軍の要求が非常に大きくて、今の滑走路は二五〇〇メートルなんですが、これを三〇〇〇メートルいくらにしろと要求しているわけです。だから、これがどういう方向に発展していくのかは目に見えています。ですから、岩国市の発展のためには、沖合移設では少しもメリットはありません。むしろ基地拡張であって、沖合移設では岩国市の本当の発展にはならない。
  しかも、埋め立ての土は愛宕山から採るということです。平田におりましたから、愛宕山というのは子どもの頃から馴染みの深い山なんです。いずれ開発しなくてはならないというのはよく分かるが、開発という逃げ道で沖合移設を合理化することはできないと思います。それとは別個の問題として考える、切り離して考えないと、これはとんでもないことになるんじゃないかということなのです。昨日の『中国新聞』にも載っていましたが、岩国での愛宕山開発の問題は、基地沖合移設との兼ね合いで大きな問題になってくると思います。県も、かなりこれには金を出すんじゃないですか。今度の開発では、県の開発公社に委託するようなことを『中国新聞』は書いていましたが。

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