■冥王神話 NEXT DIMENSION 「Part66 蟹座無残」ツッコミ&感想 (2014年1月16日発売・週刊少年チャ○ピオン7号掲載) (注意) ・このツッコミはネタです。実在の人物・団体等とはいっさい関係ありません。 ・強度の毒舌が苦手な方は閲覧の際に副作用として痒み・発疹・アレルギー反応が出ることがありますので十分ご注意ください。 ■論点その1:まさかコズミックマリオネーションの糸が1本じゃなかったなんて。 さて、糸に首根っこ引っつかまれた状態でズルズルとオメルタの方に引きずられて行くデストールさん。 「い…いやああ〜〜ん う…腕が勝手に動いちゃうぅ〜〜〜っ」 ほわっ!? ちょっと待って!?どういうこと!? 首だけじゃなくて腕にも糸が付いてるの!?何てこと……! 「残念だったなデストール さきほど一輝にしかけたC・M(コズミックマリオネーション)の糸が何本か消えずに残っていたようだ」 いや!おい!何本もあるのかよ!それじゃ完全に体の自由奪われちゃうじゃん!だめじゃん! もはやデストールさんに全く勝ち目ないじゃん! ……てーか、一輝に仕掛けてたはずの糸で、どうやってデストールさんを捕まえたのか、果てしなく謎ではあるのだが。コズミックマリオネーションの糸って再利用可能なものなんだろうか。瞬のチェーンみたいに、外すのも巻きつけるのもフェルメールさんの自由ってことなんだろうか。 いや、そんなことより何より! フェルメールさん、オメルタから出てきちゃうのかよ! 前回までのデストールさんの努力はいったい何だったんだよ!姐さん何のためにあそこまでしたっていうんだよ! ■論点その2:ヘンタイよ!この人、ヘンタイだわ!!! こうしてデストールさんを操ってオメルタの蓋を開けさせ、外に出てきたフェルメールさん。ものすごーーーーく、お怒りの模様です。 「ただでは殺さぬ わたしをたばかった罪だ 踊れ死の舞踏を!!C・M(コズミックマリーネーション) ヴァリアシオン」 おお!新技!何だかコズミックマリオネーションのバージョンアップみたいな技が出てきました。しかも、出来の悪いピノキオみたいな、気色悪い人形のイメージ画像つき。きもい。フェルメールさんの趣味が微妙にきもい。 「ひっ 体が勝手に!?なによぉこれぇ――ッ」 「アラベスク!!」 ふぁっ!? おいコラふざけんな何だこのヘンタイ!アラベスクって何だよ!このデストール姐さんの華麗な開脚は何なんだよ!いや確かに姐さんバレエ似合うけど!確かにバレエのアラベスクのポーズが妙に似合いすぎててやばいけど!でもこれ実際にやってるのフェルメールさんなんだぞ!こいつ一体どういう趣味してんだよ!信じらんねえ! 「ぎゃあっ」 ぎゃああああ!!!股関節が!!!デストールさんの股関節が!!! ……ちなみにアラベスクというのはバレエ用語で「片足で立ち、もう片足を上げるポーズ」なんですが、だいたい90度以上は開脚しなきゃなんないらしい。でもデストールさんはどう見ても225度くらい開脚している……。 「クロワゼ!!フェッテ!!パ・ド・シャ!!」 いやもう、ちょっと、このヘンタイ、糸で敵を操るだけなら他にもいくらだって方法があるはずなのに、いったい何でバレエじゃなきゃいけないんだ。こんなマジメな恐い顔で、しかもブチ切れモード全開のドシリアスな局面で、それでどうしてバレエをやろうと思うのか。まさかバレエが趣味なのか。名前は画家なのに。 てーか、もはや姐さんがバレエ踊りながらほとんど残像みたいになってるんだけど……。 ……ていうか!ちょっ!おい! こいつ、ドサクサに紛れて なに姐さん脱がせてんだよ! オレたちの姐さんに何してんだよこのド変態! 「次は上体を捻って倒すランベルセ 大開脚のアンドゥオール(略) 今お前の五体は全てあらぬ方向にねじ曲げられ悲鳴を上げているのだ まさに地獄の苦しみのはず」 いや、もう、ちょっと、あの……私、これをどう受け止めたらいいのか全然わかりません……。 姐さんが大変なことになってるというのに、肝心の描写が車田渾身のギャグテイストみたいになってて、姐さんをこよなく愛する読者としては、笑うべきなのか、悲しむべきなのか……。 ■論点その3:デストール姐さんがあまりにも漢(おとこ)前すぎて、これは御大から姐さんへの最後のはなむけなんだなと思う件。 「もう一度だけチャンスをやろう アテナの所へわたしを案内するのだ」 いったん「殺す」とか言っときながら、この期に及んで再び交渉に入りだしたフェルメールさん。 でも要するにこの発言って、「わたしは自力でアテナの所へたどり着けません」って自ら告白してるも同然だよな? 今までさんざん偉そうな態度取ってたが、もしかしてこいつ、実力は全然パッパラパーなんじゃねえか? 「お…おだまり 話によっちゃあハーデス軍に寝返ろうかなんて思ったこともあったけど…あんたみたいなヤなヤツがいるなら金輪際お断りだね」 いやいや、「話によっちゃあハーデス軍に寝返ろう」とか、どう見てもウソですよね、デストールさん。 だってこの人、フェルメールさんとケンカするよりもはるかに前の段階から、既にめちゃめちゃアテナ軍としての行動だったし。黄泉比良坂の穴の回りに棺桶トラップしかけたりとか、冥闘士を大量に虐殺したりとか。 というわけで、明らかに姐さんの行動は、フェルメールさんの人格とは無関係です。姐さんったら意外と謙虚キャラなんですね。自分の信念を声高に主張せず、敢えて偽悪的にふるまってるような印象もあります。 個人的には「私は正義だ!」って自分で言っちゃう人よりも、こっちの方がカッコいいような気もしますけど。(←あくまでもツッコミ人の個人的な価値観ですが) 「殺されたいか」 「お殺し」 おお……姐さん潔い。命よりも信念を選んだか。 しかしこういう人が保身のためにハーデス軍に媚売る必然性って、どう考えても無いよなあ。やっぱり初登場から今までの姐さんの態度は、最初から芝居だったような気がしてきましたよ。 「ならばフィナーレ!大回転 死のピルエット!!」 「うぎゃああああっ」 カラアアン 次々と聖衣をフェルメールさんに脱がされたせいで、姐さんの体にはもはやマスクしか残っていませんでしたが、そのマスクもとうとう外れてしまいました。そしてそのマスクと共に、首が飛んだかのような描写。 しかしこのコマ、首が飛んだというよりはむしろ髪の毛が飛んだみたいに見えるような…… ……と、思っていたら。 ほんとにカツラだったという。 ほとんど虫の息のような状態で、それでもウィッグを返せと要求するデストールさんですが、フェルメールさんは鼻で笑います。「今から死んでゆく身でハゲ頭の体裁を気にして」いるデストールさんの様子が、フェルメールさんの眼にはひどく滑稽に映った模様。 そしてツッコミ人はといえば、この瞬間にフェルメールさんが大量の読者票を失ったであろうことを、色んな意味で確信。 さらに言うと、これはもう明らかに御大は、フェルメールさんをかっこよく死なせる気がゼロだと思われます! 「だからあんたは三ン下だってんだよ 遠い日本の武士は鎧に香を焚き込んで出陣するって話よ 本物の戦士ってのは死ぬ間際まで身ぎれいにしておくものなのさ」 ま、まさかデストールさんはSAMURAIをリスペクトするあまり、髪型までSAMURAIに…… ……ってわけじゃないよな、やっぱり。後ろ髪も伸ばしてないし、まげも結ってないし、月代ってわけじゃなさそうだよな。 しかし明らかにヨーロッパ文化圏出身だと思われるデストールさんが、このようなマニアックな日本情報をつかんでいるということは、やっぱり以蔵さんと頻繁におしゃべりしてたんでしょうか。早桶のこともなぜか知ってたし。(←Part36参照) ……そういや以蔵さんって何気にデストールさんのタイプっぽい顔立ちだよな。 そしてどうやらデストールさんは、このセリフを見る限り、もう完全に死ぬモードに移行したようです。だって「死に際をキレイにしたい」だなんて、もはや完全に「自分が生き伸びることは不可能」という事実を知覚した人の行動じゃないか……。 でも、そんなデストールさんの精一杯の覚悟と皮肉は、どうやらフェルメールさんには通じなかった模様。単純に気分を害しただけでした。 「決まった デストール おまえの堕ちる地獄は第八圏第四嚢だ 現世で奇怪な策を弄し続けた者はそこへ落とされ 首を真後ろに180°ねじ曲げられ 悔恨の血涙を背中に流しながら永遠にさまよい続けるのだ」 ……いや、おい。そんなマニアックな地獄が実在するのかよ。ビックリだよ。 と思って、「第八圏第四嚢」について調べてみたんですが、そしたら、ちょっと、フェルメールさん!ジャンプコミックス24巻の「冥界・地獄絵図」によると、おたくの冥界で「首が真後ろになる地獄」といったら、第七獄じゃないですか!「第七獄」の「四の壕」じゃないですか! ちなみにその絵図によると、第八獄はコキュートスです。氷地獄です。しかも第八獄の四番目といったら思いっきりジュデッカです。ハーデス様の本拠地です。誰も首が真後ろになんてなってません。ていうかそもそも「第八圏」などという場所はハーデス様の冥界の中にはありません。 しっかりしてくださいよ、フェルメールさん! ※まあ一応マジメにフォローしておくと、どうやら今回のフェルメールさんは、ご自分の地獄とダンテの『神曲』の地獄をいささか混同された模様。三巨頭にあるまじきこの言い間違いが、単行本ではきちんと直ってると良いですね! 「まだまだそれでは120°程度だぞ」 「ぎえええ〜〜〜っ」 「そら150°だ」 「ぎゃああああ――――っ」 ……てーか、ちょっとこのへん4ページにわたって痛めつけられているデストールさんの絵があまりにもエグすぎて、軽くトラウマになりそうなレベルです。御大すげえ。表現の引き出しがマジですげえ。 もし仮にこれが荒木伸吾作画監督でアニメ化でもされようものなら、もう確実に絶対にトラウマものの、戦後史上最悪にヤバそうな動画が出来上がってしまうこと、請け合いです。(いや、荒木さん亡くなったからもう無理だけど…) たぶん御大はこれ、「読者から笑いが消える描写」というのを意図的にやってると思います。ギアチェンジの度合がすごすぎます。ていうかギアの数もすげえよ。いったい何個ギア持ってるんだよ。すげえよ。恐ろしすぎるよ。 と、御大の表現力を絶賛して、終わる。 ……あ、ちなみに日本の武士ですが、地位の高い武将はお歯黒も塗ってたそうですよ、デストールさん!(それが貴族式の正装だからネ!) ■論点その4:一輝兄さんが再登場したことによって、死亡フラグを立てられた人の数がさらに倍増したように思われる件。 「次で180°真後ろだ」 そう言ってトドメを刺そうとするフェルメールさん。しかしその時、突然の異変が発生! 「なにい!?これはいったい!?指が意のままにならん!何かに引っ張られている!」 「フッ 自分が操り人形(マリオネット)にされた気分はどうだ」 「うっ お…おまえか 邪魔をしたのは…」 ええっ!?この燃えたぎるシルエットはまさかの一輝兄さん!? どうやって自力で黄泉比良坂に!? 「別に邪魔をするつもりなどなかったが…」 いやいやいやいや。邪魔してくれよ。この状況で邪魔するつもりが起こらないとか、人非人にもほどがあるよ。 「オレの体に絡んでた糸をたぐっていたらここにまた辿り着いたというわけだ」 いやいやいやいや!いったいどんだけ伸びるんだその糸!黄泉比良坂から娑婆まで移動したのに、まだ切れてないのか! しかし、そのまま糸を切ってあっさり先に進んでも良かったところをわざわざたぐって、わざわざ黄泉比良坂まで戻ってきた、と。 兄さんったら、ツンデレだなあ! ……という訳で、まさかの兄さん再登場という展開になった今週号ですが、これはもうフェルメールさんには明らかな死亡フラグが立ってるように思われます。だってこれだけフェルメールさんの言動がゲスであるという描写が続いた上で、よりにもよってそのまっただ中に兄さんが登場とか、もうね!どう見ても歩く死亡フラグの登場です。勧善懲悪で因果応報です。まさに時代劇の王道です。 ぶっちゃけこの展開でフェルメールさんが生きて帰れる可能性が、ツッコミ人には一個も思いつきません! ……しかし兄さんがフェルメールさんを倒した直後くらいに、何だかデストール姐さんも力尽きそうだ。もしかしたら兄さんの腕の中で姐さん死亡、とかもありうるぞ。もうエスメラルダが草葉の陰でギリギリと歯噛みするレベルだぞ。 ■論点その5:ちなみに天秤宮でのストーリー展開もそういえばあった件。 いや、デストールさん関連のインパクトがあまりにも濃すぎたせいで、正直ものすごく薄いんですけど、一応あったんですよ、そういえば。 まず、瞬が未来から来たという事実と、アテナが赤子にされてしまったという事実が、ようやく童虎さんに伝わりました。 瞬が童虎のことを「老師」と呼んだのが、紫龍と同じ呼び方だったので、紫龍の仲間であることを、すぐに判ってもらえたようです。 「エ?紫龍と会われたのですか!?」 「ウム 会うた」 「や…やっぱりさっき落ちた流星は紫龍と氷河だったのですね!」 いや、老師は紫龍にしか会ってないよ!氷河さんの話は1ミリも出てないよ!瞬も安心して喜んでないでそこんとこ気づいてやってよ! てーか、ほんとに氷河さんはどこに落ちたんだ! 「わしは初めて会うた紫龍という未来の弟子を信じたのじゃ その紫龍の仲間なら同じく信じるぜよ」 「ろ…老師…」 このへんの瞬のリアクションがものすごく嬉しそうで、実に微笑ましい。フェルメールさんのせいで荒みきった読者の心を爽やかに癒やしてくれる、一服の清涼剤ですね! 「だからと言ってわしの気持ちは変わらん い…いや変えられぬ 水鏡の遺志を継いでアテナを裏切るしかないんじゃ」 うーむ、やはり水鏡の遺志か。ほんとにどういう事情なんだろうな。やっぱり蛇遣座関係の事情かな。まあこの期に及んでもし万が一、水清くん関係の事情だったりしたら、登場人物全員からタコ殴りにされること確実だしな! 「こ…こうなったら仕方ない たとえ童虎だろうとアテナを守るため…倒してこの天秤宮を通る!!」 こうしてついに童虎と一戦交える決意を固めた天馬くん。立派になったなあ。これがPart5で「クロス?」とか「セイントって何だ」とかカタカナでしゃべっていたのと同一人物だなんて、とてもじゃないが思えませんヨ! ■まとめと蛇足 さて、前回の感想では、フェルメールさんもデストールさんも両方カッコ良く死ぬんだろうなと予想していたこのティカですが、完全に御大の発想力を甘く見てました。 本当に、そんな生易しいもんじゃなかった。 もはやデストールさんは外見的にボロボロ、そしてフェルメールさんは人格的にボロボロです。どっちもカッコ良く死ねそうにない!私のような凡人には思いつきようもない、まさかの超展開! ……でも確かに、作品としてはこれ以上なく強烈な印象を読者に与える、ものすごいクオリティだったと思います。良い意味で。 あとデストールさんは人格的にはこれ以上ないほどに漢(おとこ)を上げたので、そういう意味ではものすごくカッコ良く死ねそうですね。やはり外見より人格が大事だと思うので、そのことは素直に喜びたいと思います。まあちょっと今回はエグすぎたけど。 そんなデストールさん受難のこの日。 実は本当にたまたま偶然なんですが、私、夕食がカニ鍋でした・・・。 ……いや、チャンピオンを買ったその足でスーパーに寄ってみたら、バーレーン沖のワタリガニが1匹298円で売ってたんですよ。思わず衝動買いしちゃったんですよ。その時はまさかチャンピオンの内容がこんなことになってるなんて想像もしてなかったんですよ。ほんとに偶然なんですよ……。 正直あまり大きくなくて肉も少なくて、実質ほとんどダシみたいなもんでしたけど、すごくいいダシが取れてめちゃくちゃ美味しかったです、カニ……。 <完> 多分続く 「Part65」へ← →「Part67」へ |
Written by T'ika /2014.1.17