冥王神話 NEXT DIMENSION
「Part65 葬列」ツッコミ&感想

(2014年1月9日発売・週刊少年チャ○ピオン6号掲載)




(注意)
このツッコミはネタです。実在の人物・団体等とはいっさい関係ありません。
・強度の毒舌が苦手な方は閲覧の際に副作用として痒み・発疹・アレルギー反応が出ることがありますので十分ご注意ください。





■論点その1:「娑婆陀芭陀亜」の強烈すぎるインパクトが、何だか読者のみならず一輝兄さんにも微妙なダメージを与えているように思える件。


 まず地面に叩きつけられた一輝兄さんが辺りを見回してみると、そこは巨蟹宮。よく見ると、あたりにはまだけっこう棺桶が残っています。しかしPart36の時と比べてやたらと日本式の早桶の数が増えているように思えるのは、絶対に気のせいではないでしょう。
 どうやらデストールさんは、天馬と瞬(日本人)に一泡吹かされたのが、よっぽど悔しかったと見えます。

 「ま…まさかデストールはこのオレを…フェルメールから救うために…」

 うん、まあ、それは普通にそうだろうねえ。(←前回のツッコミ参照) ここにきてようやく一輝兄さんも、デストールさんの健気な献身ぶりに気づいたようです。

 「娑婆…なんとかでオレは異次元へ飛ばされたはずだが…」

 ……いやいやいや。おい。「娑婆…なんとか」って。

 あんた、そんなに「シャバダバダア」って言いたくないのか。

 いや、デストールさんがあんなにもはっきりと発音していた以上、まさか一輝兄さんに技の名前が聞き取れなかったなんてことは絶対にないと思うんですよね。そして、まさか兄さんにあの技の名が覚えられない訳がないし。
 だって「シャバダバダア」って、たったの6文字しかないんですよ?「ペガサス流星拳」よりも「廬山昇龍覇」よりも「ギャラクシアン・エクスプロージョン」よりも、圧倒的に文字数が短いんですよ?普通、一度聞いたら絶対に忘れませんよ?

 なので、どうやら一輝兄さんは自らの口から「シャバダバダア」などという言葉を発音するのが、あまりにも恥ずかしすぎた模様です。
 うん、まあ確かに、こんなシリアスな局面で「シャバダバダア」とか言わされるなんて、プライドの高い一輝兄さんにとってはそうとう屈辱的なことだろうしな。青銅5人中、最もカッコつけたがりな兄さんにとっては、あまりにもつらすぎるセリフだったに違いない。
 それにつけても、デストールさんは本当にすごい。まさか技名ひとつだけでこれだけ一輝兄さんのメンタルに屈辱感を与えることができるなんて。

 という訳で、何だかもうこの一連の展開が、デストールさんによる言葉攻めにすら思えてきたツッコミ人でございます。
 もしかしてこれって、デストールさんによる新手のプレイなんじゃないのか?




■論点その2:亡者に混じったオックスさんはちっとも気づいてもらえなかったのに、亡者に混じった水鏡先生はしっかりとみんなに気づいてもらえて、非常にずるいと思う件。


 そんなこんなでオメルタの蓋を開けた状態でフェルメールさんに話しかけるデストールさんですが、結局、その作戦はうまくいきませんでした。フェルメールさんがオメルタの蓋を足蹴にして、蓋を閉めてから返答してしまったからです。
 ……でも、どうやらフェルメールさんはオメルタの能力についてハッキリとは判ってないっぽいので、これは冥闘士の直感で何となく「怪しい」と思って、無意識にやっただけの行動にも思われる。

 「何を企んでいる おまえが妙な箱に閉じ込められてそこの穴に落下したという報告を聞いている」

 ……いやいやいや、ちょっと待ってよ、フェルメールさん。
 いったい誰からどうやって報告されたっていうんだよ。

 だってあの時のハーデス軍の雑魚たちは結局デストールさんのせいで全員カイザーさんの所に連行されて、1人残らず殲滅されたんだぞ!誰一人として目撃者なんて残ってないぞ!それともまさか、どこかに伝令が隠れてたとでもいうのかよ!そんでデストールさんに気づかれることなく姿を消して、いつの間にかハーデス城に戻って、フェルメールさんに報告してたとでもいうのかよ!一体いつのタイミングで姿を消したんだよ!そもそも黄泉比良坂のどこに隠れて見てたんだよ!
 ハーデス軍の伝令の能力、すごすぎるだろ!


 「それがこの箱か?答えろ さもなくば頭を割るぞ」

 容赦なく問いつめるフェルメールさん。それに対して、いよいよ追いつめられたデストールさんは、何と、「棺桶の寝心地を確かめてたらたまたま落ちちゃった」という珍説……もとい、主張を展開!

 「いいわよ 笑うがいいわ 気のすむまで笑いなさいよぉ もぉいやああ〜〜っ そうやっていつもみんなバカにするんだから」

 ……いや、この滝のような涙をふりまきながら絶叫するデストール姐さんの可憐な舞姿何度見ても本当にすごいです。実に的確に、ピンポイントで、我々読者の腹筋を削ってきます。
 特にこの、旋回するデストールさんの動きに合わせて太さ5センチくらいの涙が真横になびいてる絵とか、もうね!いいぞもっとやれ!(大爆笑)

 しかしフェルメールさんの顔には相変わらず陰ができまくり。どう見ても怪しまれてます、デストールさん。ちょっと芝居が過剰すぎるんじゃなかろうか……。

 「もういい さっさと十二宮へ案内しろ」

 明らかに怪しみつつも、結局フェルメールさんはこの場は不問に処すことにしたようです。まあ確かに、オメルタの機能をはっきりとは知らないっぽい彼の立場からしたら、これが最も正しい選択でしょう。なぜならこの場におけるフェルメールさんの最大の目的は、何よりもまずは十二宮に入り込むことであって、デストールさんの真意をただすことではないからです。

 しかしここに来て、予想外の展開が。
 何と、黄泉比良坂を歩く亡者の群れの中に、水鏡先生が混じっていたのです。

 「す…水鏡… あ…あんたやっぱり死んじゃったのね…」
 「むうっ 奴の死は本当だったのか…」


 いや、フェルメールさんもデストールさんも、今まで水鏡が死んでるって気づいてなかったんですか。仮にも冥界三巨頭&黄金聖闘士なんだから、そのくらい小宇宙で気づいてやってくださいよ。(笑)

 ……ところで、デストールさんが水鏡の死を知ったのが今だということは、どうやらPart63〜64のデストールさんがハーデス軍に敵対する行動を取っていたのは水鏡の死とは全く無関係で、普通にデストールさん個人の意志でやってたってことになりますね。
 これはもう、デストールさんは普通にアテナ側の人間であると見て間違いなさそうです。読者としては、何よりもそれが確認できたのが、ここでの最大の収穫と言えるでしょう。

 さて。

 以上のような重大な論点に比べたら激しくどうでも良いのですが、実は個人的にこの一連のシーンには、つっこみたい問題がもうひとつあります。
 何って、黄泉比良坂を歩いている亡者のうち、マッパなヤツと、ちゃんとズボンをはかせてもらってるヤツの違いがどうして生じたのか、地味に気になって仕方ないんです。みんな全裸なのに水鏡先生だけちゃんとズボンはかせてもらってるなんてずるいよ御大!いったいどういうことだよ御大!

 ……願わくは、せめてオックスさんが黄泉比良坂を歩いていた時にも、ちゃんとズボンをはかせてもらっていたのでありますように。(震え声)




■論点その3:もしかしてデストールさんの行動原理は、アテナでもハーデスでもなくてオトコなんじゃないかと心配になってきた件。(笑)


 「しかしあわれな死に様よな(略) 奴は結局両軍を天秤にかけてうまい汁を吸おうとしていたのだ あげくの果てには裏切り者としてかつての同胞に殺られるとは なんという無様な最期よ」

 水鏡先生の姿を見るや否や、唐突に悪口のマシンガントークを繰り出すフェルメールさん。クールな彼がここまで言うなんて、きっと今までよっぽど水鏡先生の存在が腹に据えかねていたんでしょうね!いかにも「積もりに積もったこの恨み!」って感じです。
 てーか、ここまでムキになってると、逆に、フェルメールさんは水鏡先生に何らかのコンプレックスでもあったんじゃないかと思えてくるな(笑)。いったい何のジャンルで負けたんだろう。

 なお、余談ですが、フェルメールさんの分析によると、こういう「さげすむべき輩」が落ちるのは、コキュートスのアンテノーラか、ジュデッカらしいです。原作の定義によると、コキュートスとは「ハーデス様に逆らった者が落ちる地獄」なので、恐らくは水鏡先生も「ハーデス様に心から従わなかった裏切者」という枠で、コキュートス行きの可能性が高いってことなんでしょうな。

 ……と、そんなことをつらつら思っていたら、突然デストールさんがブチキレました。

 「おだまり!どサンピン!!あんたなんかに水鏡がどんな男だったか分かってたまるもんですか(略)」

 うわあ、デストールさんったら水鏡先生のことを語る、語る。あまりにも長すぎるので、ツッコミ人の一身上の都合で割愛させていただきますヨ!(笑)

 しかし個人的には、そんなデストールさんの態度が水鏡に対してあまりにも肩入れしすぎてるように見えて、どうも微妙な違和感があります。ぶっちゃけ、らしくない。てーか、そんなに水鏡のことを愛してたんなら、小宇宙が消えた瞬間にちゃんと気づいてやれよ、デストールさん。

 まあ、確かにPart47あたりを見れば、デストールさんが水鏡先生のことを気に入ってたのは良く判るんですがね。でも、幾らなんでもここまでとは思っていなかったので、個人的にはちょっと意外な展開かもしれません。だって水鏡語りがあまりにも熱すぎて、デストールさんってば完全に違うキャラになってるじゃんよ。(笑)
 しかも、その割に謎なのは、そもそも水鏡先生が実質的に終了したのって、デストールさんからヘンな盆踊りで攻撃されたせいなんだよな。そんなに水鏡が好きだったなら助けてやれば良かったのに、実際には水鏡先生をぶちのめしたり苛めたり同士討ちさせたり、結構な待遇でしたよねえ、デストールさん。一体そのへん、どうなってるのか。

 いや、それとも…ま、まさか。

 まさかデストールさんは、好きな男はむしろいたぶりたい人なんだろうか。タイプの男をいたぶるのが趣味だからこそ、たとえ肩入れしていても、いやむしろ肩入れしてるからこそ、思いっきりむごい目に遭わせちゃうんだろうか。

 い…いや、でも、デストールさん、一輝兄さんのことは助けてたよな?お気に入りの一輝のことは助けたのに、どうして水鏡のことはいたぶるんだ。
 そ、それともまさかデストールさんは、一輝よりも水鏡の方がはるかに本命だったんだろうか。一輝兄さんはタイプだけどまだ育ちきってないから大本命とまではいかなくてだからいたぶらなかったんだろうか。ひょっとするとPart64でデストールさんが一輝を助けたのも、別にアテナのためとか全然関係なくて、単に一輝が成人した後で美味しく頂くためだっただけかもしれないぞ。そういえばデストールさん、一輝のことを「ガキ」とか言ってたしな。今の段階ではまだ子供すぎるから、美味しく育ちあがるまでは死なせるわけにはいかない、とか思ったのかもしれない。

 ま、まさか、デストールさんの行動原理って、一輝兄さんを助けるのにしても、水鏡先生を攻撃するのにしても、アテナとかハーデスとかは全く関係なくて、単にオトコの趣味の問題だったりして……。

 ……いやいや、いかん。デストールさんのせいで私の思考回路まで新しい地平を切り開きそうになってきた。彼のいたぶり趣味を突きつめるのはこのへんでやめておこう。こっちまでヘンタイになってしまう。

 うん、それにデストールさんは、ちゃんと一輝が来る前から黄泉比良坂に棺桶の罠を張ってた訳だしな!(←論点その2参照)
 だからたぶん、タイプの男とは無関係に、最初からアテナ側なんだよ!たぶん!きっと!




■論点その4:デストールさんの複雑な性格を見事に表現しきっている御大の表現力がマジですごい件。


 さて、デストールさんに挑発されまくったフェルメールさんですが、ここにきてとうとうキレました。

 「悪口雑言はまだしも わたしが水鏡の足元にも及ばぬだと(略) もはや十二宮の案内は無用 デストール おまえをこの場で…殺す!」

 いやもう、ちょっと、この人、「どサンピン」だの「イヤミ」だの「ホモ野郎」だのには全く反応しないのに、「水鏡の足元にも及ばない」にだけはメチャメチャ反応してるとか、何なの!(大爆笑)
 もはや「自分のコンプレックスはここです」って大声で吹聴してるも同然ですよ!何なのこの人、おもしろすぎる!

 「オホホッ 今度はフタがしっかり開いてたわよ」

 つ、ついに本性を表したデストールさん!先ほどからの会話はどうやら、フェルメールさんをオメルタに入れるための罠だった模様。フェルメールさんは悲鳴を上げながら、あっという間にオメルタの中に吸い込まれてしまいました。
 なお、余談ながらこのデストールさん+オメルタのコマ、何だか薄ら寒いような不気味な迫力が漂っていて、微妙な凄みがあって結構恐ろしいです。御大の表現力、マジですごい。

 しかしまたこうなってくると、今までのデストールさんは果たして水鏡を侮辱されて本当にマジギレしてたのか、それともマジギレしてるように振る舞ってた姿さえも実はデストールさんの芝居だったのか、微妙にどっちにも取れそうですね。
 もちろん、純粋に水鏡先生のためにマジギレしてた部分もありそうですが、フェルメールさんを挑発して怒らせて冷静な判断を失わせるために、わざと興奮&激怒してるフリをしてた所もあるように思えます。そして、それが不自然に見えないように、うまく水鏡の存在を「利用」したとも解釈できる。

 たぶんデストールさんの中には、本当に水鏡ラブで一途で純真無垢な部分もあるけれど、それと同時に、勝利のためにはそれすらも駆け引きの材料として上手に利用してみせる、一筋縄では行かないしたたかな部分もあるのでしょう。
 そして、恐らくはその両要素のバランス配分こそが、デストールさんという複雑なキャラクターの、魅力の核心かとも思われます。どちらが強すぎても、どちらが弱すぎてもいけない、この絶妙なサジ加減。

 車田御大の「バランス能力」と「匂わせ能力」と「読者の想像をうまくかきたてる能力」に、改めて感じ入った次第です。




■論点その5:前回100本くらい立てられてしまったデストールさんの死亡フラグが、いよいよ現実味を帯びてきたように思われる件。


 とうとうオメルタの中に閉じ込められてしまったフェルメールさん。しかし、さすがは三巨頭です。まさか、あのほんの一瞬の隙に、コズミックマリオネーションの糸を1本だけデストールさんの首にかけていたとは。
 いや、それとも、最初から用心のため、デストールさんに気づかれないように、糸を1本だけ急所にかけておいたんでしょうか。どっちにしてもすごい戦術眼だと思います、この人。本当に一筋縄ではいきません。

 そして、このデストールvsフェルメールの闘いは、どちらのすごさもちゃんと説得的に表現されているし、ちゃんと「大物と大物の闘い」になってるし、本当に読みごたえがあっていいなあと思います。なかなかの名場面になりそうな予感! ああ、いいなあ!(←原作の妖怪シオンが好きなツッコミ人は、ここにきてNDヒヨコの惨状を思い出し、非常に複雑な気分になっている模様!)

 ……とはいえ、これ、展開としては、デストールさんもフェルメールさんも非常にやばいです。両者とも、いわば断崖絶壁ギリギリまで追いつめられた、絶対絶命の状態です。

 まずデストールさん。よりによって「首に」糸が巻き付いているので、たぶんフェルメールさんのサジ加減ひとつで、首が落ちます、これ。
 ……どうするんだよ、デストールさん。Part64で「死亡フラグ立ってる」ってツッコミ入れたけど、マジでやばそうだぞ、デストールさん……。

 その一方で、フェルメールさんも大ピンチ。このまま一本残った糸でデストールさんの首をちょん切るのか。しかしそうすると、この先フェルメールさんのことを助けてくれる人が、一生現れないかもしれません。
 ならば首にかけた糸で脅しつつ、デストールさんにオメルタの蓋を開けさせるのか。しかし仮にここでオメルタの蓋を開けても、フェルメールさんが約束どおり糸を外すことなどあるわけがなく、オメルタから脱出するや否や、速攻で首チョンパしてくるのは明白です。そしてそのくらいのことが予想できないデストールさんではないでしょう。
 なので、デストールさん的には、たとえ脅されたとしても、オメルタの蓋を開けるメリットは全くありません。フェルメールさんがオメルタから無事に出られる可能性は、限りなくゼロに近いぞ!

 というわけで、ツッコミ人の次回予想。互いに心理的な駆け引きを行った後、最終的にはデストールさんが自分の命と引き換えに、フェルメールさんをオメルタごと死界の穴に蹴り落とす。

 予想の根拠は以下の通りです。
 まずデストールさんは自分の身を挺して一輝兄さんを助けるという死亡フラグを前回立ててしまったので、残念ながら助からないような気がします。でも、ただで死ぬには惜しすぎる良キャラなので、恐らくはフェルメールさんを道連れくらいにはしてくれるんじゃないかと期待。さらに、オメルタを死界の穴に蹴り落とせば、デスマスクがオメルタを持っていなかった理由も説明がつきます。しかもこの死に方だと、フェルメールさんもデストールさんも、両者ともカッコ良く終われるという!

 ……まあ、フェルメールさんはまだビミョーに活躍が少なめなので、どさくさに紛れて生き残る可能性もありそうですが。

 はてさて、どうなることやら。色んな意味で、来週の展開が気になって仕方ありません!


<完>


多分続く


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Written by T'ika /2014.1.12