冥王神話 NEXT DIMENSION
「Part17 ラスクムーン」ツッコミ

(2009年9月17日発売・週刊少年チャ○ピオン42号掲載)




(注意)
このツッコミはネタです。実在の人物・団体等とはいっさい関係ありません。
・強度のツッコミが苦手な方は閲覧の際に副作用として痒み・発疹・アレルギー反応が出ることがありますので十分ご注意ください。





■内容以前の感想

 今回は非常に危なかったです。書店で雑誌を手に取った瞬間、うっかり悲鳴を上げるところでした。
 チャンピオンの表紙が巨大な一輝兄さんに完全に占拠されています!
 しかも構図が見返り美人です!
 えらいごっつい見返り美人がドアップで読者ガンつけてます!

 あーびっくりしたあーびっくりした。なんて心臓に悪いことをするんだ。(笑)

 ちなみに一輝兄さんの背中には、「フェニックス一輝 降臨!」というアオリ文句がデカデカと。「降臨」とかもう完全に人間扱いされてません。

 そして今回の扉絵は、瞬です。なんか作者の人の愛の込め方が丸わかりです。「争いを好まぬ優しき瞳の少年は親友を救うために再びその拳を握る!」という煽り文句つきです。御大の萌えが割と透けて見えます。
 でもたしかに瞬ならば心優しさとパラサイトを勘違いしたりなどしない、人に依存しない立派な聖闘士なので、ポエムの内容にも比較的説得力があるかなと思います。(笑)




■論点その1
――カリストの決断力があまりにもありすぎる件について(笑)

(pp.2-4)


「ラスクムーン ラスクムーンはおらぬか」

 前回のツッコミで露見したように、我らが月の処女神アルテミス様は、実は妹を処罰しようとするフリをしているだけのタダのツンデレでした。
 しかも、デレるのがあまりにも早すぎる!おまけに、デレ方があまりにもあからさますぎる!
 というわけで、前回超ショックそうな顔でアルテミス様のデレ化を凝視していた親衛隊長カリストは、今回、あまりにも漢前(おとこまえ)すぎる決断力を披露します。
 「遊撃隊長ラスクムーン」なる謎の配下を独断で呼び寄せ、いきなり次のような命令を独断で下すのです。


「アテナ様を亡き者にしろ」


 ぶははは!すげえ!結論早すぎる!決断力ありすぎる!これぞ車田漫画の正統派敵役です!ボスの意向なんか聞いちゃいません!「Part12」でなかなか天馬にトドメを刺せなかった冥界三巨頭の決断力が、まるでゴミのように思えてきます!


「われらがアルテミス様のお妹君を…よろしいのですか」
「アテナ様はもはや十二神の元凶 (略)神でありながらまるでその本分がわかっておられぬただの小娘 その存在はアルテミス様をお苦しめなさるだけ


 ラスクムーンの方は、これで問題が生じたら真っ先にアルテミス様の怒りが向くのは実行犯の自分だという思いがあるせいか、いささか引き気味ですが、カリスト様、ぜんぜん迷いがありません。
 これはもう、「アルテミス様のあのようなデレ化など断じて許せん!ていうか私のアルテミス様を取るな!キシャアア!」というカリスト魂の絶叫が、今にも聞こえてくるかのようですね!(ニコッ!)

 なお、付言するならば上記のセリフ、「だから殺す」という結論以外は、カリスト様の言っていることはまったくそのとおりだという気がしてならないのが個人的に笑えるところです。だって実際あのアテナとかいうひと、アガペーとラブの違いがまったくわかってなかったもんね!前回さんざんツッコんだけど!

「アルテミス様には内密にやるのだ よいな」
「はっ」


 あ、やっぱりアルテミス様の御仕置きは怖いんですね。でもまあ、こういうセリフが出てきたということは、カリストには悪いんだけど、十中八九、アルテミス様には、バレるな、こりゃ。はっは。




■論点その2
――瞬の仏の顔の残機が減ってるように見える件について

(pp.5-12)


 一方、アテナと瞬はヘカーテさんに連れられて、クロノスめざして登山中。「本当にこの道でいいのか」「このアマふかしとるんちゃうか」みたいな疑念が、「争いを好まぬ優しき瞳の少年」の脳内を去来しているようですが、ここはヘカーテさんを信じてついていくしかありません!

 と、ここで十名近くの追っ手の気配が。気づいた瞬は『聖闘士星矢』お約束のいつものセリフで沙織さんを送りだします。

 「ここはボクにまかせて先へ行ってください(略)ぼくはすぐにあとを追います さあ早く!」

 わあ、なつかしいですね!十二宮編みたいですね!ドキドキしますね!

 個人的に、ここで瞬を見送る沙織さんの表情の、ほんの少しだけ憂いを含んでいるその憂いの含まれ方が、たいへん好みでございました。あるかないかわからないほどの、かすかな表出。絶妙の感情表現だったと思います。例えばここで、今の沙織さんの心境や内面をぜんぶモノローグで語りつくしちゃったら、冗長すぎて面白くもなんともない。まさに「秘すれば花」だと思います。私、こんなツッコミ書いてて今さらとか超言われると思うんですけど、御大のこういう表現、真剣にマジメにとっても好きです。ほんとに。


 さて、ついに追っ手が現れました。
 瞬は我々読者には超お馴染みの、例のあのネビュラの守りの陣形で待ち構えています。幾重にも瞬を取り囲むサークルチェーン。背景にはアンドロメダの大星雲。うおお!なんか懐かしい!

 さて、せっかく瞬が(十ウン年ぶりに)戦うので、主に瞬の仏の顔の残機に注目しながら、簡単に展開を追ってみましょう。


仏の顔1機目
瞬:「なにかご用ですか」「おひきとりを」
敵:「のけ!」「のかぬか!」 ヒョオッ(矢を射る)
瞬: カッ (チェーンで矢を防御)
敵:「むうっ」「こ…こいつ」


仏の顔2機目
瞬:「できれば争いはしたくないのです ケガをしないうちにお願いします」
敵:「ぬかせ!大ケガするのはおまえだ!!」 ヒョオッ(矢を射る)


瞬:「仕方ない!うなれ星雲鎖!!

サンダーウェーブ!!」



 敵、全滅!!


 って、仏の顔減るの早すぎるだろー!(爆笑)
 まだ2機目なのにー!(大爆笑)

 しかも、この見開き2ページ使ったサンダーウェーブで、敵の聖衣と着衣がボロボロになっているのを見て初めて、読者はこの十名の追っ手が女性であったという事実に思い至るのです。

 いや、言われてみれば、アルテミス軍にいる時点で、女性であるに決まっているのですが、今まであまりにもこの追っ手の顔がゴツくて男前で三白眼で目の下にデスマスクみたいなシワまで出来ているものだから、ツッコミ人はこの人たちが女性であったことをすっかり忘れておりました!良く見たら巨乳なのに!

 かわいそうに、追っ手の人たちは「ドシャッ」「ガシャッ」「ザシャアッ」とかいって、思いっきり地面に横たわってます。ちなみに思いっきり瞳孔ひらいてます。この回のチャンピオンで初めて瞬を見た人は、はたして「争いを好まぬ(略)」と思ってくれるのでしょうか。心配です。(笑)




■論点その3
――瞬の活躍シーンがあまりにも一瞬すぎた件について

(pp.13-16)


「フッ わが隊を瞬殺とは大したものよ」

 おっと、ここで敵の親玉登場です。冒頭で出てきたラスクムーンさんです。片目が包帯で隠れてて、しかも三白眼で、あと腹筋がすごそう。

「なるほど それがアンドロメダの星雲鎖か しかしこのラスクムーンの矢には通用せぬぞ」
「むうっ な…なんだ あの赤い矢からたちのぼる妖気は…」

 いいですね、時代劇調セリフを自在に使いこなす女の子って、パンドラ様(3歳)みたいで非常に好感が持てます。つーかこのラスクムーン何歳なんだろう。見た目は29歳って感じがするのだけど、やっぱり17歳とか15歳とかだったりするんだろうか。車田漫画だし。

「くらえ!!クリムゾンバイパー!!」

 そう叫びながらラスクムーンが巨大な弓矢を放つ、そのバックには巨大な毒ヘビのオーラが!しかし「クリムゾンバイパー」=「crimson viper」=「深紅の毒ヘビ」ってことは、やっぱり矢には猛毒が塗ってあるんだろうか。

「フッ クリムゾンバイパーに防御は通用せぬ この赤き矢はいかなる障害ものりこえて飛ぶのだ 獲物の肉体にくいつくまでな」
「うわああぁ」


カッ
ドシャア


・・・・・・・・・。


って、あれっ!
瞬、倒された!?



・・・・・・・・・。


ピクリとも動かない・・・?
起き上がって、こない・・・?




・・・終・・・了・・・???



いや!早すぎだろ!さすがに!


 いくらなんでもこれじゃ瞬、弱すぎだろ!あまりにも一瞬で瞬殺されすぎだろ!もしこれが最近のジャンプ漫画なら、この「ラスクムーンとの戦い」だけで、連載2回分くらい使っちゃう人だっていそうな場面だよ!それをこんなに惜しげもなく、あっさりと!

 すげえええええ!!!(爆笑悶絶)




■論点その4
――感動の展開もここまできたらギャグにしか見えない点

(pp.17-20)


 「キズがあさい とどめをさしておくか」
 と言って瞬に歩み寄り、矢をつがえるラスクムーンさん。『聖闘士星矢』史上、ここまで瞬を一瞬で瞬殺した敵キャラはアナタが初めてなんですから、もう少し自分で自分を褒めてあげたりとかしてもいいと思うんですけど、クールですね。魔鈴さん並みにクールですね。

 その時突然、何かの気配が!「ドン」!

「な…なにい!?なんだこの小宇宙は!? し…信じられぬ…なんと強大な…こんな戦闘的な小宇宙ははじめてだ… 近づいてくる この場所へ… い…いったい… いったい何者!?」

 もはやハーデスやゼウスが現れちゃいそうな形容をされているこの小宇宙の持ち主が誰なのか、賢明な読者ならばもうおわかりでしょう。というか私はもうこのシーンで爆笑をこらえるのに精一杯だったよ!ぶはははは!だってお約束すぎる上に展開が早すぎるんだもの!喩えるならば、2時間ドラマを見ていたら10秒で人が死んで犯人が出てきて悲惨な過去語り終えちゃったみたいな感じです。そりゃあどんなシリアスだってギャグになるよな。ぶははは!(腹を抱えて悶絶)

 ちなみに、参考までにページ数をかぞえてみました。
 (1)瞬が最初の敵十名を倒す…5ページ
 (2)瞬がラスクムーンに倒される…4ページ。
 (3)強大な小宇宙が近づいてくる…4ページ。

 いや、ダメだろ!おかしいだろ!車田漫画で4ページで倒されちゃったらそれは完全にかませ犬だろ!天敗星トロルのイワンレベルだろ!ぶははは!
 ちなみに、あまりのことにふと思い立って、実際にハーデス編で天敗星トロルのイワンが登場してから倒されるまで何ページかかったかを数えてみたら、3ページでした。
 瞬、マジでイワンに迫ってるよ!ダ、ダメだろ…!

 しかし「いったい何者!?」とか言われても、それ以前に今週号のチャンピオンの表紙が思いっきり兄さんなせいで、謎がまったく謎になっていないんだがそれでもいいのだろうか。(笑)

 「あ…ああ…彼方にたちのぼるあの小宇宙は…不死鳥!!」

 驚きと衝撃の展開のはずなのですが、むしろ「相変わらずだなあ、兄さん!」という笑顔に満たされたツッコミ人です!




■ちなみに次回紹介の言葉


「世界中が待ち望んだ感涙のこの瞬間ッ!!次号、パートカラーで男の中の男、登場!!」


 確かに兄さん面白いから大歓迎なんだけど、瞬の立場は一体と思わなくもない。ともあれ、次号が楽しみです!


<完>


多分続く

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Written by T'ika /2009.12.13