冥王神話 NEXT DIMENSION
「Part13 以蔵とオックス」 ツッコミ

(2009年2月5日発売・週刊少年チャ○ピオン10号掲載)




(注意)
このツッコミはネタです。実在の人物・団体等とはいっさい関係ありません。
・強度のツッコミが苦手な方は閲覧の際に副作用として痒み・発疹・アレルギー反応が出ることがありますので十分ご注意ください。






 「次の掲載予定は春頃を予定しています!!」との言葉を残したきり、すっかり行方不明となったきり何の音沙汰もなくなっていた冥王神話ネクストディメンションですが、なんと、本当に、春頃に掲載されました。

 ただ春がちょっと1年ずれただけで。

 ま、まさか本当に春頃に掲載されるとは。前回の感想で「『春頃に掲載』とあるのでたぶん梅雨頃には掲載されるんじゃないかと思います」と書いた私の予想は甘すぎました。約束を守る男・御大を甘く見すぎていました(笑)。
 さすがです!

 というわけでさっそく内容に入りたいと思います。今回は箇条書きなしで、ベタにストーリーを追いながらツッコミを入れてみようと思います。



 まずは1ページ目の1コマ目。
 いきなり火時計を背景に罵声が飛びます。

 「バカめ!」

 す、すげえ!
 連載13回目にして、物語の登場人物は、やっとお花畑から脱出できました!ツッコミ人は感涙の嵐です!

 怒鳴られているのは、名前を言ってはいけない例の「最強と謳われた黄金聖闘士」2名です。ええい、もうつっこまないぞ。
 そして怒鳴っているのはでっかい金ピカの聖衣を着用した、もうひとりの黄金聖闘士です。どうやらこれが新キャラです。

「黄金聖闘士になりたてのヒヨコが勝手なマネをしおって」
「くっ」
「うう…」


 ……いや、おめーら、「くっ」「うう…」じゃねーよ。「前聖戦の生き残り・最強と謳われた黄金聖闘士2名」のくせに、アタックNo.1の女子生徒みたいにぶたれて座り込んでんじゃねーよ。

 こちとら、聖闘士星矢の連載が始まってからこのかた、「ヒヨコ」と言って罵られた黄金聖闘士なんて見たことねーんだよ。

 「ヒヨコ」ってなんだよ「ヒヨコ」って!「ヒヨコ」と黄金聖闘士なんて共通点は黄色しかねえだろどう考えても!
 「ヒヨコ」だなんて、車田漫画の世界では最大級の未熟者に与えられる不名誉称号だろ、おい!しっかりしてくれよ!


 「そんな簡単にハーデスの首がとれたら苦労はせぬわ」

 まったくです。その人の言う通りだと思います。ほんとにありえません。ていうか「ありえないだろ」って、そもそも「Part1」の段階で、こちとら口にタコができるほど散々つっこんでいたというのに、今さらそんな正論吐かれても、ここに至るまでのこの11話分の読者の疲労感をどうしてくれるって感じです。

 ちなみに、怒られている2人の横の柱部分には、赤いゴシック体のアオリ文句で、「凄絶を極めた前聖戦の黄金聖闘士が、威風堂々ここに登場!!」と書いてあります。なんかこう別の意味で凄絶を極めつつあるような気もします。

 「だまれ!シオンに童虎 おまえら二人の罪は軽くない!!
 この
牡牛座のオックスが成敗してくれる!!」


 ぶ、ぶは・・・ッ!?



 「牡牛座の牡牛」って、ひっでえ…!!


 いや、いくらなんでもこの扱いはあんまりじゃないか。だって「オックス」だなんて、中学英単語100にも入っているくらい、そのまんま「牡牛」じゃないか。きっとこのオックスさん、英語圏で自己紹介したら子供から死ぬほど指差されて笑われるに違いありません。あまりにもストレートすぎて逆に予想外でした。もういっそ「獅子座のライオン」とか「乙女座のガール」とか「魚座のフィッシュ」とかも一緒に出てくればいいんじゃないかと思います。
 しかも、この気の毒なオックスさんの外見がそのまんまアルデバランであることに、私はどうつっこんだらいいのか。

 ドカッ
 「ぬっ!?」

 そんなオックスさんに、天馬が体当たり!

 「シオンと童虎はオレのために危ない橋をわたったんだ やるならオレをやれ」

 いや、私の記憶だと、その2人は別に「天馬のため」には大して危ない橋なんぞわたっていなかったような気がするのだが。むしろそんな天馬の大事な友人をぶち殺そうとしてたような気がするのだが。大丈夫なのか天馬。まさか本当にハムスター並みの記憶力なのか。

 しかし「被害者が加害者をかばっている」のみならず、「青銅聖闘士が黄金聖闘士をかばっている」という世紀末的な図像が、個人的にはかなり強烈です。ヒヨコのヒヨコっぷりが念入りに強調されている感があります。御大の表現力が恐ろしいです。胸をえぐるものがあります。ウワーッハハハ!(血涙)

 「ええーいめんどうだ!三人まとめてくらえ!!」
 「まあ待てオックス」
 「あ…」
 「あの人は…」


 なんと、新キャラがもう1人出てきました!すぐそこの大理石の柱にもたれかかって、黄金聖闘士がもう1人、スカしています!(なんか驚いているヒヨコがふたりいるようですがそこはさっくり無視しましょう!)ああ!この黄金聖闘士は!


 「山羊座の以蔵!」


 「人呼んで
 魔斬りの以蔵!!」




 ・・・・・・


 よ、予想外すぎる!!!(爆笑)


 とりあえず最初に脳内をグルグルしたのが何であったかによって、そのオタクの主経歴がバレるのではないかと思うのですが、ちなみに私の脳内をグルグルしたのは、まずは有名な司馬遼太郎の『竜馬が行く』の人斬り以蔵。そしてそれと同時に、かつて武田鉄也が原作してた『お〜い竜馬』という漫画の以蔵さんが、脳内で「きえ〜〜〜っ」「うほお〜〜〜っ」と叫びながら中段から下段の構えで土佐藩の偉い人をバッサバッサと切り倒して走り去って行きました。い、以蔵さーーーーん!!!(by竜馬)

 しかも名前だけではありません。この山羊座の「以蔵さん」(笑)のビジュアル、どう見ても山羊座の聖衣を着た「リンかけ2」の志那虎伊織です。この異世界と異世界が遭遇してしまった感、ものすごいです。司馬遼太郎とりんかけ2と聖闘士星矢がミックスされたらこうなる的な人物が今、目の前にいます。よもやまさか、聖闘士星矢を読んでいて『お〜い竜馬』と『リンかけ2』を読んでるみたいな気になるとは思いませんでした!なんだこの予想外感!予想外だ!超予想外だ!(大爆笑)

 あ、でも、前聖戦の山羊座の人が、名前も顔もキャラづけも、現世のシュラとは全く別人として描かれているという点に関しては、私は改めてマジメに御大のセンスの良さを感じました。やっぱりそういうところのバランス感覚はほんとに素晴らしいですこの人!(詳しくは「Part9」の感想の論点その6を参照)

 まあ、それをふまえた上でもう一度つっこませていただくとすれば、牛の人の立場は一体・・・ということですが。


 「この三人の始末はオレにまかせろ」
 「そうだ山羊座の手刀は…」
 「ふれるものすべて断ち斬る…」

 「聖剣(エクスカリバー)」

 す、すげえ!このエクスカリバー、思いっきり日本刀です!
 だから、どこの幕末漫画よ、これ!(悶絶)

 そして「地面が切れた!」「うわああああああっ」と叫びながら、切り落とされた地面と一緒に崖から落ちていく青銅1名と黄金2名
 落ちていく3人の姿勢を念のためチェックしてみたのですが、天馬くんはともかく黄金2名、どう見ても受身を取れていません。
 いや、ほんとに、心の底から、「うわああああ」じゃねえだろ貴様らと思うのだが、いかがか(笑)。なんなのこのヒヨコ!ひどすぎる!

 そして崖の上に残された牡牛座の人と山羊座の人は、「以蔵 なぜ邪魔をする オレは今後のためにちょっとおどかそうと思っただけだぞ」とか、「わかってるさオックス しかしおまえのパワーでは本当に殺しかねんからな」とか、笑顔でのんびり談話しあっているのですが、ご両名ともこの黄金のヒヨコ2名がこんなにも弱すぎることに対してまったく危機感を抱いている様子がありません

 大丈夫か、聖域。

 と思っていたら、さらなる聖域ぶっ飛び情報が、以蔵とオックスの口から語られ始めました。

 「すでにハーデスは肉体を得て覚醒したという
 
しかし我がアテナはいまだ降誕の兆しさえない
 このままでは敗北は必至 アテナは…」
 「ウム…」
 「「いったいわれらの女神はどこにおられるのか?」」


 どこにおられるのかじゃねえよこの偶蹄類!


 なんかこう、アレだ。この人たち、自宅が火事になってから、「しかし我が家にはいまだ電話がない このままでは焼死は必至 電話は…」「ウム…」「いったい電話はどこで買えばいいのか?」とか言ってるみたいだ。
 もしくは空襲が始まってから、「しかし我が家にはいまだ防空壕がない このままでは爆死は必至 防空壕は…」「ウム…」「いったい防空壕はどうやって作ればいいのか?」とか言ってるみたいだ。

 焦るの遅すぎだろ!

 以蔵さんもオックスさんも、のんきすぎるだろ!

 さて、一方こちらは崖の下のぽny、もとい、ヒヨコです。
 首や胸をさすりながら、つらそうに、「大丈夫か二人とも」「な…なんとかな」とか言ってます。まさか崖から落ちたくらいで素直にダメージを受ける黄金聖闘士がこの世にいようとは思いませんでした。
 それなのに、ヒヨコの1人(なんか天秤座の黄金聖衣着てる)は、自分の弱さを以下のような形で正当化し始めるのでした。


「フッ たしかに牡牛座も山羊座も

本物の黄金聖闘士は

ケタちがいだな」




・・・いや、待て。



本物って何だよ。



 まさか貴様ら、この世には聖衣を伝授された後ですらまだ偽者であるような黄金聖闘士がいるとでも言うのか!いるとでも言うのか!(滝涙)

 そんな絶叫がツッコミ人の脳内を渦巻いているうちに、もう1人のヒヨコ(なんか牡羊座の黄金聖衣着てる)が、こんなことを言い出します。



 「わたしらは今回おのれの未熟さを痛感した

 一刻も早く彼らのような


 本物の黄金聖闘士にならねば」



 あの!もしもし!
 そんなセリフ、本物の黄金聖衣を着ながら今さら言われても!


 「ウム もっと修行せねばならんな」
 「そうとも」
 「天馬おまえもだぞ」
 「わかってらあ」


 すみません!こんな感動的なシーンに、笑いでマトモに文字が読めなくてすみません!何だよこのヒヨコ!ぶははは!ひどい!笑い死ぬ!


「オレも修行してもっともっと強くなる そしてアローンと水鏡先生を助けに行くんだ 必ず!!」

 そういって天馬くんと愉快なヒヨコ2名は青い空を見上げ、周囲にキラキラを散りばめながら熱い誓いを立てるのでした。
 ……って今なんかすごく色んなことがなかったことにされたよね!?そのヒヨコがお友達殺そうとしてたこととかね!?


 一方、こちら再び崖の上のオックスと以蔵です。
 ヒヨコたちが聖域まで持ち帰ったらしい例の杯座の聖衣を前に、「これに自分達の未来が映ったというのか?」とか言って不思議がってます。

「たしかに不思議な聖衣だな 未来か…」
「「!」」
「ま…まさか…」
「まさかアテナが今おられるところとは…」


 いや!待って!ちょっと待って!今、「未来か…」と「「!」」の間に何が起きたのか誰か説明して!
 車田漫画の「まさか」が前後の流れとまったく関係ないってのは全宇宙公認の法則だけど、さすがにこれはないだろ!
 一体この流れでどうやったら「アテナの居場所が未来かもしれない」なんてことが思いつけるっていうんだよ!


(オオオオオ)
「地上歴一九九〇年」


 あああなんか場面が飛んだ!ナレーション入った!例のあの有名な、現代の聖戦後の、車椅子に乗ってる星矢のシーンきた!
 そしてその星矢の背後に立っている沙織お嬢さんのアップきた!

「過去と未来 未来と過去が交錯し 今、ネクストディメンションの壮大な幕が開いた!!」


 というわけで!
 前聖戦の時のアテナは実は沙織さんだったかもしれない疑惑が出てまいりました!いやまだ確定じゃないと思うけど!(車田漫画恒例の壮大なフェイクかもしれませんしね!)(例:「それでは我々が見ていたハーデス様は一体誰だったのか!」→結局誰だったのか最後までわかりませんでした)

 でももし確定だとしたら、これって、ヘタをしたら前聖戦どころか、過去のすべての聖戦の時のアテナが実は沙織さんだったっていう爆笑オチすら可能になってしまうわけなんだけど(これから全部沙織さんが戦うのです)(過去の分全部)、御大が気づいていないことを祈るのみです!


 ――ところで、前回の感想のラストで、不肖ツッコミ人、予想を立てておりました。「御大は天界編を書く気だ!」と。
 果たして予想は当たったのでしょうか。

 えー、今回の連載を見る限りだと、なんか当たってきてるよーな気がビンビンします。ついに過去と未来がつながったし。
 個人的な予想ですが、恐らく、このまま天界編、書くんじゃないかと思います。「過去と未来の交錯」とか銘打ってはいるものの、ぶっちゃけ車田サンの主な関心は「未来」の方にあるんじゃないかと私は思います。そろそろ過去にも飽きてきたっぽいし
 でも今回意外と以蔵のインパクトが濃すぎたので、もしかしたら以蔵あたりの話はかなり引っ張られるかもしれないけど。

 あと、今回の話が「天界編」につながりそうだという予測は、実はチャンピオンの表紙のアオリ文句からも可能だったりします。
 今回の表紙にはこんな言葉が書かれているのです。


 「車田正美 『星矢』正統なる続編!」


 『星矢』の正式な続編が天界編になるという話は、リアルタイムで連載中から言われていたことですので、多分これは天界編を意識しているのではないかと思います!

 以上、最後に、今回の連載の感想を一言でまとめてみました。

 予想が当たっているのに超予想外ってどういう状況。


<完>


多分続く

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Written by T'ika /2009.2.15