◆◇◆春のシオンムウお花見ツアー 「そうだ、京都行こう」◆◇◆

 ――1日目(1) 伏見稲荷――



そして夜が明け、オタクは電車に乗り、待ち合わせ場所へと向かいました。
いや、その待ち合わせ場所ってのがまた、ほんっとに素敵で、
「伏見稲荷の一の鳥居の下」
おおお!何という萌えシチュエーションでしょう!
ちなみに私も稲さんも、伏見稲荷は初めてでした。
というか、行ったことのない萌え場所があまりにも色々ありすぎて、
行き先を絞るの本当に大変だったんですけど、
結局のところは直感的な萌えを追求した結果、
双方の萌えが見事に一致し、伏見稲荷になったのでした。

ちなみにお互いに初めましてだったので、
私は目立つ格好をしていこうと思って
明るいシオン色をしたでっかいマフラーを巻いていきました。
本当はチベットコスプレで行っても良かったんですけど
ちょっとあまりにも目立ちすぎるからやめたよ!
おいら良識あるオタクだよ!
というか、稲さんがすっごいセンスいい方なので
ものすごく緊張しましたよ!
リアル稲さんすっごい素敵な方だったよ!
やっぱりおしゃれで可愛くてハイセンスだったよ!
そんでスカートがムウ様色だったよ!(笑)

待ち合わせの時点では、たまに霧雨がいくらか舞うような
あやしい曇天模様だったのですが、
まあとりあえず我々は合流し、挨拶をし、
そのまま流れで神社の石段を登り始めました。
そしたら、徒歩10秒ほどで早速、
小さな萌え神殿がありました。
萌え神殿の軒先には、吊り灯篭がたくさん吊るされていました。
まだ挨拶もそこそこながら、オタクたちは思わず脊髄反射で
「わー!萌えー!」と叫び、萌え神殿を見上げました。
とりわけ私は個人的に、神社に行った際には
そこの吊り灯篭がどのようなデザインなのかを
必ずチェックする癖がありました。
ああ!伏見神社の吊り灯篭には、いったいどんな紋章が刻まれているのでしょう!
やっぱり稲荷の総本山だし、おキツネさんの紋章でしょうか!
わあい!おキツネさんの吊り灯篭、萌え!萌え!超期待!
と、思って、クワアアアッ!と灯篭をチェックしてみると、




…………。


・・・ヤギ?


えっと、これ……どう見てもキツネじゃないですよね?
えっ?ヤギ?
でも何で、伏見稲荷にヤギ???
えっ???
あまりにも珍しすぎたので、思わず三度見くらいしました。
でも、やっぱり何度見ても、私の目にはこの模様がヤギに見えるのです。
め…珍しいなあ。なんかよくわかんないけど、さすが伏見稲荷だなあ。
と思いました。

で、稲さんにも確認してみたら、
「ええっ?ヤギ?ちょっと他のやつも見てみましょうよ」ということになり、
隣の吊り灯篭もチェックしてみたのです。
そしたら。

だだーん。



えっ……???
おひなさま……???
えっ……???????
ますますわからなくなってきました。

それじゃ逆側の灯篭も見てみよう!

ダダーン!




・・・・・・。



・・・・・・・・・・・。




カ ニ だ ・・・。




こ、これはーーー!!!!(爆笑)

まさかーーー!!!!(悶絶)



我々、既にカニの時点で笑い転げて
まったくお話にもならなかったのですが(爆笑)
残った気力をかき集め、さらに隣の吊り灯篭も見てみました。

ダダーン!




高まる疑惑wwww


どっからどう見ても、天秤にしか見えません!
というか、むしろこの天秤で完全に決定です!
この吊り灯篭、どう考えても黄金聖闘士、いや黄道12宮シリーズです!
というかこの天秤、超さり気なく和風デザインになってて激萌えです!
何これ!何この超無駄にオシャレなハイクオリティ!!

ええい!ついでに逆側の吊り灯篭も見てやれ!
ダダダーーン!



うわー!獅子が和風になっておるー!
なにこれカッコイイー!
和風アレンジの獅子座めっちゃカッコイイー!
私と稲さんは揃って絶叫しました。

さらにその隣!
ダダダダーーーン!



うわあああ射手座ーー!!!
つうか弓矢って意外と和風に似合うーー!!
目からウロコがボロボロ落ちていくーー!!
萌えー!萌えー!
もはやオタクたちには理性のカケラもありません。



うわー!今度は牛ー!
つか、この吊り灯篭の牛、ちょう和風っぽい!
そんで、なんかすごく本格的で違和感がない!!
牛ってすごい!
同じデザインで洋風和風どっちもいけてすごい!

いや、もう、ここまで来たら、否応無く、途方も無く、成す術も無く、
我々の期待はウナギのぼりに高まっていきます!
次は何だ!



うわーー!サソリだー!超かっこいい!
でもサソリ自体はかっこいいんだけど、
何でか知らんけど違和感すごい!(笑)
単品で見たときの違和感すごい!(笑)
いや、だって「神社の吊り灯篭にサソリが描いてある」ってそれ、
単独で考えてみたら物凄くシュールだよね!
あはははは!(←オタク、興奮)
さあ!次は何だ!



えっ ちょっ 何コレ!?
あ、良く見たら、お内裏様が二人並んでる?
もしかして、双子? 双子!?
双子ー!!
やーい!やーい!双子ー!ウワーッハハハハ!!(←オタク、ハイテンション)

……そしてここで我々は漸く気づくのでした。
二番目に見つけたおひなさまが、
実は乙女座だったんじゃないかという可能性に。

というか、なかなか羊、出てきませんね!
もしかしてシオンムウの呪いはラスボスなのでしょうか!ワクワク!



10個目、魚座!
何だか、あるようで無かったデザインですよね!
そして今気づいたが、この魚、よく見てみたら鯉っぽい。
何という芸の細かさ!微妙な和風アレンジが絶妙すぎる!



11個目、水瓶!
なんかすごくセンスいい!
水瓶に和風飾りをつけ、和風っぽいお花を挿すことによって
神社建築と全く違和感のない水瓶座が出現しておる!

さあ、いよいよラストです!
そしてやっぱりラスボスが真打ちでしたね、フフフ!
シオンムウの呪いさすがです!
いったいどんな牡羊座が見られるんでしょうか!

オタクたちはキャーキャー言いながら
ワックワックのドッキドキで12個目の吊り灯篭を見上げました!
いざ!


ドドオオオン!






!?



え……っ !?


え……っ!?
あの……えっ?



羊 どこ !?



羊以外のやつはみんな揃ってるんだけど 羊……どこ……
ていうか なに これ
なにこの変なモサモサ
あまりにも納得が行かないので私は一瞬
このモサモサが本当はシオンなんじゃないかと思って
目を皿のようにして凝視してみたんですけど
やっぱりどう頑張っても羊に見えない
めちゃくちゃ頑張っても羊に見えない

いや というか なんか 気のせいじゃなければ これ

龍に……見えるような……

そして、まさにその瞬間、1人の神官さんが運悪く、
我々の真横を通りかかったのであった!
その神官さんにまったく何の躊躇もなくカカアアアッ!と近寄り、
「羊はどこですか!」ビシャアアア!
と尋ねる稲さんの姿に、私は
「女王だ!本物の女王がここにいる!!!」
と、感激の滝涙に打ち震えたのでした!!爆笑!!

いや、っていうか、笑い事じゃないから!!
ほんま笑い事じゃないから!
ねえちょっと神官さん!羊どこですか!
もしかしてこれが羊なんですか!
……気づいたら稲さんと一緒になって
神官さんを思いっきり尋問している私でした。
オタクたちは必死でした。

神官:「えっ?羊?」
我々:「なんか羊だけいないんですけど!」「これは羊ですか!」
神官:「ええとこれは……(見上げる)……龍、ですかね?(真顔)」
我々:「えっ!やっぱり龍!?」「なぜに!なぜに羊じゃなくて龍!」
神官:「そういえば、なぜでしょうね?たしかに……(真顔)」

オタクたちは矢折れ刀尽きてその場に崩れ落ちた!
なぜに……!
なぜにいいいいいい!!!!!
(ドシャアアアア!!!)

結論:
ええ、もちろん私たち二人とも、
伏見稲荷の玄関口に黄道十二宮の吊り灯篭があるなんて
全っ然、これっぽっちも、知らなかったんですよ、ええ!
全っ然知らないまま、「伏見稲荷行こう!伏見稲荷!ワーイ!」と
事前に速攻で決めてたんですよ。
何なんですかこの奇跡。どういう呪いですか。
いったい誰の差し金ですか。

次回予告:
だが我々は気づいていなかった……
この微妙にものすごく何かを間違えている十二宮のカオスな吊り灯篭が
まさか、よもやまさか、
この先の我々の行く手を
完膚無きまでに予言していたとは・・・・

(なお、キーワードは「十二宮」と「カオス」ですwww)

→次回へ続く


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