魔法の使い方〜いつかあなたと2〜
ストーンサークルのある山頂まで、3人は時間をかけて登ってきた。
 上りだからではない。足取りが妙に重い。
「ティナさん、そろそろ……」
 2人に背を向け、湖畔を見おろすティナに、申し訳なさそうにルルカが言う。
 あの巨大な碑は、数え切れないほどたくさんの人間の墓標。その中に、つい先程エリーナも加わった。
 今、そのマインドオーブはティナが持っている。
 ロットは『頼まれた』という魔法使いから借りてきたマインドオーブを、ルルカはティナの父親のものを、それぞれ持っている。
 ロットの話では、1度誰かのものになったマインドオーブは、その後別の人間がこうして使っても、最初の人間から浮気するようなことはないという。
 マインドオーブが持ち主の心と共鳴するのは、ゴッドガーデンを出る瞬間。こうしておけば、ルルカたちが魔法使いと同等の心を得ることはない。
 朱の世界でも蒼く光を放つその宝石を見ていて、ティナはふと思い立った。
 懐に右手を入れる。
 出てきた手に握られていたのは、マジカルオーブ。
 ティナが初めて生成に成功した、ティナのオリジナル。
 あの時、ティナの心はボロボロに痛んでいた。
 絶望の縁に立っていたあのぐらいで、マジカルオーブには丁度良かったのだろう。
 だからうまくいった。
 しかしそれは、やはりただの偶然。
 このマジカルオーブは、悲しみの結晶なのだ。
 そんなものを未練がましく持っていて、なんの意味があるのだろう。
 右手を大きく振りかぶる。
 手を放れた赤い球は、すぐに空に溶け込み見えなくなった。
「ティナさん…………」
 いたわるように、ルルカは呟く。
 一度右手が顔を滑り、ティナは二人を振り返る。
 そこには、笑顔が浮かんでいた。
「さ、帰ろ。みんな待ってる」
 ティナは2人のいる石碑のところまで歩いていった。
(がんばって……ティナ……)
 また、どこからか声が聞こえてきた気がした……
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