その日の夜──
ベッドの中で、ウイント導師の言葉を整理してみる。
ゴッドガーデンへ行って来て……明日には出発を……学園に残るか、別の道に進むか……
まるで、ティナが邪魔になって、ゴッドガーデンで死ぬようにしむけているような……いや、それは考えすぎかもしれないが……
あの二者択一も、ティナに衝撃を与えている。心が絶望の縁へと追いやられていた。
ティナに決めてもらう……その優しさの裏側に、ティナは学園にいても無駄であるという意味が隠れている。そう思えてしかたがない。
それに、なぜか託されたマインドオーブ……
ウイント導師は、いったい何を思ってこんな大切なものをティナに預けたのだろう。
何がどうなっているのか、まるっきり理解できなかった。
ゴソゴソと、眠れぬ夜に寝返りをうつ。
「……いい感じですわ〜……」
隣のベッドでは、ルルカが幸せそうに眠っていた。
少し体を起こして、ティナは自分の机を眺めた。
机の上には、2つの宝玉が並んで置かれている。
蒼い輝きのマインドオーブ。そして、紅いマジカルオーブ。
対照的な色をした2つの宝玉は、まるでティナの未来を暗示しているような気もした。
いつの間にか眠っていた。
眠った瞬間は、いつも覚えていない。
別の世界に迷い込んだかのような感覚──ティナは、この夜、夢を見た。
幼い頃の夢……いや、まだ赤ん坊のころの心の記憶……
自分を見おろしている悲しそうな女性の顔。
これは、誰だっただろう?
知っているような……知らないような……
心を引き裂かれるような、悲しい悲しい顔……
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