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  LA LASTRA(ラ・ラストラ)

LA LASTRA
ラ・ラストラ

Loc,Santa Lucia Via Re de Grada,9 53037 San Gimignano SIENA
Tel/Fax:39(0)577-941781
オーナー:ナディア・ベッティ&レナート・スパヌ
総ヘクタール:6





 トレンティーノ・アルト・アディジェ州はサン・ミケーレ醸造学学校に学んだナディア女史とレナート氏、そして現在同校の専任エロノゴでもあるエンリコ・パテルノステル氏の幼友達がここサン・ジミニャーノに咲かせたハイ・クオリティなワイナリー”ラ・ラストラ”。1994年の創立と近隣で最も若いながらに、多大な注目、そして類を見ぬ評価を受けている理由のひとつは、地質学者であるナディア女史の執拗なまでの化学分析と、そのワインを成す土地への敬意であろうか。
 1980年頃、醸造学学校を卒業したばかりのナディア女史とレナート氏は、何ともない理由からこのサン・ジミニャーノを旅先に選ぶ。偉大なる白ワインを生み出すトレンティーノに育ち学んだふたりに映った当時のヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノとは、”壮大な伝統に彩られながらも、本質のまるで発揮されていない軽薄なワイン”。そう、数年の後にイタリア中に広がるワイン・ルネッサンスがまだその兆ししかみせていなかった当時のサン・ジミニャーノにおいて、確固とした技術と知識によるワイン生産を手掛けていたワイナリーは”テルッツイ&ピュトゥー”を筆頭に僅かに2,3件ほどでしかなかった。
 そんな中、壮絶な美しさにを誇る大地の魅力もあってか、すっかりと住み着くことになった彼らのやるべき仕事はひとつ”伝説に語り継がれるヴェルナッチャの再世”。前述の”テルッツイ&ピュトゥー”他、”パラジェット””モルモライア”などなど、多くの有力ワイナリーの地学を担当し、90年代に一目瞭然とその実力を上げた地域全体のワイン・シーンにその名を刻むこととなる。
 ただ、それだけでは当然満足しきれていなかった。ワイン生産にかかわるもの全ての夢、つまり彼ら自身、自らの理想的なワイン生産にその精力を注ぎ込むこと、それが何よりの目標となっていった。90年頃、収穫量の制限や、新しいクローンの植付けなどの行われていた僅か数ヘクタールのワイン・ヤードに手をつけることとなり、その並々ならぬ結果のよさに、4年後その土地を購入。最初のヴィンテージにおいてすぐさま数々のワイン・ガイドにその名を連ねる快挙を果し、2年目ではヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ・リセルヴァ‘95”が、当時のトスカーナ白ワイン業界にはそう簡単ではなかった”2ビッキエ―リ”を優々と獲得し、赤ワインにおいても、組合せはともかく、その比率からみると紛れもなく”唯一”とさえ言えよう、サンジョベーゼ(1/3)、カヴェルネット・ソーヴィニョン(1/3)、メルロー(1/3)による”ロヴァイオ‘96”が、ワイン・スペクター誌において、あのコル・ドルチアの”オルマイア‘95”、フォンテルートリの”シエピ‘96”、トゥア・リタの”ジュースト・ディ・ノートリ‘97”などのスター・ワインと共に90ポイントを獲得し、すっかり”スーぺル・トスカン”のひとつに数えられるようになるなど、まるでシンデレラ物語の再現のような成功を収めるに至るのである。
 ナディア女史は言う。
 「トレント出身の私だけれども、ここサン・ジミニャーノは第2の故郷のようなもの。だからにこの地の自然が成し得た恵みに敬意を払う意味からも、あくまでも重点はヴェルナッチャ種にあるわ。皆がシャルドネイだのソーヴィニョンだの大騒ぎするのは間違い。ヴェルナッチャ種がこの地のみにおいてコレだけ多大な結果を残すのには何か意味があるはず。それを引っこ抜いて外来品種に没頭するのは正気の沙汰ではないと思うわ。」
 彼女自身、フランスの偉大な白ワイン愛好家であるというものの、”あれは彼らの大地の作品”と語り、ビタ一文とも、ヴェルナッチャ種100%の姿勢を崩す意志はないらしい。
 外国、とは言わぬまでも、多々の異なる文化に成り立つトレンティーノから舞い降りた彼女にとっての”ヴェルナッチャ種”とはなんであろう。
 「ミューラー・スルガウ種やトラミネル種のように香り立ちはしないし、ピノ・グリジョみたいにパワフルなボディが押し寄せてくる訳でもない。”ヴェルナッチャ種”が私たちに与えてくれるものは、”食事とのバランス”。棚底に飾り置かれる一流銘柄のワインではなく、食事の席に置かれてはじめて、その真価を発揮する”日常のワイン”。つまり”高貴な味”よりも”ワインの本質を兼ね備えたワイン”。要するに、私が造りたいのは最高の日常ワインなのよ。」
 極狭いワイン・ヤードにも係わらず、広々と間隔を置かれた木々たち、そして通常の発芽前の暫定と異なり、発芽して房の形成が終了したものを選抜しきって残す事により抑えられた収穫内容のクオリティの高さ。ほぼ日課のように行われる執拗なまでの成分分析や、可能な限りに小さなステンレス樽における細やかな管理、そして選び抜かれた高品質のフレンチ・オーク樽の使用・・・手の尽き果てることないテマにより生まれる”世界最高の日常白ワイン”・・・ナディア女史のヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ。
 ナディア女史はヴェルナッチャ委員会の副会長としても活躍し、弟のクリスチャン氏は彼の経営するシエナのワイナリーの他に、ヴェルナッチャの新しいクローン開発の担当者として従事。技術、結果、情熱、そして意欲、いずれにも欠けることのない、近年最も注目株のワイナリー”ラ・ラストラ”。一般に”リセルヴァ‘2000”が登場し始めるこの時期に、”99はまだ早い”と、市場に流れている”98”の時を経た熟成間が彩る奥行きの深さと持続する味わいは一級品、是非、お試しください。
 







Vernaccia di San Gimignano`2000
(ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ)
カテゴリー DOCG
品種 ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ種100%
薄緑がかった麦わら色
香り 繊細な花のブーケ
テイスト コクに溢れる注ボディ、後味のほろ苦さが心地良い
サービス適温 12℃
料理との組合せ 魚や甲穀類、白身肉、アペリティフなどに最適
備考 フレッシュながらに、それが売りでないボディを供える一本。(評価:85/100)

 注:評価は実際の試飲の基に行われています。






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