美央「ん〜・・・」


放課後、帰る準備をしていると、美央がじ〜っと見つめてくる。


熾亜「な、なに? どうしたの美央・・・」

美央「熾亜さ・・・」

熾亜「うん?」

美央「いっつもミカさんと一緒よね・・・?」

熾亜「そ、そうだけど・・・」

美央「学校帰りに寄り道するときも、私と一緒に出かけるときも、いつも一緒よね?」

熾亜「う・・・うん。」

美央「従姉妹同士、仲がいいのは結構。でも、そこまで一緒にいたいモノなの・・・?」

熾亜「居たいというか、居なきゃいけないというか・・・」

ミカ「し、熾亜さん!?」

美央「居なきゃいけない・・・?」


思わず口が滑ってしまった。


熾亜「ほ、ホラっ!ミカさんって、田舎育ちでこの辺のこと何も知らないから! 
   一緒にいないと危なっかしくて・・・」

美央「まぁ、たしかにソレはあるわね。今時、カラオケ未経験なんて、天然記念物よ。」

熾亜「で、でしょ?」

ミカ「そ、そこまで珍しいですか・・・」

美央「でも、それなら別にいちいち熾亜の個人的な外出に付いて行く必要はないと思うんだけど・・・」

熾亜「こ、好奇心だよね? イロイロ知りたいと思うし・・・」

ミカ「そうですね。見るもの全てが新鮮で・・・」

美央「・・・一理あるわね。」


・・・なんだろう・・・
今日の美央はおかしい。
いつになく質問責め・・・


熾亜「美央、ひょっとして・・・ヤキモチ?」

美央「・・・何バカな事言ってるの。そんなわけないでしょ。
   確かに熾亜のことは好きだけど、単に不思議に思っただけよ。
   なんで熾亜の行動全てに付き添うのか。」

熾亜「あはは・・・でもまぁ、好奇心だと思うよ? ミカさんから散歩のお誘いもあるくらいだし。」


本当はそんなことはないけど、場を収めるために適当なことを言ってみる。
ミカさんも適当に頷いてくれた。
美央が直接ミカさんに聞きに行かないことを祈るだけだ・・・


美央「それと、もう一つ。」

熾亜「・・・今度は何?」

美央「そのブレスレット。」


美央は私の手首を指差した。


熾亜「コレがどうかしたの?」

美央「ず〜っと気になってたのよ。ミカさんが転校してきた日から、いっつも付けてるじゃない?
   私も欲しくて探してみたけど、この辺にはそーいうタイプ売ってないみたいなのよね。」

熾亜「コレは、その・・・ミカさんからのプレゼントで・・・
   送り主が身近いるわけだし、つけてないと失礼かな〜って。
   まぁ、実際気に入ってるんだけど。」

ミカ「よほど気に入ってくれているようで、送った側としても嬉しいですよw」

美央「相変わらず律儀なのねぇ・・・熾亜は。」

熾亜「それ・・・褒めてるの?けなしてるの?」

美央「・・・両方。」

熾亜「ぅ〜・・・」

美央「・・・イロイロ聞いてごめんね。別にミカさんが嫌いとかそういうんじゃなくって、
   3人で遊んだりするの、すっごく楽しいし・・・」

熾亜「わかってる。気になって夜も眠れなかったんでしょ?」

美央「夜はちゃんと寝てるわよ。」

熾亜「・・・いや、これは言葉のアヤというか、なんというか・・・」

美央「そんなことわかってるわよw ちょっとからかってみたの。」

熾亜「あ〜、ひど〜〜い!」

美央「あはははははw」


美央がいつもと違って見えたのは、私の取り越し苦労だったようだ。


美央「ところで、今日は寄り道するの?」

熾亜「うん。ちょっと欲しい本があって。」

美央「あぁ、例の週刊誌ね。で、ミカさんは誘った?」

熾亜「・・・誘わなくても付いて来るでしょ。 ね、ミカさん?」

ミカ「はい。お付き合いしますw」

美央「いつものこと・・・ね。」

熾亜「そーゆーことw」

美央「じゃ・・・行きますか。」

熾亜「そーだね。」


私達は、いつもの本屋に向かった。


美央「ねぇ、ミカさん?」

ミカ「はい?」

美央「いつもの本屋さんに来て、楽しい?」

ミカ「面白いですよ? 毎回新しい本が並んでいますし。」

美央「ミカさんって、どんな本読むの?」

ミカ「そうですねぇ・・・神話や天使に関する本とか、進化・成長・遺伝に関する本ですね。」

美央「・・・なんかムズかしそうねぇ・・・」

ミカ「とても面白いですよ?」

美央「確かに、私も神話とか伝説の類は興味あるけどね〜・・・」

ミカ「美央さんは、どんな本を?」

美央「主に小説かなぁ・・・あとは、参考書を少し。」

ミカ「熾亜さんはマンガばかりですけどね・・・」

熾亜「私が何?」

美央「どんな本読むのか話してたんですよ。」

熾亜「へぇ〜・・・」

美央「熾亜はマンガばっかり読んでるから、勉強がおろそかになってる〜って言ってたのよw」

熾亜「ぇ〜・・・たしかにそうかも知れないけど・・・美央もたいして成績変わらないじゃない。」

美央「・・そこが悩みのタネなのよね・・・」

ミカ「と、ところで熾亜さん。本は買ったんですか?」

熾亜「うん、とっくにw」

美央「もう? 早いわねぇ・・・」

熾亜「この本屋さんの配置は覚えてるから、ソッコーだよっ!」

ミカ「さすが熾亜さんですねw」

熾亜「えっへん!」

美央「いや、それ褒めることでも威張ることでもないから・・・」

熾亜「・・・冷静なツッコミありがとう・・・」

美央「・・・どういたしまして・・・」


本屋を出てからは、いつものように3人で談笑しながら、それぞれの家に帰る。


熾亜「ねぇ、ミカさん?」

ミカ「はい?」

熾亜「美央、なんであんなコト聞いてきたんだろう・・・」

ミカ「美央さんの言っていたとおり、気になったから・・・だと思いますけど・・・?」

熾亜「・・・そうよね。あんま深く考えないようにしよ〜っと。」

ミカ「それがいいと思います。」


その頃の美央は・・・


美央「・・・今日の占い、"少しでも気になることは聞いてみるべし。きっといい答えが返ってくる"か。
   たしかに、理由がわかったからいいかw」




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