美央「ん〜・・・」

熾亜「ぅ〜・・・」

ミカ「あの・・・」

熾亜「なに?」

ミカ「思ったんですけど・・・」

美央「どうしたの?」

ミカ「家庭科の勉強をしたからといって、料理が上手になるというわけでは・・・」

熾亜「・・・そうなのよね。」

美央「しっかしアレよねぇ・・・」

熾亜「ん〜?」

美央「私と熾亜って、学力あんましかわんないのに、
   ミカさんいるだけで違うものねぇ・・・」

熾亜「意義ありっ! そんなことはないと思いマス!」

美央「へぇ〜、言うねぇ。 じゃぁ・・・」


美央が数学のテキストを机に叩きつける。


美央「勝負っ!」


私も負けじと叩きつけ


熾亜「望むところっ!」

ミカ「あ、あの・・・」


戸惑うミカさんを横目に、私と美央は同時にテキストを開く。


美央「・・・」

熾亜「・・・」

美央「んんんんん・・・?」

熾亜「むむむむむ・・・?」

美央「き・・・今日はここまでにしない・・・?」

熾亜「そ・・・そうだね・・・」


今度は同時にテキストを閉じる。


熾亜「なんか、小腹すいてきちゃったね。」

美央「そうね〜・・・」


時計を見る。
すでに日付が変わろうとしていた。


美央「そうだ!」

熾亜「なになに?」

美央「気分転換に、今からちょっと出かけない?」

ミカ「今からですか・・・?」

熾亜「でも、どこへ・・・?」

美央「ふふっ、それはナイショw」


なにか企んでいる・・・
美央の笑い方は、あきらかにそうだった。


美央「さ、行くよ〜」


我先にと飛び出してしまう美央。


熾亜「わ、ちょ・・・ちょっと美央〜」

ミカ「・・・行きましょうか。」

熾亜「そうね。」


急いで美央の後を追いかける。
けど美央はシッカリ玄関で待っていた。
カギ閉めなきゃいけないから、当たり前かぁ・・・


熾亜「で、ホントどこ行くのよ?」

美央「着いてからのお楽しみ〜w」


美央の後について歩く私とミカさん。
ふと、駅前のオカルトショップを案内されたときのことを思い出してしまう。


熾亜「美央、まさかとは思うけど・・・」

美央「安心して。 オカルトショップじゃないから。」

熾亜「・・・よかった。」

美央「ほら、ココ。」

ミカ「カラオケ・・・?」

美央「そ。 おもいっきり歌って気分爽快w」

熾亜「でも、私達中学生だし・・・この時間じゃ入れてもらえないんじゃ・・・」

美央「バレやしないわよw」


美央に続いて私達も入店する。
堂々としてたから怪しまれなかっただけなのか、
そもそもそういうコトを規制しない店なのか・・・


ミカ「ここは・・・何をするところなのですか?」

美央「・・・カラオケ、知らないの?」

ミカ「すみません・・・」

熾亜「あ、あぁほらっ! ミカさんの家って、けっこう田舎のほうだから。
   近くにこういうお店ないのよ。」


あわてて取り繕う。


美央「そーなんだ・・・じゃ、今日はミカさんのカラオケデビュー!
   ってことで、飛ばすわよ〜〜!!」

熾亜「美央、抑えて抑えて・・・」

美央「いぇ〜いっ♪」

ミカ「なるほど、曲に合わせて歌を歌うところなのですね。」

熾亜「まぁ、そうなんだけど・・・」

ミカ「私も、歌なら多少心得ています!」

美央「じゃ、次はミカさんいってみる?」

ミカ「はい!」


ミカさんが入れた曲はお母さん達が"懐かしい"と言っていたほど昔の曲だった。
けど・・・


ミカ「〜〜♪ 〜〜〜♪」

熾亜「・・・・・・」

美央「・・・・・・」


私達は声が出なかった。
歌は多少心得ているといったミカさん。
その言葉で、覚悟はしていた。
だけど、ミカさんの歌は予想とは逆に、この世のものとは思えないほどきれいだった。
さすが、天使・・・


ミカ「・・・あまり自信はなかったんですが、いかがでしたか?」

美央「・・・」

熾亜「・・・」

ミカ「・・・やはりダメでした?」

美央「はっ! ご、ゴメン・・・」

ミカ「?」

美央「聞き惚れちゃって、軽く意識トんでた・・・」

熾亜「・・・・・・」

美央「・・・熾亜?」

熾亜「はっ!」

美央「ミカさん、うますぎ・・・私は聞いたことない歌だけど・・・
   まさに"天使の歌声"ってカンジねw」


その言葉に、今度はミカさんがハっとする。


ミカ「美央さん、それは・・・?」

美央「例えよ、例え。 ミカさんが天使だって言ってるんじゃなくて。」

ミカ「そ、そうですよ! 私が天使なわけ・・・」

美央「でも、ホントに天使だったら面白いのにねw」

熾亜「コラコラ、冗談はそこまで。 次、私ね〜」


そこからはもう3人で歌ってはしゃいでの大騒ぎ。
そんなことが夜中の3時まで続いた。


美央「ふぁぁ・・・ ねぶぃね〜・・・」

熾亜「そりゃそうよ、もうこんなじか・・・・ぁふ。」

ミカ「・・・早く家に帰りましょう・・・」

美央「ミカさんは眠そうじゃないね〜・・・」

ミカ「あ、はい。 そうですね・・・なぜでしょう?」

美央「知らないわよ・・・」

熾亜「早く寝よ〜・・・」

美央「そ〜ね・・・」


美央の家に戻り、布団も敷かずに居間に転がる3人。


熾亜「畳の上っていうのも、気持ちいいね〜・・・」

美央「そうね〜・・・」

ミカ「・・・・・・」


ミカさんはなにやら祈りを捧げているみたいだった。
どうやら、そこで私の意識は途切れたらしく、気づいたら外が明るかった。


熾亜「ん〜・・・ はぅ」

ミカ「おはようございます熾亜さん。 といっても、もう昼過ぎですけど。」

美央「よく寝てたね〜、熾亜。
   今ハンバーガー買ってきたところでね、丁度起こそうと思ってたのよ。

ミカ「ハンバーガーという食べ物も初めてですね、楽しみです♪」

美央「ミカさん見てると、ホントに現代人なのか疑っちゃうわ・・・」

熾亜「あははは・・・・」


昼食を軽く済ませ、昨日に続いて3人で勉強を始める。
試験範囲がすべて終わると、もう日は西に沈みかけていた。


美央「・・・こんなとこかな。」

ミカ「そうですね。」

熾亜「じゃ、そろそろ帰ろうかな。」

美央「もう帰っちゃうの?」

熾亜「まぁ、お母さんも心配してるしね・・・」

美央「そっか・・・まぁ、またいつでもおいでよ。」

熾亜「そうさせてもらうわw じゃ、またね〜」

ミカ「お世話になりました〜」

美央「またね〜」


私とミカさんは美央の家を後にした。


熾亜「楽しかったね〜」

ミカ「そうですね。 初めてのものばかりでした。」

熾亜「明日に備えて、今日は早く寝ようかな〜」

ミカ「昨夜は遅くまで遊んでいましたしねw」

熾亜「・・・それは言わないの。」


そう、明日は試験・・・
やるだけのことはやった。
あとは運任せかなぁ・・・



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